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王暴の魂塊譚〜家に隕石落ちたから旅に出る〜  作者: 大正水鷹
ガンストン編

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第46話動き出した時

 ここは、世界一神々しい光さす教会…………では無くただの宿屋。


 そこで教皇は祈りながら天から聞こえてくる声に傾けていた。


『リアティ、ついに王暴の位置がわかりましたね。今度こそ罪深い王暴を始末してください。そうすれば幸福の時を与えましょう。』


 (分かりました。次こそは必ず仕留めてみせます。)


『任せましたよ。』 

 

 (やっと、王暴の居場所がわかりました。それにしてもこの短期間でかなり遠いガンストンまで行くとは思いませんでした。私の方も子供を助けるのに少々時間を使いすぎていたせいですね。しかし、いくら遠くでもこの世界の安寧のためには急いで駆けつけないといけませんね。)


 教皇は別室で寝かせていたラミを優しく起こして、言葉を伝える。

 

「ラミ、あなたの天使魂塊を使ってここから北の方へ私を連れて飛んでください。」


「ふぁ……、……!分かりました。今すぐ準備いたします。」


 ラミは即座に天使魂塊ハノエルを具現化し、個別能力『罪を裁く羽根(ウィンベカート)』を使用して4枚の羽を背中に生やすように浮かせ、教皇を乗せて飛翔した。 


――


 アクフが寝かされている宿屋の部屋でバファイは考え込んでいた。

  

 (くそ、やられた。まさかあんなものをちょっと遠隔で動かす程度の個別能力の魂塊を持っているやつがあんなに強いなんて。今のアクフじゃ到底勝ちようがなかったから王暴を使うしかなかったが、そのせいで護神教に確実に居場所がバレた上、この地下街にでっかい隕石による穴を開けて足跡を残してしまうとは、今回は大失敗だな。

 次は〘赫斯御魂かくしのみたま〙にもっと生力を注ぎ込んでアクフの持っている技を無理矢理強化する方針で出来る限り王暴を隠す方向じゃないと流石に駄目だな。今の状態で教皇に接触したら本気を出しても即刻ぺしゃんこでやられてしまう。取り敢えずこれからは再び居場所を誤魔化す工作に勤しまないと。

 あ、俺がいない時に強い敵が来た時の保険としてディウルに銃万象(ガンバンゼン)のと前に回収した魂塊を混ぜとくか。

 神を模した魂塊化はどうするか。下手にバレると面倒なことになるからな……出来る限り神を模した魂塊にせず強化しないと。 

 しかし、あの時の約束を果たせなかった代わりでないがどんな敵が来ようともアクフが完成するまでは必ず守ってみせる。)

 

 何者……いや、バファイはディウルを改造してから、決意を胸に裏工作のために動き始めた。


――


 バファイが裏工作を決行して数時間後、アクフは目覚めた。


 (あ、あれ。土じゃなくて木の天井?もしかて負けたのか?いや、負けたなら俺は生きていないはず…………つまり、勝ったんだ。やった!!!〘天翔石剣カノンスド〙達の敵を取ったんだ!やってやった!)


 アクフは喜びながらベッドから起きて、銃万象(ガンバンゼン)に壊された武器達を見つめた。

 

 見つめる事数時間。


 そんな事をしていると、ヨヨリとミティスが様子を見にやってきた。


「お、アクフ起きてたんだ。もう気づいてるかもしれないけど勝ったよ。私達は。」


「おはよう、アクフ。」 


「俺はあんまり活躍できなかったが、ここにいないヤクバラにも伝えておいてくれ、お疲れ様って。」


「分かった。ヤクバラが目覚めたら伝えとくよ。けど、アクフは十分くらいの仕事をしたよ。私がアクフの所に着いた時には既にいい気味なぐらいにクソ野郎(銃万象)はボロボロだったし。」  


「私も能力で銃万象(ガンバンゼン)の精神体を見たら本当に瀕死みたいなものだったし。逆にどうやってあそこまで追い詰めったて感じよ。」   


「私も気になるね、よかったら教えてくれない?」 


「ディウルを纏わせて『土刀竜(どとうりゅう)』を使ってからの事は銃万象(ガンバンゼン)を倒すのに全力だったのかあんまり覚えてなくて、言いたくても言えないな。」


「そうなんだね。それじゃ、一応クソ野郎(銃万象)の首以外の部分と全部の銃をギルドに納品してもらった討伐報酬山分け分とアクフは私たちよりも頑張ってくれたので何故かそこら辺に落ちていた結構大きい隕鉄も全部プレゼントだよ。」 


「良いのか?もしかして、ヨヨリは隕鉄が魂塊使いにとって重要ものだということを知らないのか?」


「そんな訳ないじゃん。少なくともアクフと私が魂塊と付き合ってきた時間のほうが長いんだから。だからこそだよ、それだけのことをアクフはやってのけたの。これ以上言うなら寝込みを襲って、無理やり押し付けるよ?」


「安心して眠れなくなるからそれは勘弁してほしい。分かった受け取る。」


「分かった。はい、取り敢えずテーブルの上に置いとくだけど存在を忘れないようにね。」


「了解。」


「それじゃ、私達は……いや、私はヤクバラの様子を見に行くよ。」


「それなら俺も行かせてくれ。」

  

「いや、ミティスちゃんがアクフに話があるっていうから私だけで行ってくるよ。大丈夫だよ、心配しなくてもヤクバラは生きているから。」


「まぁ、生きているならいいんだが。」


「じゃ、私はさっさと行くからあとは二人でよろしく。」


 そう言って、ヨヨリは手を振りならが部屋から出ていった。


 ヨヨリが部屋から出ていった瞬間、ミティスは宿屋に標準的に置いてある椅子に座った。


 そうするとどちらが切り出すかで数分の沈黙が生まれ、その空気に耐えかねたアクフが質問する。

  

「【有剣の無剣】さんはなんで俺に用があるんですか?」


「あ、別に名前で呼んでもいいわよ。」 


「それなら、名前で呼ばせてもらいます。ミティスさんもう一度聞きますが、俺になんの用があるんですか?」

 

「いや、別にそこまで事ではないんだけど、アクフと出会ってなかったら多分、銃万象(ガンバンゼン)から敵は取れなかったと思うし、今私はこんなにスッキリしたような気分にはならなかったと思うから。ただ単純にアクフに個人的なお礼を言いに来ただけ。」  

 

「そうだったんですね。俺の言葉で救われたんならよかったです。」


「で、その気持をつたえるためとお礼にということでこれ。」


 ミティスは懐から一つのリボルバーを取り出した。


「これは闇市に流れていた銃なんだけど、ナイフに変形する機能があるらしいから、余計なお世話かもしれないけど旅の途中で役に立つと思う。あと、今言うことじゃないと思うけどその話し方止めてくれる?ちょっと話しにくいから。」


「分かった。ありがとう。」


「そういえばなんだけど、銃万象(ガンバンゼン)から壊された武器達の敵を取れたアクフはこれからどうするの?」


「俺はかけがえのない年下の友達を守るのに強さがいるからと色んな武器を集めたいから旅をしている。だから、すぐじゃないが近いうちにここを出て隣国に行くかな。」


「そうなんだ。偉いね。ちゃんと目標があって頑張ってるんだ。」

 

「まぁ、そうだな。でも『静虚双劇(せいきょそうげき)』と『銃音風駕(つつねふうが)』と『PJS-DU2(メッフロ・アサリー)』を得たと言ってもまだ銃万象(ガンバンゼン)を殺すまでにはいかなかったからな。まだまだ改善しないといけない。」


「私は今のままでも十分守れると思うけど?結局のところ銃万象(ガンバンゼン)討伐に最も貢献したのは他でもないアクフだし。」


「いや、今の友達は俺なんかよりも強いんだ。それに油断は禁物だ。油断したせいで俺はその友達を一回守れなかった時があるからな。」


「神を模した魂塊使いのアクフに油断させた程度で守らせなかったんて、その友達ってその後どうなったの?」


「あんまり言いたくないんだが、取り敢えず、俺のせいで友達は少女といえる年齢で受けるべきでは絶対にないレベルの苦痛を味あわせてしまった。だから、今度はたとえ油断したとしても確実に守れる位に強くならないといけないんだ。」  

  

「そうなんだね……っ!?少女?今の友達ってアクフよりも強いのに女の子だったの?その友達の名前を聞いても良い?」


「ナルフリックだな。俺はナルって呼んでいるが。」


「あー、なんか聞いたことがある気がする。」   


「…………詳しく聞いてもいいか?」


「ここにたどり着く途中にスパルタにも行ったんだけど、そこでナルフリックっていう魂塊で滅茶苦茶強い暗殺者がいたって。で、その主人がいなくなった暗殺者を探す為に血眼になってるらしいんだよね。」


「そうか、多分…………いや、なんでもない。ありがとう。」 

   

「ごめんね。なんだか嫌なことを言っちゃって。」


「大丈夫だ。」


 (ナルがまた狙われているのか……。これはなんとかしないとな。武器収集もそこそこにして近いうちにスパルタへ行かないと。)


「ナルを守ることにそんなに真剣なんだったらやっぱり、ナルって人のこと好きだったりする?」


 ミティスはLOVEの方で聞くが、


「ああ、好きだな。」


 と、アクフはlikeの方で答えた。   


 (鈍感だなー。これ、ナルちゃんの方に恋愛感情があったら面倒なことになりそうだな〜。)


「それじゃ、私は自分の部屋に戻るよ。」


「ああ、銃ありがとうな。」


「うん、それじゃ。」 


 そう言ってミティスは椅子から立ち上がり部屋から出ていった。 


――

 

 自分の宿の部屋に帰ったミティスは、アクフへのいい感じのプレゼントを探す為に試行錯誤した時に生まれた産物(がらくた)達を眺めてセンチメンタルな気分になっていた。

 

 これまでの長くの時間を支配し停滞させていらた禍々しが、確実に悍ましいほどのニキビはなくなっている。


 気持ちが楽になったり、何かを達成すると人はなんとなく上を見上げたくなることがあるが、ミティスもそれの対象だった。


 ミティスが宿屋の窓から空を見上げると、先日の戦いで出来たクレーターから見える夜空と星々を見た。


 光が微量のものから眩しいものまで様々な星々が織り成す幻想的な光景は自然とミティスの興味を引く。

 

 そして、ミティスはアクフへのお礼の品として用意したもののふさわしくないと思ってほっておいた望遠鏡を持って星々を観察する。


 観察すればするほどに吸い込まれていく。


 まるで自分が本来ならこうしていたかのように自然と。


 (もっと見ていたい。)


 と思えるほどに集中できるものだった。


 そこには過去の銃万象(ガンバンゼン)によって生み出された怒り、憎しみ、恨み、辛みなどが一切なく、心を潤すものだった。

  

 そして、ミティスの夢中になる時が動き出した。

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