古き伝説に始まる終わりの旅が世界の運命
村から出て半日が過ぎた場所で、幽寧の森の中に彷徨い歩いていたぼくは何も知らないままで出ていた。
体力も十分な力もなく。
果てしない森の中で歩いていた。
幽寧と呼ぶこの場所はある日の出来事が言う。
ゴーレムや幽霊の存在がゆるりと現れては脅かす程度だった。
何時しか流れた時間だけがここをそう呼ぶようになった。
木が切れた台座に座り、凍える手を温める。
素足と小さな服が撚れる。
そんな場所をぼくは歩いてきた。
沈む夕日が森の静寂さを極めさせていた。
木の実をどこからか拾って、葉っぱシートをひろげた物を置く。
赤の実は酸っぱく甘い、青の実は瑞々しく青い果物で美味しかった。
日を明かした次の晩はぼくは湖の祠みたいな場所に着いた。
「っここって。何時しかの夢で見た場所だ」
心の底から思ったぼくはどこか恐ろしく感じた。
そんなに近くで来ていないのに、震える体は変な気持ちだった。
離れて逃げるぼくに、そこの場所はどこか震えた声が聞こえた気がする。
街道が見えた道をそっと歩く。
とぼのとぼとゆっくり、前を歩くと小さい馬車の一団がやってくるとそのまま通りすぎる。
「おじさんたちは警備員、ですか」
門の前で立ち竦むぼくは話しかける。
若い顔つきの男と頬に縦線に切り込みが入ったどこか英雄みたいな平たい手で門を塞ぐ二人。
「警備とは何だね、我らは衛生兵だ。ここの門を取り締まっている」
若い男性が先に応える。
「騎士団がここに配備されているのは知っているのかね?」
「よそから子供がここに来るような場所じゃない。何故君は私たちに話し掛けたのかね?」
ぼくは横に振る。おじさんは言葉に頷く。
「どうしようか、エイブル。隊長に何か聞いているか」
「いいえ、そんな報告はまだありません」
「そうか、困ったなぁ」
ぼくは不思議な気分だった。
一人なのに、不思議と湧いてくる感情と合わさって重なる感じ。
そっか、ぼくっておかしいだ。
震えるぼくの体はふふふ、とゆっくりはみ出る風に阻む。
小さな小さな火がぼくの中で灯った瞬間だった。
「検問しなければ、いけない。子供相手でもやらなければここ最近の情勢はいけない」
「ああ、仕事に忠実にやろう」
ぼくの体をくまなく確かめる。
「通っていいが、くれぐれも町で騒動起こさんようにな」
ぼくはゆっくりと歩み出る。
そこに溢れるばかりの人たち。
商いやお祭りみたいな雰囲気に圧倒される。
あちらこちらで商いをする人たち。
騒ぎしく大通りの道をくまなく見渡す。
迷わないように少し早めに歩く。
人の壁は分厚い塗り壁のような感じを中の心が言う。
一人の女の子に尋ねる。
「この石と交換出来ない?」
小さな小さな袋じみた手作りの物を見せて、この石だよとアピールする。
「わぁあ、すごぉい。どうしたのこれ?」
びっくりした顔でどこで拾えないのと尋ねられるがぼくは応えられないと横に振る。
「そっか、どうして私にくれるの?」
「ぼくがそうしたいから」
「ふーん、でもあなたはいいの」
首を傾げる。
「食べ物も服も何も持っていない子に上げられるものはないけど、お母さんに言って何か食べ物貰って来てあげるわ。ちょっとまってなさい」
暫く彼女を待っているとさっきの衛生兵の人が来た。
「ん? 君はさっきの子供じゃないか、どうしたんだ」
指であちらにある看板を指す。
「ほう、あそこの飯は美味いぞ。ん? ここの女の子に声をかけた」
そうだと頷くぼくは立派だぞアピールする。
そこに少女が現れた。
「丁度お待たせって、おじさんまた来たの? えっ違うの。たまたま会ったから挨拶しただけ。ふーーん」
「はい、どうぞ。お母さんから貰ってきたから、急いで食べてね。バイバーイ」
ぼくはそのおやつを貰った菓子をつまみ食いしながら、還る場所のない旅を始める。
さっきのお姉さんとおじさんは災いに感謝を。




