本気になれた夢、遠き将来が調べ
サハトも睨むギルド長は一つの願いごとがあった。
「お前さんは、アレが何なのかわかるのか」
ギルド長は指さす方向にあるのは影に覆い付くさられた森の奥に潜む揺らぎだった。
「塊魔、森全体に張っているね。いるだけで命を奪う怪物ってところ、まぁ。言ってみればここは豊富に餌があるって訳だ。その餌が俺たちって訳、君らじゃ。当分相手にならないじゃないかな、それでどうするのかな?」
苦い気持ちで頼むギルド長は倒せるこの化け物に対抗する手段などなかった。
「じゃあいっくよぉ」
《我は汝に忘れず語れ、今すぐ追われ、消え隠れ。望む全てが我らにあり、苦しめ喚け。名を主とする者たちに告げ集まれ、人ばかりに恩を着せ被る愚か者どもがここに集え。そうして生まれた生命にサハトの諱をことわずに言う者、従え。落ちゆく影どもよ》
闇の影が一つに纏まり人の形を作る。
金色に耀く半銀の髪に美しく彩られたドレスを女性としか思えない男性が跪く
「名を忘れた主の代わりに参りました。フレーテェと申します。諱はありません。この度の魔形様は何方にお仕えですか?失礼ですが、貴方様は……」
服装の造形は一般的な物と違った世界の住人のようで、ガジュアルに染まっていない服装のカラーを持っていた。
サハトは何も聞かず、じっと見つめる。
男とも女とも呼べない者は呆然と立ち尽くしていた。
「名はサハト、諱は教えない。そして君がそうだった者だね。でも、君は何かに刃向かった。返り討ちに遭い、そうなった感じの住人だね、間違ったら許してほしい」
肯定も否定もしない、フレーテェは右半分を女性に左半分を男性にして古傷のような紋様が宙に浮かぶ。
「こうなっちゃった人かぁ、ふむふむ。分からんけど、ちょっと直すね」
《無くしに皆笑われ、聴くに堪えない耳障り。鼓動嘯く命の願い。守りに唄いて者雫に問え問えのことを文に影成す。今を望めば折り返し捧げる生涯の設計、奉る綻びを直し。己の魂を戻せ》
雑な詠唱方法で直すサハトは結び直す絆を取り戻す。
子供のような紋様が浮かび礼服の着込んだ貴族らしい服装を纏った男の子が空間から生み出した。
女性の姿と成り、寄り添うメイドの姿でお世話をするフレーテェは心から安心した風に安堵の顔を浮かべる。
サハトはこの男をいきなり起こす。
「起きろ、朝過ぎてんぞ」
頭をコツンと殴る。
「…………………………………………………。んっ。おはよう」
ギルド長は色々起こる出来事は現実なものなのか不思議に思う。
「何年経った?」
「500年だ。」
「…………そう」
「今は2000年以上は過ぎてっから」
「そっか……………。」
「あの頃の魔王はよかったよね。多分。今は違った感じ何だろうね。ここに召喚されたってことはもう起こったんだね」
「ああ、アレを起こした。最悪はあそこに踏ん張りかえっている男だけだ。もしアレが生きているなら、地上に生きているすべてが喰らわれる。根源となった点さえも呑み込んで破壊尽くす。アレはそういう生き物だ」
灰と呼ぶ彼らは異なった生き物でもあり、生物の生態系が交わらないのが特徴的
魔物と違い、魔素の食わない生き物。他者の心を食って成長する者で世界が一度崩壊するまで気付けなかった事例がある。その他にも多数な事例が発生し対処当たったのはサハトと他の魔王候補たちだった。
「魔形者様。失礼ですが、この時代ではなんと呼べば?」
黄色い光を作り、宙に浮かせる。
「あんたは識ってしまいたいかい。アレに対処出来る"人間様”」
ギルド長は必死に耐え、堪えることも出来ない悼みと哀しみが湧き起こる。
「頼む。私たちには到底不可能だったことだ。無理に変える理由はない。対処出来るだけの力がなかっただけの凡人に過ぎない。力に飲まれた者の行く末はわかっている。ならば、どうして力を授けようとする?!」
サハトは愉しそうに笑う。
「死が知らない強者の願いだな。知っているが、何も覚えようとせん。弱者もそうだろう。選ぶ人の心だけが世界を尽くすだけの力を身に付ける。人が同じを嫌うように、神さえも感情に笑う」
フルーテェにも聞こえない声が同調する。
「サハトはサハトだ。失った世界はしらねぇが」
途切れ途切れにサハトは答えた。




