変革の魔法、常識外れの魔法使い
彼女が消えて、数年経つ頃。
少女は学校内を彷徨い歩いていた。
ここはもう異界の地。
彼女はずっと、このままでいることに不安を感じつつも異界の吸血鬼の姿をした少女に助けられ。
この学校で逃げ惑う生活をしていた。
血の血痕がないにも関わらず、蔓延る魔獣や似た獣たちがいた!
食料となるものはすべて食い尽くし、彼女も獣と同じ生物へ変化しつつあった。
長い長い時間の中で生きていく彼女の精神状態は刻一刻も蝕んでいった。
「まだいたんだぁ。君、もしかしてここから出られない?」
彼女は頷くと影にあった場所から少女の姿に変えた。
「ひょっとして、きみは出られなくなったと」
ふ~ん、と鼻で笑うと。
力が手に入れても、過ごせる自信はある?
そう。ないのね。じゃあ、案内してあげる。
少女は目で話すと、次に来たのは。
「選んだ世界の住人を巻き込んでしまったか!?ああ、どうしようもねぇな。転移先がここだったが、すまねぇ嬢ちゃん。こいつの飼い主をしているアヴァスだ。ここいらでお暇させてもらえると助かる」
女を指していう男は黒いだらけの纏う衣装は妙に似合う男であった。
「おぅなんだ、いたのか。アヴァス」
いかつい格好をしていた男は先程出会った男よりやや小さめの中年のオヤジな格好をして少女をにらみつけたことがある男だった。
「おぅじゃあねぇ~よ。それより少女を巻き込んでおいてすむことじゃあねえだろ」
お説教する男は中年の男性に向かって怒鳴っていた。
「しゃあねぇだろ。お宝があったんだから、別に隠すつもりもねぇってば。ほら、困り果ててるじゃあねぇ~か」
おれは悪くないぞ主張する男は少女がいた方向に視線を向けた。
「濁ってるじゃあねぇか!!この少女」
濁ってるとは、穢れ呑んでることである。即ち即座に切り捨てなければ死んでしまうことである。
「ちょっとすまないが、ここ。学校で合ってる?」
そこに現れたのは小柄の少年の姿をした男の子だった。
「てめぇ何もんだぁ。いきなり現れやがって」
「異界の中でも動く者がいるとは驚きだ」
二人のそれぞれ感想述べ合う。
少年はそれを気にせず、男たちに視線を向ける。
「異界の中かかぁ。ま、いっか。それでお兄さん達に聞きたいだけど、いいかな」
戯けた様子もない少年は前を向いて、指を指しながら後方の右端と左端を交互に指す。
そして呪文のような言霊を話す。
『努々忘れず、谺の歓びを屡々《しばしば》相討ち煌めく歩の願い満ちて。人より多く翼を以て嘆き苦しみ移ろいの子供よ。今の傾きに映す人影の念にまだ帰らぬ夢に冷ます時、己の心を戻し敬い。満ち溢れた世界へ返そう』
幾つもの魔紋の紋章が煌めき学校中に拡がるように充満する輝きは増し、一つの扉が出現した。
重工な扉は趣ある艶やかな扉になった。
言霊を発したあと、ふぅ。と少し疲れた顔で表情を浮かべる。
魔法と呼ぶに違いはないが異なった呪文を唱えた少年を三人の物陰から見つめた。
少女はゆっくりと姿を消した。
扉とともに、そして彼らに聴く。
「もう一度言うけど、ここって。●●●●君だよね。んっ?声が通らないか。んんっんっ‥‥聞こえる?」
微妙におかしい少年はゆっくりと、彼らの前で話しかける。
「で、ここは●●●君の学校だよね!えっ知らない?!どうしよう。これから」
少年の声も姿も彼らにはおかしく見える。
だってソレはオカシク観えている。
魔力も能力もすべてが根本から違った。
こんなところに出現した少年はある目的のためにここへやって来た。
それは、一人の弟のためだった。
前時代に魔王と勇者がいた。
魔法がすべてだった時代の王国は魔法王国と密やかに呟かれていた。
その国の中心にいた王は自らの意思で先陣を切った。
王は偉大だったが、時代が連れ訪れた世界は残酷だった。
荒れた大地に雲焼けた国、寂れ細った民たち。
崩壊した国々が崩落していく中で聖王国の一つが立ち上がり、食糧問題。人民問題。貴族問題の数々を一つ一つ解決していった。
聖王と呼ばれると王だった男は野心を燃やした。
これが後に戦争を呼び寄せた犯人だった男の話。
魔王と呼ばれたのはそれから数百年後未来で起こった。
勇者とパーティーはいくつか存在する。
召喚勇者、異世界で喚ばれた者たち。
覚醒勇者、現地の討伐冒険者たち。
転生勇者、時代の背景に残った可能性の者たち。
三つの勇者の物語はそれぞれ違った世界で綴られる。
歪みに歪んだ世界は空間の中まで及ぶ。
歪みが出来上がった背景には暗闇に潜む者たちが作った思いを形成する。
魔王だった男たちはこの世で残虐なほどに強まった。
獣の王だったり、どこかの王だったりと忙しく生まれた。
その中でとびっきり者が今の魔王である。
どこまで強く、果てしない強さ備えた男は退屈していた。
強さを求めて、別の世界へ跳んだ。
これが今のサハトの王だった頃の記憶。
遠い過去の記憶はもうしばらく、仕舞っている。
気安さ、武具生産、魔法発生を研究開発していた。
王としては不十分な価格も持つ彼は一人だけ孤立していた。
そうして、王たちが次々に魔王だった王たちは勇者たちに倒されていく一方に唯一無二の王だった彼は勇者に立ち向かう。
そして異分子の中に残った欠片があった部分を切り取り、勇者に倒された。
死んで数百年後に取りこぼした世界の破片を戻した。
日常を返した男は平民の子供として生まれた。
ハルトのことを心配してここまでやって来た。
異世界の能支い《のうかい》の芽を尽くす為の異分子を採る手順で踏み込む。
「これで話せるかな、ここは学校でよかったよね」
「ああ、そうだが。お前は何もんだ」
「気にせずしてって無理があるよね、ぼくは‥‥。いや、俺は魔王の願いで生まれた隔世体の異分子、サハトだよ!」
言葉を続ける少年は惚けた様子もなく至って真面目に答えている。
「少女は祓ったから大丈夫だよ!それに彼女から伝わる言葉があるけど。聴くかい、君たち」
少年は一切の躊躇もなく彼らの反応を待った。
「いや、いいんだが。それを躊躇せずやるなんて真似出来るかっ!祓い術士じゃ解けねぇもんあっさり解きやがって、どんだけ力ありゃぁ。ぶち破れんだよ!」
「ああ、そうだ。君の些か強すぎた。我々すら、あんな術式は見た事ない」
「サハトさんスゴーい、私なんてまだ使えたことないのに。それにイケメンじゃん」
聴く気は誰一人いなかった。でも、彼は続けた。
「あんな非道いことする人嫌いだそうだよ。凄いね!君たち」
「あ、そうそう。吸血鬼のラァシャオ・ブルェシッカさん、詠み人のしがみにいらっしゃますね。面白いですね、これって言わば。鳥籠の舟って感じですかね」
皮肉な言葉を連続に続ける者たちはやがて、この世のならざる異獣の熱気を隠る。
「力で勝負したいのかい、それで納得して貰えれば(・∀・)イイだけどね!」
素早く回避する少年と続けざまに放ついかつい男の攻撃は続けた。
思ったより通る攻撃は少年にはなかなか、通じないのに。激怒した様子もなく、放つ小型のナイフで攻撃する男。
前から後ろから攻撃する男は全く動じず。
「こいつ、やっぱ。くそぉつえええじゃねぇ~か。全く当たらん」
「息をするように、ひょいひょいと動くこいつ、我の攻撃も弾き返すとは」
外も中も関係なく攻撃するもひょいひょいと避け、遊び回るように躱す。
姿は変わっても、力は健在のようだ。
「ドッチボールみたいだね、結構面白いよ!」
体育祭みたいなノリでスポーツを楽しむかのように、攻撃を躱す少年。
変幻自在な力を持ち、圧倒的に不利なのに。それを楽しむ少年だった。
「ねぇねぇ。私も攻撃をしても避けてくれるよね。けっこうエグいと思うんだけど、いい。じゃあいっくよぉーー」
ド派手な攻撃を繰り出す少女の吸血鬼は血に染まった塊を拾うかの如く舞い散る光の螺旋。
「うんうん、いいよいいよ。どんどんやっちゃって、あとで修復も兼ねるから。バンバン攻撃しちゃって、君たちも遠慮しないで攻撃していいよ!」
あっちこっちで校舎が壊れるが少年によって修復する。
被害は出ないことはいいことだが、規格外な修復と攻撃を躱す少年は一体何者なのかわからず。
二人は小1時間ずっと攻撃を繰り出している。
「ここまでやばいやつだとは思わねぇよ!」
「これ以上は、攻撃が出来ん。力が尽きそうだ」
二人は息を切らせながら、息を整える。
土も埃もなかった状態になっている点に置いて、明らかに手加減している様子だった。
建物事態も何もなかった状態になっていた。
「う~んっ。よかったよかった、ここ日本でよかったね。もしかして違った?う~ん。困った困った。ここの人たちに迷惑かけちゃうね!」
『鳥深く愛し、人より昔に帰る為。願う事の夢に告げよる。集まる光の粒がこの世界を包む。未来永劫の輝きに置いて、名に命ずる闘いを。長く喪われた者たちに寄り添って、見上げる星空が知ろう』
幾重にも幾重にも重なる以上までの魔法陣に現代の世界でも叶わない力を振るう。
まさに化け物の領域の魔法を使った。一切の消耗もなしに発動させ続けた。
「ふぅこれでよかったかな、うんうん。頑張ったよ!」
魔法も魔力も関係なしに使い続ける少年は本当に規格外だった。
「協力出来るよね、みんな」
笑顔で無邪気に笑う少年は異様だった。




