第50話思い立ち
あらゆる所で動きがあったこの頃、アクフはあいも変わらず発掘した銃を確認していた。
(〘落雷〙とかは銃万象に壊されたから今はないけど、それにしても結構な量の銃が取れたな……………………例のごとく面白そうなのしかないけど。)
三角の形から展開して銃口を露出させて3方面から同時に撃つピラミッド型のビストルらしきもの〘harim〙、持ち手が一般男性の脚くらい大きく、長い人を駄目にしそうな柔らかさでアクフの枕になっているアサルトライフル〘32型棒〙、マガジン近くに猫耳らしきものが生えているスナイパーライフル〘NK4〙等などだ。
(そう言えば、こんなに武器が多いのに実際に戦闘で使うのは基本的に〘赫斯御魂〙と〘濡烏〙くらいだよなー。やっぱりもうちょっと色んな武器使いたいし、ちょっと考えてみるか。)
アクフは頭をひねり、「うんー?」とうめきながら必死に考える。
数十分後、アクフの頭の中には天啓ともいえる案を思いついた。
(そうだ!バファイ以外にもディウルとエネアーゼがいるんだから具錬式魂塊術を同じタイミングで複数出せばいいんだ!)
具錬式魂塊術を複数展開することは魂塊の発展、普及が目覚ましいエジプトのファラオでも難しいここなので、アクフには極めて困難なことである。
ということなので、その後アクフは『PJS-DU2』を作りつつ、あらかじめ習得しておいた、ディウルとミティスからもらったピストルで作る具錬式魂塊術武器仮称『土龍小刀』を作ろうとしたが作ろうとした瞬間に『PJS-DU2』が大破し駄目だった為別の案を考えていた。
(うーん、今の実力じゃ同時に展開することは出来ない。でも、銃万象との戦闘でも戦えるレベル手札が少なかったからああなったから、強くなる方法を考えないとなんだけど。うーん?あっ、そうだ。複数は駄目ならディウルだけを『PJS-DU2』に入れて新しい具錬式魂塊術武器を作ればいいんだ!)
アクフは早速行動に移す。
要領としてはいつもの同じで、『PJS-DU2』を作る。
「よし、ディウル行くぞ!」
『ディル!』
『PJS-DU2』を少し不安定な状態にしてもぐり込ませるようにディウルを突っ込む。
(イメージは本当は竹戸の刀っぽくしたいけど、『星海豚剣』のときみたいになりそうだからできるだけ『PJS-DU2』の形を変えないように………………)
長い時間をかけて変な形にならないようにディウルを混ぜつつ、スナイパーライフルである『PJS-DU2』を刀のような形に形成しに刃をつけ。
遂に形になる。
「形はあんまり刀ぽくできなかったから名前だけでもそれぽくしよう。名前は『械彗狂飆』にしよう!」
アクフがそう言った瞬間、『械彗狂飆』が発光を始めた。
(この感じ、具錬式魂塊術武器を2つ同時に作った時の反発よりは弱いけど、このままだとすぐに崩壊する!早く『械彗狂飆』を制御しないとまずい!)
『械彗狂飆』の持ち手を両手で握り、生力を送り込んで徐々に形を整えて元の状態に戻そうとするが、使う武器の数を増やすのと魂塊の数を増やすことでは訳が違う。
無機物と魂の欠片の集合体である魂塊では圧倒的に後者の方が反発が強く、具錬式魂塊術で使うのに多くの時間を使わないといけない。
と言うことで、アクフには自分のキャパ以上の負担がかかり。
空中離散した。
『械彗狂飆』は〘赫斯御魂〙、〘濡烏〙、バファイ、ディウルが弾かれるように分解されて地面に落ちた。
アクフは空中離散した影響で吹っ飛び、後ろ側に倒れた体を起こしなからバファイとディウルに謝罪の言葉をかけつつ、脳の中では興奮物質が分泌されていた。
(でも、形にはなった!後はバファイとディウルを同時に使えるようにして、ついでにエネアーゼとかも使って奇襲ができるようにしたり、というか、『械彗狂飆』が完成したら、エネアーゼで作る具錬式魂塊術武器はどんなのがいいかな?)
その後、アクフは散々色々な案を考えて結局は『械彗狂飆』を安定して運用できるようにバファイとディウルを同時に使えるようにする特訓をすることにした。
(取り敢えず、一旦ディウルを〘赫斯御魂〙、バファイを〘濡烏〙纏わせてみるか。)
アクフはさっきのように不安定になって吹き飛ぶのを阻止するために慎重にバファイとディウルを纏わせる。
その結果として、アクフの技量の範疇だったため、あっさりと出来た。
「思ったよりかなりあっさり出来たな。取り敢えず要領は大体わかった。この感じで『械彗狂飆』を作る!」
アクフは先ほどの要領で『PJS-DU2』を作って、ゆっくりと割れ物を触るかのごとくディウルを『PJS-DU2』の中に入れる。
最初は前回のように反発はしたが、先程のように同時に纏わせるようにすることによって徐々に反発は収まり、一振りの大太刀のような大剣が生み出される。
アクフは『械彗狂飆』が完成したのを見て絶対に崩さないように握り、続ける。
時間は刻々と過ぎていっているが、『械彗狂飆』は今も反発せずそのまま。
後は時間を経過させ、手を離しても空中離散しないかどうか確認するだけだ。
しかし、アクフは念には念を入れ用心深く待ち、完成から1時間経った頃、ようやく手を離す。
結果――――――――――――――――――――――――――――成功した。
(やっっっっっっっっつったぁぁぁ!!!また一歩進むことができた!)
アクフの脳内に多幸感と言った幸せだと感じる時に出る物質が溢れ出す。
2つ同時の具錬式魂塊術武器の展開に比べて少々の時間を要するだけで非常にコストが軽く、使用し武器を変えれば変えるほど強くなる後世まで語り継がれる魂塊術の原型の誕生である。
――
『械彗狂飆』完成から一週間後。
ルーティンの一つである銃発掘に向かっていると、露店で話していた男たちの声が気になった。
いわく、「ガンストンからエジプト方面にずーと行くと珍しい光景と打撃と斬撃を即座に切り替えて自由に動ける武器がある」らしい。
そんな真偽の確かでしかない場末の噂話のようなものにアクフの心臓は聞いた時から鼓動がまし、好奇心と興味のストッパーが壊れてしまった。
(打撃と斬撃を一緒くたに?ロマンと夢のコンボじゃないか!これは早速行くしかない!……………………あっ、まずいまずい。理性を飛ばしてしまうところだった。その前に行けてなかったヤクバラの行かないとな。)
アクフは考えている途中で見た空で色々なことを思い出す。
(あと、試験官さんに分かれの挨拶をして、その時についでにヨヨリとミティスの所に行こう。)
アクフはヤクバラがいるという宿に向かった。
宿主に聞きヤクバラがいる部屋の前に到着している。
後は扉を開いて、中にいるヤクバラと話をするだけだと思ったアクフの予想は外れ中には誰もいなかった。
「あれ?いない。おかしいな前にヨヨリに聞いた時はまだしばらくはここに居るくらいの怪我をしているって聞いていたんだが。回復したのか?」
アクフが明かりをつけてあたりをよく見ると、塵一つもない状態までにもぬけの殻になっていたことに気づく。
しばらくはなにかしらの痕跡はないかと探してみたが、ヤクバラのプロの仕事を見せつけられたアクフは断念してヨヨリ、ミティス、試験官の方へと向かった。
――
アクフがヤクバラのいた部屋を訪れていた頃、当の本人は報告する為にボスのところに来ていた。
「…………というわけで、銃万象にケジメをつけてきました。証拠です。」
ヤクバラはヨヨリからもらっておいた銃万象の生首を差し出す。
ボスは嬉しいような悲しいのか曖昧な表情で受け取った。
「…………よくやった。これで死んでいった奴らも報われるだろうよ。ヤクバラ、お前は今回の件でかなりでかい功績をあげた。銃発掘もアクフという人材を見つけ銃の発掘量を大幅に上げたり、気難しい試験官を軟化させたり等々した為、お前には特別報酬と体の調子が本調子になるまでのしばらくの間の休養を与える。また言うが、本当によくやったな。」
「ありがとうございます。」
「後、お前の武器は銃万象との戦いで見るも無残な状態になっていたから別のものを支給する。頭に入れておいてくれ。」
「分かりました。」
そして、ヤクバラはボスのいる部屋から離れた。
(果たせた。俺等の………………後、あいつの敵も。さてさて、この先どうするか、アクフはあの気配からして銃万象にケジメをつけたらどこかに言ってしまいそうな雰囲気がある。本当にそうだったら正直止めたいが、ケジメをつけるのに最も貢献したのはアクフだからな、俺みたいなやつがしゃしゃりでるのは違うか。じゃ、あいつには銃発掘の成果と銃万象討伐の功績を労うために何か用意してやるか。)
ヤクバラは空をチラ見して歩き始めた。
決意は果たされ、空は晴れていた。
――
ヤクバラのいたもぬけの殻な部屋からアクフは試験官の所に来ていた。
「こんにちは。」
「ああ、こんにちは。今日の試し撃ちは終わったはずだがなにか………………ああ………………そろそろ別のところに行くんだな。」
「…………はい、すみません。」
「いや、問題ない。お前が銃万象を殺す目になってからこうなるとは思っていたからな。安心しろ、俺はお前がいなくてもちゃんと銃の実験できるからな。…………そういえば面白いものをもらっていたんだった。せっかくだしお前にやる。ちょっと待っておけ。」
試験官は奥の方まで行って棚から特大のロケットランチャーを取り出してくる。
その見た目はおおよそ人間だけの力で扱うには無理がありそうなほどに大きい見た目をしており、80発のロケット弾を同時に放てるモンスター銃であった。
それを荷台で引っ張りながらアクフの下に運んできた。
「これは〘MCL〙という明らかに常人が使うことを想定していないかのような銃だ。一回動かしてみたがとんでもない数のロケット弾を一気に放てる。これがあればいざという時でも安心だろう。あと、俺からおせっかいかもしれないが、胸を張って余計な心労は抜いていけよ。お前はそれに値するくらいのやつだからな。」
「ありがとうございますっ!」
アクフは試験官の所を後にした。




