世界の理由、灰の生き物
奪われた残りに、彼は望んだ。
喰われた光を持つ意味があれば……きっと。
グラリアたちが向かった先はムラハスタ伯爵が治める領地デルトハランクルへ急いで逃げ続けてる。
いよいよ、その道に着きそうな時に。
「グラリアもう足が持たないよ。先に行って確かめてまだ、足場が残っていると思うから。でも、あいつらがいると思うと先に進めないよね。ロッカとアーシェがもう足が持たなくなってるから多分、ここで食い止めて追っていくよ」
レルツは弱音を吐きつつも強い瞳でグラリアを見つめていた。
「ああ、わかった。必ず、必ず。絶対に連れて帰るからな、待ってろ!」
グラリアは前へ前へとデルトハランクルへ続く道沿いを走り続ける。
レルツはグラリアが見えなくなるまで見つめた後、斧と短剣で振り払うように。影の潜みから現れる黒服の集団は真似するかのようにこちらの攻撃を予測しているようだ。
レルツはどう攻撃するかどう躱すのか模索しながらアーシェとロッカに顔を向ける。
油断せず二人ともに闘ってることを確認した後、横振りを構え縦横に搔き切るように斬撃を喰らわす。
失うなんてないって証明するんだ。私たちでここを切り抜ける。
☆☆☆
サムラの中に眠っていた人格が突如として目覚める。
グラリアは北800クワットまで辿り着く。
もうすぐでデルトハランクルに着く時に。
少年の肉体が再生していた。
「くぁあ‥‥‥。よく眠ったぁ、んっ?!なんだおっさんは」
目の前に少年だったはず体が立派な羽を生やす魔族の特徴を模した青年の姿がある。
グラリアは何が起こったかわからずじまいに混乱していた。
「えーっと、詠唱するんだっけ?まぁいいや。”輝く癒しに恵みを与え光の名の下に”ヒールリヴァイブ」
グラリアとハルトの体が緑の光に包み込み傷や汚れを綺麗に除去した。
「んっじゃ、あんたらのお仲間さんちょこっと助けて事情聞いてくれるか?じゃ、行ってくる」
羽が消え空に飛び上がる謎の青年はグラリアの
進んで行った逆方向に飛んで行った。
二時間ぐらい経ったかな?私たちはまだ闘える。
「レルツ、もうねぇぞ。後が」
「ロッカまだ保って、援軍呼んでいるはずだから。グラリアは隊長だしまだ希望が絶えたわけじゃない。それに」
「おぉ!!おぉ!!いたいた、あんたたちか?おっさんの仲間は」
空中に浮いたまま負傷したパーティーメンバーに青年は言う。
二人は呆然としたが気を取り戻して、なぜ青年がこちらの事情を知っているか疑問に思いつつもレルツはちょっと興奮気味の青年に問う。
「き、君は私ら助けに来た援軍?それとも無謀な野蛮者」
「ん、ないよ!ただ助けてみたいと思っただけ。それに」
青年が言葉続けようとしたらあの黒服たちが現れる。青年は邪魔と言って腕で振り払うと霧散していく。
「人が話す途中で邪魔すんなよ」
驚異に感じたのか、黒服たちは一斉に青年の方に襲いかかる。
「だから、邪魔だっていってるだろ!」
びくともしなかった黒服たちは次々と霧散していく。
気配消えた瞬間。
女の子が出現した。
「やられちゃったのね。うふふ。なぁに」
真っ赤に染まったワンピースのドレス、身につけていた服が血に汚れていた。
そして、ギルド長しか持ち合わせない道具を手で弄んでいる少女は次々と黒服たちを出す。
「よいもん持っていやがるな、いいな」
「いいでしょ、貴方の魔月にはかなわないみたいだけど?」
「ああ、これか。ま、大したもんじゃないし、あんた倒せたら話してくれんの」
「ええ、そうね。勝てたらの話ね」
二人はのんきに話すと少女の方が攻撃を作る。
青年も気にした様子なしに襲いかかる少女をガードのみで防ぐ。
「頑丈なのね。貴方」
「いいもん食って、食事に利いちければいいもんだしな」
二人の攻防は徐々に激化する。
鞭のような長いロープをひん曲げながら愉しそうに笑う少女はごく普通の少女と変わらない。
「譜術の音楽が奏でるショーを楽しんでくれ」
青年は幾つものバランスで攻撃と魔法を音にして奏でると、彼女の方に向けて放つ。
「いいセンスね。でもワタシにかなわない」
「ああ、分かってる。だから‥‥」
レルツの方面に結界と魔法の融合実験の連結を同時操作する。
『願いを生まれも生むしかない戯れ言にかなわない絶望引き下げて堕ちた生を戻すことない永遠の地獄を満たれ』
黒い紋様が幾つもの魔法陣引いていく。
「耐えられるか小娘が」
「え、何?」
黒い爆発音が鳴り響く大地に飛び火しない結界が守っている彼らは何が起こったのかわからずじまいだった。
完全に沈むまで数時間後に青年の姿を現す。
「で、どうだったか?」
「‥‥‥‥な、何もないわ」
焦げた臭いが漂う少女は黒い塊だった。
「名前あるか?」
「いいえ、ないわ。そしてあな‥‥たは誰、なの」
「サハトだ覚えて逝くといい」
「わ、かっ‥‥‥たわ」
塵へと却ってゆく。
少女は笑顔で笑っていた。
「ああ、燃えて消えろ!」
朱く黒い炎に包まれる。
「さて、助けたけど。どうしよっか、んーー‥‥?そうだ!」
自服だった服を着替えタキシードのような服を身に纏い、彼らの前へ出る。
「君らは助かった。で、何が起こった自分にもわからない。だけど、君たちは生き残っている。怪我や傷はもう既に直している、アレは灰に呑まれた生き物だ。人の形はしているが別の生き物だと思ってほしい。そして、アレに触れ続ければ。壊れて死骸同然に化してしまう」
「一歩間違えれば君たちも一緒に灰になっていた」
理解出来たのはロッカのみ。
「じゃあじゃあ。あいつらはどうなったんだ」
「知らないと告げておこう。ついさっき目覚めたばかりだ。灰かそれ以上の化け物に化しているだろう」
理解が追いつかない二人はロッカの一言に理解が追いついた。
「それと名前を名乗る忘れていた。サハトだ宜しく頼む」




