『魔王の茶会』
「まさか貴方も魔王だったなんて………」
と、エルナは俺の生い立ちを聞いて驚いていた。
まあ、この広い世界で7人しかいない中の2人が出会うなんて、天文学的確率だもんな。
「しかし、これからどう──────
『 さぁ、『魔王の茶会』を始めようぞ 』
「「ッ!」」
声が、した。
俺のスキル『念動波』みたいな声だ。
と、そんな思考が展開されるが、そんなことはすぐに次の衝撃に掻き消される。
「これは、扉?」
エルナがそう呟く。
───俺とエルナの目線の先に扉が出現した。
そうとしか言いようのない現象が起きたのだ。
黒い金属でできた重量感あふれる観音扉だ。
無論、うちの家にそんなものはない。
「───『魔王の茶会』?」
先程頭に入り込んできた言葉。
どういうことだ?
「『魔王の茶会』って………」
「心当たりがあるのか?」
驚きの隠せぬ顔で呟くエルナ。
彼女は何が知っているようだ。
「うん。
造り主に教えてもらったことがある。
………確か、7人の魔王全員で開く会議みたいなやつ?」
「随分とアバウトだな」
まぁ『魔王の茶会』というだけあるし、あってはいるのだろう。
俺は扉に指を指して言う。
「これ入るしかないよな」
「まぁそうだね……」
流石に魔王からの誘いをシカトするのは自殺行為だろう。
俺は立ち、軽く服を整え、扉に向かう。
エルナも俺に続いて立ち上がって服を整えた。
そして扉に手をかけ、開ける。
そこには────
「───貴様らが、今代の『暴食』と『傲慢』か。」
大きな丸い石の机を囲うように座る人物が5人。
俺の真ん前には先程喋った赤髪に大きな角を持った男。
そこから左に乱雑な深い緑の髪と、同じ色の瞳を持った男。
そこから2席開けた席には先程の赤髪の男よりも濃く暗い色の赤い髪を片目が隠れるようにした褐色の肌の女。
隣は茶髪を短く刈り上げた、2mはある巨躯の大男。
隣に鋭い目付きをした長い白髪の女。
空いている席は俺とエルナのものだろう。
つまりは…………
「我らは貴様らと同じ大罪魔王。
───『暴食』と『傲慢』よ、貴様らを歓迎しよう。」
幾年ぶりに揃う大罪魔王。
その茶会が幕を開ける。
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