異世界ライフは逃亡から始まる
異世界転生。
それはアニメ好きにとってとても素敵な事だ。
勇者に転生し、魔法やスキルを覚え、強い仲間を集めいつしか最強になっていく。
そんなことが可能な素晴らしい話だ。
しかし、自分の場合は……
「右も左も分からない知らない草原からスタート。更には転生先は寄生生物…」
この先が不安だ。まあ、スキルが使えるだけまだましなのだろうか。
…………これからどうしよう。
そう考えていると……
「グァァァァァァァァァ」
咆哮が聞こえた。
驚いて振り返ろうとする。
が、またもやもう間に合わず、全身を掴まれる感覚がした。
見ると、でかい鳥………(異世界だし魔物か?)がいた。
その鳥の魔物は俺を飲み込もうとしている。
……………えっ俺死ぬの?
転生して小1時間くらいで鳥の魔物に食われて終わるのか?
やばい、まずい、死ぬ。どうすれば ……
そうだ!!『叡智』!
"種族スキル 『触手』による防衛が最適”
文字が浮かんだ。
スキル『叡智』がどれほど信用していい物かも分からない。
だが、何もしないと食われて終わり。
───あぁもうヤケクソだ!
「えぇい、『触手』!!」
詠唱を唱えた瞬間、2本の触手が現れた。
ウニョウニョしたその触手は転生して失った腕のように動かせた。
………これなら少しは何とかなるかもしれない。
「この触手で、目潰し!」
俺は鳥の魔物に目潰しをお見舞いしてやった。
右目を潰された鳥は悶絶するかのような咆哮をあげ、俺を捉えていた足を離した。
おそらくこのまま戦っても勝ち目がないだろう。
なら今やることは…
「逃げ、一択!!」
俺は全速力でその場を離れた。
来た道を戻りさらに先へ進んでいく。
おそらく逃げきれただろうと思っていると………洞窟を見つけた。
今後、また鳥の魔物の類が俺を襲うかもしれない。
それなら、洞窟に居た方がまだ安全じゃないか?
そう判断した俺は洞窟に入った。
俺の異世界ライフは逃亡から始まったのだった。
3話になります。
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