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音楽にまつわる作品

音楽の神様と楽譜

作者: リィズ・ブランディシュカ



 その楽譜は、とても行動力のある楽譜だった。


 なぜなら、手足が生えていたから。


「楽譜が、歩いてる!!」

「楽譜だって歩くさ!」

「!!! しかも しゃべったぁ !!!」


 楽譜は、一人の売れない音楽家にであって、自らの音楽を差し出した。


「俺と一緒に偉大な音楽家になろうぜ!」

「楽譜が夢を語っている!」


 一緒にいろんなところにいって、音楽を伝えてほしいと。


 そう伝えた楽譜。


 そこから、楽譜と音楽家の夢は始まった。






 音楽が飛び出していく。


 楽譜の中はつまらないからといって、音楽たちがとび出していく。


 誰にも弾かれない、歌われない楽譜は、とっても退屈だから。


 自分から、見つかりに行きたくなる。


 弾いてくれる人を、歌ってくれる人を。


 探したくなる。


 音楽の神様は、たまに世の中の音楽たちの様子を見ている。


 だから、そんなうずうずしている音楽や楽譜を見つける事ができた。


 誰にも見つけてもらえない音楽や楽譜は、かわいそうだ。


 そう思った音楽の神様は、それらに力を与えていった。


 時代を動かすような音楽家が世に現れるときは、必ずその背後に、歩く楽譜と音楽の神様の姿があった。






 売れない音楽家はずっと悩んでいた。


「誰も聞いてくれないのに音楽を奏でている意味はあるんだろうか」


 音楽をやめたくない、けれど生きていくには音楽以外のことをしなければならない。


 心の友でいつも、自噴を励ましてくれた音楽。


 そんな大切な音楽をやめるのは、とても苦しかった。


 なんとかならないかと思っていたときに、音楽家は世にも珍しい手足の生えた楽譜と出会った。


 その音楽家はやがて世界に名前を刻むことになる。


「手足の生えた楽譜なんて見世物にすれば、お金になるだろうけど……やめた! 俺は音楽家なんだから!」


 やがて、


 生きた楽譜と売れなかった音楽家。


 自らの生きざまを記した音楽は、世界中で親しまれていくことになる。


「俺と一緒に音楽の道をすすまないか?」


 歩みは次の世代へ繋がれて、その物語は伝説になっていく。


 この話は、その最初の一歩の話だった。



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[良い点] タイトルから良すぎる
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