姫刻の怠慢。自由の報復に向こう
来たる場所の国境、世界の半数が奪われた魔物軍勢。
ハルトは消え去った記憶の中に残る仲間たちに、会いたくてもここでの出来事は忘れない。
天幕を張った草原に並ぶ連合団体は国中の強者がどうにかここの凌ぎを抱えていた。
貴族、王、多勢の軍隊。
それぞれの思いで挑むかつてない戦いが集う。
各王達が会議に揉めながら時間が過ぎ去る。
思い思いの半ばに外れる意味合いは誰も苦労しない。
己の為に投げ起つ王達は自分たちの冷酷さと非常識が覗える。
兵隊たちは自分たちの"親"の王がこんなにも酷たらしく仕える臣官たちは誰も知らない。
滅びる国々の中に飛び抜けた若者が王としての威厳を持って償いとした。
限りなく見上げる空は自分たちの意思に反しない範囲でよく見える光が彼等のとっての残り火だった。
ハルトは天幕に広がった施設の一部の破片に、砕け散った草むらの仏があちらこちらで出来上がっていた。
戦場の中、歩くハルトは剣で切り刻む。
薄笑いも浮かべるほどに、血生臭い香りが地面に伝わった。
影に濁る虹色は誰も映さない鏡のようで、兵隊たちは疲れた表情をしていた。
何人もの兵士が地面に這い蹲る。
奇麗に血が舞い、雄叫びを上げる大型魔獣。
鮮烈に盛り上がる産声は空高く人間が消し飛ぶ。
英雄な者や、輝きある勇者などの存在は物語の中だけのようだった。
各国の強き者達は荒れ狂う戦場において頼もしいものはない。
血に溢れた場所に右翼は、もう酷いに尽きる。
荒れた兵隊たち。傷だらけの駐屯兵、補助員の治癒師などの非戦闘員。
天幕は人の死骸が生まれるほどに、怪物は恐ろしかったのだ。
左翼の運動は公爵令嬢ニエリラ・ルド・ハルネイシェス。王族の第三位の地位を持った父君の娘。コルドラム王太子殿下の婚約者。異名は白髪の恐戦士、またの名を回復の聖騎士。
そんなお嬢様の槍斧を片手で持ち、振り回すお嬢様は敵をなぎ払い。打ち砕くように突撃する。
それに続き兵隊らが護衛部隊になる。
魔法部隊、歩兵部隊、遊撃部隊と分かれて戦いに臨んでいる。
兵力差はこちらが圧倒的に多いのに関わらず、一向に敵の魔獣どもは減らない。
「早く早く、倒せ!お嬢が切り崩せねぁじゃねあか」
図太い声で兵隊たちに叫ぶ男の姿がある。
第三番隊副司令官のロゾクレーソ、軍服に身を包んだ高身長の体格をした深緑色の瞳は前方の敵意に反応して指示を的確に判断している。
中央司令部本部。偉い人間は次々に食われ、残された王侯貴族はお互いの擦り合っていた。
「私がここから、指揮します!皆様方に前線基地に向かい安全の確保と維持をお願いしたいと思っております」
コルドラム王太子殿下が発言する。
時間にして175分ぐらい経った頃、住民達の生き残りを賭けた命の勝負が始まった。
一つ、失われていく現状は人々を暮らしから掛け離れた存在だろう。
事一刻に流れた血は、魔物の中に特異の抗原が特出に出現した。
獣と言うべき怪物に対抗出来る装備や物資の補給はなかなかに出来にくい状況。
荒れる大地に血に見える空気に耐えられない兵士も続出した。
幕の中にいた全員が越えられない壁と言う壁が出現し、治療班の一帯が大変な作業を強いられた。
準男爵家当主のルシュヴェレは貴族らを率いて戦場に行くことを宣言する。
「我等が参る世界は、幾つの魔物だ!王家に誓う者は速やかに去れ!我等に続く者は死あるのみだ、其れ等の時が最後だ」
司令部に伝わるように大声で叫ぶ男爵家のルシュヴェレは大勢の脇にある限り貴族らに自分の力を示す。
勝手な行動をする男爵家一同は無意味散らせる命など惜しいのに、決して曲げない意思で突き通す。
司令部の指令は出ずに出発する男爵は、その他大勢の貴族達に耐えかねて反発する者は男爵に付いて行った。
大型貴族も一つ、また一つと。
彼等が最も醜い姿を晒しながらも懸命に駆け抜ける騎士団は、黒狼の騎士団。
名前の通りの騎士団は魔物達を切り抜けて、技、術。方法などに優れた力を国の精度を示す。
文学に精通した者は、多くの検分を広めるきっかけになる。
識字率はだいたい、40%ぐらいに上る。
平民はあまり与えられていない現状の社会に、政治の関与が否定の宣言をする。
腐敗になる人間が、どれをとっても裕福だから。
制限と制御を許す。
数の多い魔物は、減らせも減らせも次々と湧いてくる。
ハルトは、疲労が溜まる一方で軍隊はちらつかせた人間の業が其れを押し付けてあちらこちらで争いごとを起こす人が軍部の人間によって試させられる。
「何で、こんなに戦っているんだよ!」
もたつきながら、懸命に振るう剣。
血の臭い、血の味が口元に染みる。
もう何時間、戦い続いているのだろうか。
何十、何百の魔物を屠ったハルト。
人間の死変が舞い並ぶ数字が地面に入る。
「っく、なんだよ。どうして、おれは。ぼくは!!」
続々、出現を繰り返す魔物。
どこから湧いてくるのわからない軍勢の前に怯まない。
遠い記憶のように感じるハルトはずっと、終わらない日の世界で頑張っている。
呪いの形を取った復讐劇がこの地で行われている気がする。
「だから、ってぼくは前に進まない選択肢を持っている訳じゃない」
ハルトが進む方向は誰にも追い付けない勢いに押されて、死が舞い散らせる花びらを描く。
技は美しく、剣技に奔るほとほぎが鳴く。
磨かれた腕に染みた力。
独自で編み出した技術力に圧倒される。
人の域を越える壁を難なく飛び越える先に、何かを見据えるように。
人知を越える枠外の能力。
一つで世界を滅ぼす力。
埒外に当たるいやがらせは、損慢にある。
当たらず障らずも同じ鎖を掛けた言葉だった。
握る手は、ふらつく指先に風が吹く。
腕の痛み、体の悲鳴。続いた連戦の戦場。
人間の敗北が見える戦いに何の意味があるのかわからなくなった。
「はぁはぁはぁ、はぁ………。っく、……はぁ、はぁはぁ」
草臥れる痛みと苦痛、疲労いっぱいのハルトは仲間の援軍なんてない。
足がもう立てないほど歪む。
小さく震える手は、体の上半身を支える。
英雄なんていない、世界なんて、ぼくは知らない!




