第44話機は熟す
レールガンの試し撃ちの後アクフはディウルの個別能力を『土刀竜』と名付けてよりいっそう強くなる為の『銃音風駕』の威力向上を中心とした鍛錬に励んでいた。
その途中でバファイと〘濡烏〙と〘赫斯御魂〙を混ぜ合わせる新たな具錬式魂塊術武器を会得し、ヤクバラからアイデアを貰い『PJS-DU2』、レールガンは〘落雷〙名付けた。
そんなある日、ヤクバラから呼び出され会議をすることになった。
「それでそれで、ここでお前等を呼んだ理由はほかでもないつい先日、銃万象による新たな被害が出た。俺は仕事柄後を追ったんだが、それで居場所が特定できたからなのと、今の戦力なら十分仇を取れると思ったからだ。」
「理由はわかった。なら今日中にやるのか?」
「ああ、ああ、変に準備されたり、拠点を変えられたら面倒なことになるからな。」
「分かった。だったら今から前に考えた作戦を煮詰めようか。」
「了解、了解。それじゃ、【花蜂】さん。今のアクフの仕上がりはどうだ?」
「前見せてもらった時には、もう実戦投入してもなんの問題のないくらいの威力をもつ『銃音風駕』を取得して、新しい魂塊ディウルの『土刀竜』も獲得して前と比べたら見違えるくらい強くなってるよ。」
「おう、おう。たしかに俺としても見違えるくれぇの変化を感じていたが、まさかそこまでか。それじゃ、作戦を伝える。まず俺は一番前に出て囮になって外に銃万象す。そうしたら『銃音風駕』が届くギリギリの範囲まで行ってくれ。【有剣の無剣】さんは『怒心剣』とかで隙を作ってくれ。【花蜂】さんが補助とその他を頼む。最後に隙が出来たら全力で『銃音風駕』を放って終いだ。異論はねぇか?」
「ないな。」
「ないね。」
「ないわ。」
「よし、よし、準備はできてるな?」
そう言うと、アクフとミティスとヨヨリは俺の武器を見せた。
「行くぞ!」
今、それぞれの殺意と決心が集結する。
ギャングスガンの東側、銃万象の根城の真上まで来ていた。
「開けるぞ。魂塊の準備しとけ。」
「バファイ、ディウル、やるぞ。」
『キュュュ!』
『ディル!』
「ミロちゃん、出番だよ。」
『ミッエッサーーー!』
「コテス。ついてきて。」
『テステス!』
そう言ってヤクバラは地下への入口を開けようとすると、
「やぁぁあぁと、来たか雑魚共。」
と言って中からニタニタへと嗤った銃万象が出てきた。
アクフはだったような勢いで『銃音風駕』の射程距離範囲まで離れていく。
「よしよし、アクフは行ったな。それじゃ、やるか。」
そう言うと辺りに胞子の煙が立ち込めて、全員の姿が見えなくなる。
「へっ!魂塊の力だろうが、お前らがいっぱい見えんな。今回は最初から本気出してやるよ!具錬式魂塊術『在りし者空』。」
銃万象は大量の銃に魂塊を纏わせようとするが、
「させねぇよ。」
ヤクバラがミニガンで弾幕を張り防ぐ、その間にミティスは影の中に入った。
「ちっ、弾幕が邪魔だな。まぁいいか。」
銃万象は自らの被弾を気にせず、『在りし者空』を作り羽織った。
その間は銃万象に遠くのアクフには分からないがミティスには分かる隙が生まれた。
(今が好機!ここで今までの怒りや全てをぶつける!)
これまでのことを思い出し、己の感情を高ぶらせて『遺恨瞬憤激』を幻覚分身全体で銃万象の精神体に放つ。
しかし、ロケットランチャーの弾のようなものが飛んできて無効化された。
(くっ、やっぱり頭のおかしい銃万象の影だからそう簡単にはいかないわね。でも、こっちも負けない!つい最近見つけた『勇矢』で確実に攻撃を加える!)
ミティスが銃万象の精神体に苦戦している間、ヤクバラとヨヨリもまた苦戦していた。
状況としては、ヤクバラはなんとか銃万象の攻撃パターンを把握してミニガンモードと大剣モードを切り替えギリギリで翻弄している。
ヨヨリはヤクバラが避けきれなかった流れ弾を『壁蜂!』で防ぎ、『治癒行動!』でそれでも被弾しできた傷を治す。
このコンボで戦闘開始から一分の間耐えている。
(このままじゃ、駄目だ。状況維持だけじゃアクフの『銃音風駕』を撃っても外してしまう。)
ヨヨリはそう考えながら〘桜花咲〙を振り回して銃弾を撃ち落とす。
現状維持だけではダメだとヤクバラも思ったのか、被弾覚悟で作る為に大剣を手に持って特攻する。
しかし、銃万象との差がある為、決死の覚悟をしても懐にすら入り込むことはできなかった。
「はっ、あん時見かけた時は強くなりそうだと思っていがぁ、お前、全然変わってねぇじゃえか!」
(ちっ、あのクソ野郎、ここは私も全滅覚悟で行動を起こすしかない!)
「ヤクバラ!少しだけ一人で耐えて!」
ここでヨヨリは〘桜花咲〙を〘鷹行花芽〙に変形させる。
(こんなこと、今でやってきたことなかったけど、即興でもやってやる!)
〘鷹行花芽〙の先端を巣にして特攻隊、偵察隊、遊撃隊の総数150匹をセットする。
そして、そのままの勢いで魂塊の筋力強化に生力を回しつつ。投擲した。
〘鷹行花芽〙は早く巧みな軌道で銃万象の半径1メートルの範囲で全弾の『大砲攻蜂!』を放った。
ドッッッンッッッッッッッッッッッッッッッッ!
とんでもなく辺りにいる生物全ての鼓膜を攻撃する衝撃が放たれ銃万象に向かって散弾のようにアーミーハニービーは舞う。
本来10匹だけで撃つ『大砲攻蜂!』、通常時でも十分なくらいの威力を持つ弾が更に威力を増して放たれている。
『在りし者空』によって放たれる様々な種類の銃弾や弾を薙ぎ払い、銃万象の下へと向かった。
そして、散弾とかした弾達は銃万象にほとんどが命中したが、『在りし者空』に阻まれて本体を攻撃することはおろか、よろけさせることも叶わなかった。
『大砲攻蜂!』を放った後のヨヨリには隙が生じた。
銃万象はその隙を見逃さなかった。
「『魂弾』ッッ!!!」
銃万象が技名を叫ぶと『在りし者空』によって放たれる銃弾がピタリと止まり、新たな人魂のような銃弾が放れた。
ゆらゆらと揺らめき銃弾達はまるで意思があるかかのよう飛んでいき。
ヨヨリの回避行動など意味はないと言わんばかりに体の至る所に命中させる。
命中した箇所は貫通こそはしなかったものの肉を抉って神経を反応させた。
銃万象の近くの日向の世界の状況はヤクバラが攻めようとしても隙が無くつけ入れなくなっていて、ヨヨリは『治癒行動!』で治療してマシにはなっているがそれでも尚重症。
一見、圧倒的にヤクバラとヨヨリが不利に見える。
しかし、ヨヨリに『魂弾』でダメージを与えたと同時に銃万象は慢心によりミスを2つ犯す。
その一つはヨヨリにダメージを与えることに中心『魂弾』で『大砲攻蜂!』を撃ち逃したこと。
なので、今になって『魂弾』を躱した弾が命中する。
当たった同時に、体内に持っていた毒を含んだ爆発を引き起こした。
それは『在りし者空』を貫通した。
貫通した毒は急速に銃万象の大体内に吸収されていった。
「あん?体の動きが鈍い?さっきのやつのせぇか。」
「おう、おう。バカがよぉ俺を忘れてるぜ?」
その2つは構えて今にも一撃を入れようとしているヤクバラを眼中に置かなかったこと。
(ここで体が壊れてちまってもいい。ただこいつに一撃をぶち込む!これが最後の『悟世双断』だ。)
体が衝撃で軋み、ぎぢぎぢと不愉快な異音をたてながら放たれる。
毒で痺れてる銃万象はワンテンポ遅れて避けてたことで直撃はしなかったが、当たった。
その一撃は確実に銃万象の肉を抉る。
抉ったことによって銃万象の動きが鈍くなった。
ついでにミニガンモードに切り替えて弾幕を当てて攻撃する。
そこに更にヨヨリが『太陽蜂!』を使い拘束した。
(生力、ちょっと使いすぎちゃったな。でもこれで、ミティスちゃんの方で余裕ができたはず、託したよ。)
――
(ん?さっきまで抵抗するために構えていたのにそれを解いた?多分、ヤクバラとヨヨリが頑張ってこの状況を作ってくれたんだ!なら私も頑張らないと!アクフに繋ぐために!)
強く決めた事柄を絶対に遂行させる為の感情。
銃万象の精神体が目に入るたび、殺意の感情と怒りの感情が湧いてきて、勇気が鈍りそうになるが、必死に勇気だけを抽出して形成する。
陰潜り族の力はそんじょそこらの力では、揺らがない。
(『勇矢』!)
ミティスの心臓あたりから大量に射出された矢が銃万象の精神体に突き刺さる。
突き刺さった矢は消えることなく、ミティスの想いと連動し、
食い込み、貫通。
(トドメ、任せたよアクフ。)
――
(っっっ!いや、この程度の小さい隙じゃ『銃音風駕』は当たらない。今はヤクバラ、ミティスさん、ヨヨリを信じていつでも打てるようにするだけだ。)
ヤクバラとヨヨリの戦いをレールガンのスコープで覗いていたアクフは今か今かと隙ができるのを待っている。
すると、輝く矢が銃万象を貫通した所が写った為、瞬間。
バファイを〘濡烏〙に纏わせ、その状態で〘赫斯御魂〙をくっつけ取り込んでスナイパーライフルを形成する。
「『PJS-DU2』!『銃音風駕』!!! 」
素早く銃弾を詰め、
出来る限りの生力を詰めて、
銃万象に隙ができたことを確認し、引き金に指を添え、
今の為に研ぎ澄まされた一撃を放つ。
一撃は風の刃を大量に纏い、元々チェンソーのように高速で回転している形であったが、今はもう、ある種の歪みのようになっている。
標的の下に一瞬で着く。
『銃音風駕』は当たった。




