寿裂の境界。洗練された応え合わせの祠
海と港が栄える頃の港岸に小さな祠が聳えている。
人々はこの町を誰もが知っている町だと言う。
国一番で大きな港町。
景色と漁船員たちに仲良くなれる自由の貿易。
下町にも流通する道を開拓し、それぞれの場所に設けられた施設や看板が掲げられている。
古い時代の建物も多く、歴史に文化的遺産もあると噂。
石畳に曳かれた線路はこの町一番の宝物。
大きな塔と、小さな祠の建物にある漁船の船場で遊ぶ男の子達がいた。
ニウカ、ウィムニ、セチカという三人組だった。
女の子のマナナと鬼ごっこだったり、昔話の勇者の話だったりのごっこ遊びをしている。
平和な町一番の話は誰しもが知られる住民達の光景だった。
「セニって言うやつあるじゃん、セチカあれを取りに行こうぜ」
祠のある小さなグミ状の個体、様々な色に変化するセニ。
「ウィムニ、危険だよ。町の中でも言われたでしょ! セチカも我慢しないで言っても良いんだよ」
「いや、そんなつもりもない。伝説に残された伝聞でも聞いたことある話だった。だから、怖じ気ついた」
「セチカ、もうそんな話はしないって医院長の先生が言ってたよね」
同じ町で育ち、同じ物を見上げる空に子供達は腕白な坊主みたいな行動力ある小さな事だった。
マナナは三人に加えられそうになかった。
またに遊ぶ程度の付き合いしかないマナナはお母さんに言いつけをちゃんと守っていた。
暗闇に染まり、町中は平和そのものだった場所に光る球体があちらこちらに飛び出し荒れる心のように増幅した。
祠の周りには不確かな情報が蔓延した。
この町の領主が調査依頼を申し込み各地の状況把握する。
数日間が経ち、報告を受ける。
「各地の情報が集いました。ブルタリアス様、現状維持管理はどう致しますか」
パラパラと捲る領主は執事のロスに鷹揚自若に応える。
「今まで通り、各地の村民伝えてくれ。あの祠が崩れそう時こそ、英雄たちが築いた歴史に泥を塗りたくはない」
ロスが礼を取り、立ち去る姿を見送る領主様はどこか憂鬱な表情を浮かべていた。
人々は不安な表情を浮かべる。
数年後の夜、真夜中の祠に男の子が居た。
「限りない夢が終わる。ぼくはどこかへ帰るのだろう。願いが叶うのかな?」
そう呟く男の子は、忘れられた過去を担いで夢を見続ける。
只管な影が彼の想いを繋いでいる鍵を閉じ、男の子の生き方を左右する。
宝物は一つの中に含まれた場合のみに信じられる。
逃げる 逃げられる 苦闘する日々に疲労する。
自分の意味に価値を想像する。
喩えの言葉は、虚しく響く。
そっと祠の隅に触る。
「ぼくね。僕はね、一生懸命に頑張ったよ。だからね、いっぱい褒めて、慰めて」
泣く男の子は、一人ぼっちに苛まれる気持ちに捕らえられる。
瞳が黒く黒く染まり、飲み干す程の暗闇が彼の瞳の奥に映す。
亀裂と風が自由に広がり、天まで高い光の粒が祠の中心へと舞い散らせる。
大きな波が自然の理を従い、祠が暴走する。
《我は、一つの夢。かつて存在した輝かしき人の子が剣を捧げ、打ち倒した王なり。絶対たる服従と膨大なる光が我に注ぎ、今の世に干渉せん。主に問う真価に如何にする》
精霊とは違う生き物の形を取った光の聖魂、命を売り払い、途止めされる供物の子。
男の子は空を見上げる。
「僕はね、ずっとずっと。知ってたの、だからね、今も悩んでるの。悔しくて悔しくて、あの子とぼくにね、救える力があったらよかったのにって思っていたの」
《呵れれば、富の譲渡を行おう。時の名に案じ、故郷の鍵を富まれて云う辷を授ける。霊の望みが我の想いなり》
終わりが暴走に近付く。
男の子は塵のように、燃え尽きる。
なかったすべてが元通りになろうと逆回転する。
人が歩み寄る運命を徳の為に。




