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王暴の魂塊譚〜家に隕石落ちたから旅に出る〜  作者: 大正水鷹
ガンストン編

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第49話思惑

 ここは魂塊によって圧倒的な武力、文明力を誇っている砂漠の王国エジプト。

 

 そこでかつて護神教に無理矢理薬物を盛られ、戦場に駆り出されアクフ?によって四肢を両断された男、ローガは考えていた。


 (俺ってなんで、あんなことをしていたんだろう…………。)

  

 考えていると言ってもまとも状態じゃない。相棒である神を模した魂塊シバタを取られ、暴れないように四肢を完全には修復せず中途半端状態で縄で拘束されながらファラオの城に幽閉されている。


 この処置は何も知らぬ人から見れば厳しいように見えるが、他国が同じような状態になればローガは確実に骨も残らないように殺されているので、これでもまだ温情処置なのだ。


 (薬を盛られてやりたくもないのに戦争に出て王暴?って言ういるかいないかも分からないような存在の為になんの罪のない人を殺して…………。)


「うぇぇぇぇぇ…………!!!」


 罪悪感が漏れた。


 (でも、罪を犯したと言っても全て元通りにはでない。教皇様でも人と一人を蘇らせることはかなり難しいんだ、全て元通りにはならない。だからこそ、行動で償わないといけない。殺した分だけ…………いや、甘ったれるな!そんなものじゃ足りない。何倍、何十倍を守って償わないと。)


 ローガは自身に食事を与える係りの人間に話しかける。


 (罪を償うなら、エジプトの兵になったほうがいいよな。)


「あ、、あの、俺、考えたいんですけど、エジプトの民の為に兵士になりたいと思うんですけど、王様に会わせてもらうことってできますかね?」

  

 係りの人間は困惑した後にファラオに報告しに行った。


 ローガは待った。


 その日は雨だった為、外から聞こえてくる雨音を数えながら機を待つ。


 5……………………37…………53…………79………………………………。


 いくつも落ちてくる雨粒をいくら数えても、5桁に迫る数になっても係りの人間は戻ってこなかった。 

 

 1日後。


 係りの人間がローガの下にファラオから面会を認められたことを伝える為に来た。


 面会はすぐに行われるためにローガは引っ張られながら謁見室に向かう。


 謁見室。内装はエジプト王であるファラオの威光を表すために基本的に金を基調としたきらびやかなデザインだ。


 奥の方に大きな椅子がありファラオが座っていてソルバをはじめとする騎士達が有事の時のため控えていた。 

 

 ローガを見たファラオは威圧を放つために若干態度悪く上から見るような視線を向けて睨むように目の前にいる疑わしいものを見る。


 しばらく観察した後、ファラオが口を開く。

 

「さて、お主が元々スパルタ兵で捕虜になり幽閉され、その果てに兵士になりたいと言い出した神を模した魂塊使いか。」


「あっ、はっはい。そうです!」

 

「左様か。我としては神を模した魂塊使いが兵士になってくれることはとてもありがたいが……………………お主が何らかの手段で命令を聞くなり、元々言われていたなりで反乱等を狙っているかも知れぬのでな。審判させてもらうぞ。」


 最後の方のセリフを言った時点でファラオの下に一つの船がプカプカと浮いてきた。


 その船に手を掲げファラオは宣言をするように声を上げる。

 

ソフィーナト(太陽)シャンシン(の船)、『九柱・冥界の神(インプゥ)』!」  

 

 次の瞬間ローガの目の前に4メートルはあるであろう右側に大きい羽が乗っている巨大天秤が現れ、ローガの魂を左側に乗せた。 


 (これが噂に聞いていた寿命を削ることでどんな国の軍でも一瞬で破壊してしまうエジプトの最高戦力、ソフィーナト(太陽)シャンシン(の船)!!!でもなんで、そんなえげつない魂塊が今のこの場所に?)

 

「これは我がエジプトの繁栄を支える偉大なる先代達から引き継いだ魂塊の能力、世間一般ではアヌビスと呼ばれている神の天秤を呼び出すというものだ。これでお主が嘘を言っているか、真を言っているかはからせてもらうぞ。」


 手を掲げファラオが生力を天秤に入れる。


「お主の魂の方に向けば、お前の意は偽りだと解り直ちにここいる御刃の一人であるソルバに首を落としてもらう。逆に羽の方に傾けばお主の意は間違いなく本物であると証明され直ちにそこにいるソルバの軍に入ってもらうことになる。」 


 ファラオの眼光が剣のように鋭くなる。


「問おう、お主は反逆や反乱と言った我々の不利益になるような行為を一切行わず、ただエジプトの民達の為に全力を注ぐか。」


「は、はい!」


 ローガの肯定の声を出した次の瞬間に天秤が動き出した。


 最初方はグラグラと揺れていたが徐々に羽が乗っている方に傾いていく。

 

 そして、完全に羽の方に傾いた。  

 

「…………分かった。ローガがお前をソルバの軍に入れよう。ソルバ!ローガの四肢をもとに戻しておけ。」

 

「あ、ありがとうございます!」


 それから数日。


 ローガは無事ソルバの軍に入って初の訓練を受けていた。

 

「始めにローガは久しぶりに剣を握ると思うからどれくらい衰えているか見るために素振りからだな。あ、その前にお前の魂塊について説明してくれ。」


「え、えっと、名前はシバタって言って個別能力はテンションが上がれば上がるほど力とかの基礎的な部分が上限なしに上がってある程度のラインまで行くと浮く腕が増えます。だ、だから護神教の人にケシの実とかを使わされてテンションを上げさせられ戦っていました。」


「そうか、分かった……………………お前も辛かったんだな。それじゃ素振りをしてくれ。」


「分かりました!」

 

 久しぶりの四肢、普通であれば久しぶりに生えてきた四肢の感覚になれずしばらくは立てないはず、なのだが、ローガの類まれなるセンスによって呼吸をするように立てている。


 そして、ソルバから渡された木刀を持って構え全力で振る。


「ローガすまないが、最近出来た技を使わせてもらうぞ。『墓帰り(インプルマトン)』!」  


 勢いよく振り上げ、足を動かすとともに振り下ろされているローガの木刀に向かって振り下ろす。


 結果、両者の木刀ぶつかり合い、ローガの木刀は地面に叩きつけられた。

   

「中々だな。全くもって四肢がなかった期間があったことなんて感じさせない太刀筋だな。これなら一回魂塊ありの模擬試合でもやるか。ローガ、ここじゃ狭すぎるから別の場所に移動するぞ。」


「わ、分かりました!」


―― 

 

「それじゃ、やるか。大体の怪我なら俺の魂塊ワヒドで治る、全力で来てくれ。」


「は、はい!」


「じゃ、やるぞ、ワヒド!」


『ワフルッ!』


「し、シバタ。よ、よろしく。」


『バッターー!』 

 

 両者が木刀に魂塊を纏わせる。


 (シバタは今のままのテンションだと何もならないから薬はないけど、テンションを上げないと。)


「ヒィフィ!」    


 (よっよし、出来たぁ!いくぞ!)

  

 ローガが啖呵を切り木刀を振り上げて突撃する。


 テンションがあまり上がらなかったので速度は全然出ず、綺麗な方ではあったものの単純かつ未熟だった為、当然ソルバにいなされてしまった。


 (こんなんじゃ全然駄目だ。もっとテンションを上げていかないと。)


「ヒャッッッハーーー!!!」


 テンションが上がり一定基準を超えた為もう二本の腕が出てくる。 


 そして二本の腕に乗り浮きながら木刀を構えて斬撃を繰り出す。


  

 (うーん、この感じはかなりアレだな。率直に言うとしたら技術が足らなすぎる。能力的にテンションを上げることに集中しているんだと思うが、それにしてもだな。)

 

「分かった。ここまでにしよう。取り敢えず方針はテンションを上げつつ攻撃手段の技を増やしていこうか。」


「はい!」


 ローガの成長は始まった。


――


 所変わってファラオの自室。ファラオは嬉しいことがあったので口角を上げて気分が良さそうにしていた。

 

 (もしやもしやと思って生かしておいた神を模した魂塊使いが軍に入ってくれるとな。嬉しい限りだ。それにしてもあやつ何なら体に怪しい跡がついていたが何か怪しいものでもやっていたのか?

 まぁ、そんなことよりもこれでエジプト軍には四人の神を模した魂塊使いがいることになるな。ローガがそこそこ強くなったら、何らかの形で公開して世界にエジプトの武力を見せつけないとな。余計争いを避けるためにも。

 それにしても本当にソルバは強くなった、ここまで強くなったら他の神を模した魂塊使いと一緒に戦わせる訓練を施してもいいかも知れないな。まぁローガが出来上がってからだが。

 そう言えば、アクフに関して全然音沙汰がないな。おかしい。エジプトに入ってこない情報なぞそうそうないはず、ここまで来たら|ソフィーナトシャンシン《太陽の船》『九柱・ジェフティ』を使って探し出すか?幸い今我が神になっても後継者は何人かいる。

 それに私を除くエジプトの軍事力の強化はエジプトの民を守るための最善手だ。やろう。)


「|ソフィーナトシャンシン《太陽の船》『九柱・ジェフティ』!」


 一冊の薄い書物が宙に浮いた状態で呼び出され、自動でめくられて白紙を晒した。


 ファラオがアクフの生死は?現在の居場所は?実力は?と思いつつ生力を注ぐ。


 注いだ瞬間、白紙の上に黒いインクがぶちまけられて言葉の形をなして固まって本となってファラオの手に収まった。

 

「ふむ、生きてはいるようだな。居場所は………………なんだ?何故文字ではなくイルカが書かれている?」


 (変だ。これまでにヒエログリフ以外の文字が書かれたことはない。それにしてもこのイルカ、ハトメヒトに、いやアクフが連れていていた魂塊に似ている……………………もしかしてアクフ本人が拒んでいるのか?いや、前見た時から一周程度変わっていないと拒否するような性格には見えない。)


「まぁ、能力を見れば分かるか。能力は、『静虚双劇(せいきょそうげき)』、『PJS-DU2(メッフロ・アサリー)』、『土刀竜(どとうりゅう)』、『銃音風駕(つつねふうが)』、『燕回連斬(つばめかいれんざん)』?これは配分ミスだな。詳細が一切書いていない。ということは生存しているかと居場所に相当な………………。」

 

 『九柱・ジェフティ』で正確な情報を書き出す為、相当な量の生力を注ぎ込んでしまった影響で立ち眩みが発生する。   

  

「ぅうっ!!!!!!!」


 (想定外だ。もうこれ以上の捜索は止めよう…………これは早急に引き継ぎをしなければ。)


 残りの時間は多くはない。

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