夢の世界。終わりを告げた天使と魔王の形
彼は誰かになっていたことの記憶が一切ない。
彼自身に誰かが夢の終わりを告げた。
そうした一部が出来た瞬間。
彼の中にあった記憶と混同した迷いの記憶が交差する。
一つの夢が歪みを生み、消えていく姿は誰かの心の中に沈んでいく。
サハトが繰り返しをしたのは冒険者たちが来てからだ、そして彼に詛った一つの可能性が彼を蝕む。
もう一人の心は彼女の人生に終末を作り出してしまった。
彼女の人生は本当によかった。
でも。彼女は突然の出来事で家族や友人、婚約者を失った。
彼女の国では崇められる神、ディウレウシア。豊穣の神として崇め奉った。
豊かな国アザヴァブール、アザヴァブール家の当主リュバイラはこの国の国主でもあった。
多民族国家として、様々な行いを始め世界情勢にも通じた情報で切り抜けた功績がある国に彼女の学園と生活があった。
保っていた時間はそう長くなく崩れ去った。
彼女は婚約者に相談も何もなく、突然と公衆の面前で婚約破棄と彼女の言われのない事柄を作り出して言葉を失った。
彼に付き添う面々たちはこちらを睨みつけるように従っていた。
彼女の家族は本当に偽りだったかのように、過ぎ去っていく。
家族はもはや、傀儡同然に従っていた。
友人も同じくそうだったように。
ヒロイン像と掛け離れた存在が婚約者とその数名の一人の中に頬を潜めながら嬉しそうに婚約者の腕に抱きつく。
彼女の母は、笑っていた。
父は泣きながらも同じく笑っていた。
家族だったものはいつの間にか、消えていた。
虚空の気持ちだけが残り、彼女は言った。
「ええ。ええ。忘れませんわ、お母様お父様。そして皆様も、このことは一生忘れませんわ」
心は泣いていた。ずっとずっと、その前から。何から彼女は耐え忍ぶことを覚えていた。
涙が零れる頬に伝う彼女の気持ちが強く生きている証
彼女は牢屋の中に放り込まれた。
牢屋には相応しくない部屋の中は豪華な造りになっていた。
王家が使う材料がここには揃っていた。
そして、黒く濁った場所から人の取りながら一人の男性の姿として現す。
「君がそうだったみたいだね。そうか、ここは」
彼はそう言いながらブツブツと喋っていた。
彼女はそっとソファーのベットに座る。壁の向こう側で喋り続ける彼の姿に何だか気になってしまう。
紅いドレスに様々な模様を施したドレスは一級品だと分かる出来映えだった。
その姿で纏い歩く彼女は伯爵令嬢とは過ぎたものだと思わせる。
彼女自身もそれをわかっていた。
どうしてこんな仕打ち受けなければいけないのか、彼女はさっぱりだった。
気丈に振る舞う少女のように、凜々しくいたいと。
誇らしく、散っていきたかった。
それらは許されなかった。
彼女はここまで生きていたことが阿呆らしく思った。
いつ死んでも可笑しくない立場になったことは彼女自身にもわかっていた。
そうして生きて来られたのも、誰かが”いた”記憶だけだった。
二人の運命が交差して作り出してしまった重ね駆けはサハトの強くした。
「君たち"ずっとずっと"そうしている。守りたいものが守れなくて哀しんでる。俺もそうだ、だから。返すよ」
彼は唱うように、メロディーを奏でる。
呪文が人の形を造り出しながら。




