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王暴の魂塊譚〜家に隕石落ちたから旅に出る〜  作者: 大正水鷹
ガンストン編

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第41話静かな義憤

 アクフが『銃音風駕(つつねふうが)』を完成させていた頃、ヤクバラは|地下に広がるウェスタンギャングスガンの何処かにあるギャングの施設でギャング組織のボスに報告をしていた。


「ほう、強者を集めチームを組んだから我々の商売を悉く邪魔しやがった銃万象(ガンバンゼン)にケジメを付けさせる準備はできたと。」


「はい。俺個人としても銃万象(ガンバンゼン)にはケジメをつけさせたいと思っていますので、全力で行ってます。」 


「そうか、ならば他の協力者が何と言おうと銃万象(ガンバンゼン)の首を取ってこい。」


「分かりました。」


 定期的にある報告を終えたヤクバラは何故自分がこんなに銃万象(ガンバンゼン)を追うことになった記憶を思い出す。


――


 今から1年前、ヤクバラはボスからの命令でガストンの近くにある国のとある女性のもとに来ていた。


「今日は来てくれてありがとう御座います。」


 女性は深々とお辞儀をする。

 

「いやいや、俺はボスにケジメをつける事を命令されて来ただけなんだから、そんなにかしこまらなくてもいいんだぜ?まぁまぁそれより今回のケジメをつける対象について聞かせてくれや。」


「わかりました。まずやられたのはうちの大型宿屋の従業員です。場所はここから少し離れた所で謎の筒状のものを持っていました。おそらく魂塊使いです。それ以外は……。」


 この時のヤクバラはギャングスガンにある支部に行った行ったことがなかったので銃については知らなかった。

 

「十分だ。はんはん……魂塊使いか。厳しくなりそうだな。」


「自信がないのですか?」


「俺も魂塊使いに力で負けないくらいに鍛えているが、それでも個別能力分はどう消耗ないからな……だが、今回は俺達を舐めているやつにケジメつけるために来たからな全力は出させてもらう。」 

  

「よろしくお願いします。」


「そう言えば名前言ってなかったし、聞いてなかったな。俺の名前はヤクバラだ。苗字はない。名前は聞いてもいいか?」


「いいえ、問題ありません。マリと申します。」 


「それじゃあ、俺は行ってくる。」


「行ってらっしゃいませ。」


 ヤクバラはギャングという立場を使い効率的に聞き込みをして回りケジメをつけないといけないものに近づいていく。     


 ケジメをつける対象化が銃万象(ガンバンゼン)の弟子だと言うとのことをこのときのヤクバラ知らなかった。 


 その直後、ヤクバラはけじめをつける対象が視界に入る。


 なぜそんなことになっているかというと、けじめをつける対象である銃万象(ガンバンゼン)の弟子が店に来ていたからだ。


 (あんあん?雰囲気が違げぇなこいつ。もしかしてこいつが……。)


 バン!!!と銃万象(ガンバンゼン)の弟子、アルカデンが間髪入れずに手に持っていたマグナムをヤクバラに向けて発砲する。


 間一髪の所で避けたヤクバラはバールの様な武器を投擲する。


 しかし、魂塊使いであるアルカデンにとっては銃弾以下の速度の投擲物を避けることなど造作もないので避けられる。


 それを見たヤクバラはロングソードを構える。


「ようよう、お前がうちのモンをやったっていう魂塊使いか?」  

 

「おう、そうだな。」


 そう言って牽制でマグナムを放つ。

 

 ヤクバラは音と感でそれが牽制であることを察知して動かずに問いかける。


「それじゃ、なぜここに戻ってきた!?」


「なんか面白そうな事がありそうな感じがしたからだ。」 


「ああそうかよ。じゃあケジメつけさせてもらう!」


 ロングソードを構えて、勢いよく踏み込んでヤクバラお得意の『世理』を放つ。


 とんでもない勢いで一直線に放たれたロングソードの一撃は見事銃万象(ガンバンゼン)の弟子に当たり、左腕を切断した。


「ようよう、イキってた割にはちょろいんじゃねぇか?」


「へっ、俺の魂塊の能力発揮はこれからだからな勘違いすんじゃねぇよ、イキリギャング。」  

 

 アルカデンの宣言通り、モデルシロチスイコウモリの魂塊の個別能力『血躍』が発動する。


 なくなった腕から血が飛び出してアルカデンの中に補充されていく。


 補充された血の分だけアルカデンの身体能力、防御力が上昇する。


「ケハッッッ!これでお前も終わりだなぁぁ!」 

 

 ヤクバラ脳筋のように「それがどうかしたか」という表情で言葉を吐き捨てる。


 アルカデンが上がった身体能力で速い一撃を放ってくるが、『世理』の方のままうまくやって避け。


 その姿勢のまま『世理』を放つ。


 一撃自体は当たったが、カウンターの膝蹴りを食らって少々の痛みがはしる。 

 

「ちっ、ちっ、ちょっといてぇがお前の営業時間は終了だぜ。」

 

 (あいつの音のパターンは完全に掴めたぜ。じゃ、やるか。) 

 

 ヤクバラは素早く、必殺技の構えを取る。


 それを見たアルカデンは余裕そうな笑顔でカウンターを決めようとマグナムの引き金に指を添える。

 

「『悟世双断』。」


 と口走り、放つ。


 その一撃は素早く、魂塊使いと同等以上に速く、アルカデンに特化されたもう二度と放つことのないもの。


 避けようと避けまいと。


 当たることなる。


 『悟世双断』の斬撃がアルカデンに当たってもう片腕を切断したが、


「ただじゃ死なねぇよ。」 


 切断されたと気付いた一瞬、ヤクバラに向かって発砲する。


『悟世双断』を放ったことによって隙が出来てしまったヤクバラには避けることはできない。

 

 銃弾はヤクバラの腕に当たったが、引き金を引くことに力を注ぎすぎたアルカデンは大量出血により息絶えた。


 ヤクバラは銃弾が命中し、血がダラダラと垂れている傷の箇所を押さえる。

  

「ちっ、これじゃ、しばらく腕は使いもんになんねぇな。」


 その声を聞いたマリは隠れていたテーブルを飛び出して負傷したヤクバラ元に駆けつける。

 

「大丈夫ですか!?」


「まぁまぁ多分大丈夫だ。しばらく左腕は使えなさそうだが。」


「それは大変じゃないですか!今すぐ処置の準備と部屋を用意いたしますので少し休んでてください!」


 その後のヤクバラはあれよあれよと介護されて部屋に行かされて処置を施されて寝かされていた。


 (ふぅ〜、まぁ自分で処置するつもりだったし、自分でやらなくて良くなかったし、助かったな。あぁ……でも、ケジメを付けたしボスに報告にいかないといけねぇな。まぁ治ったふりをして適当に帰っておくか。)


 ヤクバラがそんな事を考えていると料理を持ってきたマリが話しかけてきた。

 

「お調子はどうですか?」


「まぁまぁだな。別に変わりもなくいつも通りだ。」

   

「そんなわけないじゃないですか。ふざけたことを行っているとベッドと結婚してもらいますよ?」


「はは。笑えるが笑えねぇ。ナイスジョークだな。了解、しばらくはここで療養することにするわ。俺は動けないから代わりにボスにはよろしく言ってくれ。」  


「分かりました。くれぐれも無茶なことはしないでくだいでね?あと、ささやかではありますがお料理置いときましたから食べてください。」


「ああ、サンキューな。」


 ヤクバラの感謝の言葉を聞いたマリはヤクバラを寝かせている部屋から出た。


 (あー、これは駄目なやつだな。一応ボスに伝えといてくれとは言ってはみたが、末端のあいつがボスの居場所なんて分かんねぇだろしなぁ。でも、そう安々とに人から反感を受ける事をする主義でもねぇし、どうすっか。)  

 

 ヤクバラは先のことを心配しているうちに疲労により、寝落ちしてしまった。

  

 その頃、自らの弟子が近くで死んだという言葉を聞いた銃万象(ガンバンゼン)は嗤いながら宿屋に向かった。


 圧倒的な脅威が近づいているということに一切気づいていないその頃のヤクバラは飯を食べることしかできなかった。







 

 次にヤクバラが気付いたときには目の前にはマリの亡骸とそれの首根っこを持って嗤っている銃万象(ガンバンゼン)の姿があった。

 

「よぉ、目覚めたかギャングの犬。」  

 

「はぁ……お前、自分が何やってるか分かんねぇのか?」   


 そう言ってロングソードを突き立てる。


「ケジメと仇、つけてうってやるぜ。」


「はぁん、俺と戦おうってのか魂塊の無しのゴミがか?まぁ、雑魚にはハンデをつけてやるよ。」


 そう言って、コルク銃を取り出して具錬式魂塊術を使わず単純に魂塊を銃弾に纏わせるだけで、放つ。


 銃弾は速く、ヤクバラに避ける暇を与えなかった。


 無残なことに、何もできずにヤクバラ強化されたコルクの強力な威力の前にひれ伏すことしかできなかった。 

 

「けっ、やっぱり雑魚はよく吠えるな」


 銃万象(ガンバンゼン)の言葉にヤクバラはまだ行ける、そして必ずケジメと仇を取るという意志のこもった目をしていた。


「ふーん、お前も面白い側だったか。よし、気が変わった。」


 銃万象(ガンバンゼン)はひれ伏しているヤクバラの頭を蹴りつけ踏みつけるながら言葉を発する。  

  

「まぁ、せいぜい頑張って俺を殺しに来い。」  


 その言葉はヤクバラの中で反響し、深く根付く。


 しかし、ヤクバラはあまりの痛みに動けず、記憶はここで途切れる。 

  

 銃万象(ガンバンゼン)の弟子と戦いの時の傷は『悟世双断』を今後強い代償を払わなければ、使えなくなるほど深かったが、強くなろうと体を鍛えて新しい武器を手に入れるためにガンストンに向かった。 


 そして、今に至る。


 (次は必ずあいつ(銃万象)のケジメをつけて、仇を取る。)


 決意は揺らがない。

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