居酒屋で語ろう
「らっしゃいませ〜」
店に入ると店員さんからの元気な掛け声が耳に入る…あぁこれで今日も何事もなく平和に1日を終えたと実感できる。としみじみ思いに耽る俺、田中太郎(36)は休みは正月三が日だけ労働は14時間以上の超絶ブラック企業でいつ倒れるだろうと内心ヒヤヒヤしながらも何とか労働を終え。ここ馴染みの居酒屋『南次郎』でいつものカウンター席に座り『とりあえず生』と『地鶏の炭火焼』と『ホタテバター』を頼む。
「らっしゃいませ〜〜!!」
とりあえず生とお通しが来たのでまずはビールを一口……と思った所にまた店員さんの掛け声…俺は目だけを入り口側に向ける…そこには雰囲気からしていかにも何処かの『お金持ちのおじさま』と『美人な秘書』が中に入ってきた…二人はカウンターに目を向け俺の姿を目にすると早足で俺を挟む様な形で両隣の席に腰掛けた。
「ーーー世の中のライトノベル作家を潰したい……あっ焼酎の麦ロックでお願いするわい」
…あって最初の言葉にしてはなんと物騒なと呆れてしまうが、説明しようこの『雰囲気お金持ちのおじさま』の名前は神田さんおそらく50代…まぁここ『南次郎』で毎度愚痴を吐いたり、馬鹿話したりするくらいには仲のいい飲み仲間である。当時自己紹介の時「うむ…儂は神だ」といってたけど『かみだ』さんって珍しい苗字だよね?時々実は『かんだ』ではないのか?神田さん噛んだのかな?と自分の中で親父ギャグをつい考えて密かに恥ずかしがってた当時が懐かしい。ちなみに今まであった過去の話を思い出して推測するに色んな分野の仕事をしてる人なのだと密かに思っている。
「いきなりどしたの神田さん…とりあえず今日も一日お疲れさんって事で乾杯するか?」
「まぁ儂にも色々あるのじゃ…聞いてくれるか田中さん…ほれ天使も乾杯するかr…ってなんでお主はもう飲んでるの!?普通上司より先に飲まないよね!?」
神田さんとは反対側に座る『美人な秘書』に顔を向ける。彼女の名前は天使さん…おそらくは20代前半ではないだろうか…あの当時自己紹介で名前を聞いた時には『…あぁ…巷で流行りのキラキラネーム』をつけられてしまったんだね…可愛そうに…と同情したものだ…本人は気にしてないみたいだからキラキラネームについては触れない事にしておく。
そんな彼女は何も言わずに頼んだカルーアミルクをゴクゴク飲んでいる…
…もう三杯目なんだ!?今日はどうしたの?よほどストレスが溜まっているのだろうか?飲み過ぎは注意だよ?
とりあえず神田さんと乾杯をしてビールを口にする…うん麦芽の甘さと爽やかな炭酸これぞ最初の一杯っていうやつだ美味い。
「ふぅー…それでどうしたのさ?とりあえず早く話進めないと隣の彼女のお酒が増えていくば…うん6杯目は流石にピッチ早いかな…若いってすごいね。とりあえずおじさんの炭火焼食べなさい。空きっ腹は後にくるから…店員さん追加でシーザーサラダと炭火焼もう一つ」
スススッと天使さんの前に炭火焼を置いてあげる。うむ…「いんですか!?」って言おうとしてるのがよく分かるくらい目をキラキラ輝かせている天使さん可愛いと思います。若いんだからいっぱい食べな。
「ゴクゴクゴクゴク…ふぅ…店員さん麦の水割りを一つ…いや最近のなライトノベルの異世界物の作品が増えていってるじゃろ?そのせいで転移、転生していくもの達が無駄に知識を得まくって「チート」「チート」と異世界の文化やら生態系だのなんだetc…etc…を破壊しまくるのじゃよ……シクシク…」
ふむ…とりあえずおじさんの泣き姿は絵にならないけどあえてスルー。神田さんは仕事方面の愚痴に関しての時は恐らく職業柄の秘密なのだろう話の内容を違う形で語ってくる時がある。しかし大の大人が『異世界物』厨二病万歳で語ると痛くはないだろうか…まぁ酒の話だしいいか。お兄さん生追加でください。
「能力チートすれば儂でも殺されそうになる様な力溜めてくるし魔法一発で山は消すは死人増やすは…知識チート系与えればなぜか日本の食い物ばかり増やすは、これまた下手すればダイナマイトだのなんだの物騒なもん作り出す…いやいやこっちの世界見たらわかるでしょ環境問題やら他文化のもの持ち込んだせいでの新たな病気問題とかさ連れてった世界に持ち込まないでよマジで」
うーん…今回の例え話はちょっとわかりにくい。
「そういえば神田さんの仕事ってなんだっけ?」
「んっ?話してなかったか?儂の仕事はうっかりトラック使ってターゲットの高校生をひかせて異世界に送ったり。異世界に転移の魔法陣渡して向こうの人間にターゲットの高校生連れてこさせたり、たまにテレポートを使ってターゲットの高校生をうむが言わさず魔物のいる森に置いたり。最近は三十代の男性を送ったりしとるかの…」
……神田さんそれどう例えにしても犯罪じゃないかな?…なぜうっかりでトラックでてくるの?なぜターゲットが高校生なの?三十代男性って俺モロ三十代だから洒落にならないよ?狙ってないよね?というか直訳すると未成年をあらゆる手段で拉致してほったらかし、異世界を強調してるということは日本からアフリカに送って放置しているのか?…
「そしてなぜか送られる相手はライトノベル読んでたりで送られた後はこの時はこうすれば良いと対処対処…絶対あの本は神に対する嫌がらせを記した知識本だと思うんじゃよ。最近では最終的に送る神が悪くない?とか言われ出して、仕事やなんやでバタバタ働かせまくってる天使達がそれみて儂への評価だださがり…ミスするたび『この馬鹿いい加減にしろ』みたいな蔑んだ目で見てくるのじゃ…儂だって色々あるのじゃよ?異世界転生、異世界転移にも意味はあるのじゃよ?…みてみよ隣の天使をストレスの勢いに任せて15杯目のお酒飲み出しとる。あとでお金おろさないと…」
とりあえず天使ちゃんは少しお酒休もうか。はいチョコレートアイス美味しいよ…うわーまるで子供が喜ぶ様な顔してアイスを眺めてる。実に和む…ストロベリーアイスも食べていんだよ?…
「うーんまず何らかの理由があるにしろ未成年を違う国に意見聞かずに連れていくのは犯罪じゃないですか?むしろ人生経験少ない子をお目付役なしで現場置き去りにして活躍する場なんて何処にもないと思うけど…むしろ、問題が起こって当然だと思う。三十代とかのオッサンでも同じく…少しは人生経験あるから生きる為にあれこれ模索するけどやっぱり周りには迷惑かけるの前提になるよね?俺だっていきなり外国にそのまま捨てられたらと思うと似たようなことするかも…というかやめてくださいが前提かな。…それとブラック企業に勤めてる俺から言わせて貰えばクソ忙しい中上司のうっかりミスをそのまま部下に問題丸投げもそりゃ評価だださがりしても仕方ないと思うよ。むしろそんな上司に辞めずに今でもついてきてる天使さん尊敬するは…無意識に頭撫でてしまったけどごめんね?セクハラじゃないからね?パフェとかいるかい?好きなもの頼みなさい…うんその笑顔は実に可愛らしい」
ふと思ったけどもしかしたら神田さんは数ある職業の一つとしてライトノベル作家もその一つなのかもしれない…ようは作品の内容に行き詰まっているのかな?色々なジャンルが増え出してるし近年そう言った内容の矛盾に対する指摘していく作品も増えてるし。この犯罪は空想の話。
そして天使さんのは違う職場の部下で働かせすぎて不満、暴動etc…でどうしようか悩んでる。と言った今回二つの問題を飲みの場で話しているのかもしれない。
ちなみに俺も趣味でライトノベル本読んでます。
…うんオッさんの個人情報なんて聞いても誰も得しないか。
というか隣の天使さんが酔いが回ったのか顔を真っ赤にして俺の肩にもたれかかっている…どうしようか?ちゃんとテーブルに俯かせるないとセクハラ問題にならないのかおじさんちょっと不安なんだけど…
「とりあえず原点に戻って異世界転生とかじゃなく昔のドラゴンふにゃららみたいな冒険物を考えてみたらどうですか?ちなみに『ざまぁ』とか『追放』とかもなく王道的な話。そういう話も何だかんだ面白くてすきですよ俺。…あと部下はもう少し大切にしてほしいかな。たまには息抜きに長期休暇をそれぞれ与えてみては?あと給料増やしてあげるとか。でも社員旅行とかは論外ですよ!同じ現場の人もしくは上司との旅行とか気疲れしかこないですから…とりあえず神田さんもうっかりが続くなら疲れてる証拠会社自体休んで見れば仕事効率上がるかもしれませんよ。」
「ふむ原点にか…確かに近年向こうのもの達ばかりを優遇しすぎてこっちの事を疎かにしてたのは確かじゃな。少し見つめなおしてみるかのー。確かに休暇も大切じゃ思い切って長期休暇か…ありかもしれんな…ありがとう田中さんナイス的確アドバイスじゃった。儂の話ばかりすまんかったの…」
「いんですよ神田さん。ここは飲みの席、居酒屋『南次郎』だ。お互いの事も深くはしらないただの飲み仲間。だから嘘もホントも馬鹿話も犯罪計画もなんでも話して楽しんで平和に酒が飲めたら問題なしです。とりあえず店員さんウイスキーロックで!神田さんは何を?…あっ店員さん日本酒もよろしくお願いします」
ーーーこの後も神田さんと色々話しながら飲み明かした。そろそろお開きという所で天使さんが俺の腕にくっついて『いやいや帰りたくない』と駄々を捏ねて神田さんが説得するのに大変だったというのもまた面白話の一つだ。
あの娘は、酔うと甘えん坊になる体質なんだろうか?…変な人につかまらないかおじさんは心配だよ?
そういえば余談ではあるが最近、異世界物の作品ブームが終わってきてるみたいだ。そのかわり『神様がどこかの世界に消えてしまい混沌の時代にたつ中、立ち上がっていく王道の主人公と言った内容』『神様が各地のお酒について飲みながら語ったりする内容』『天使が現代社会に舞い降りて恋愛をすると言った内容』が流行ってきている。
ホント世の中何がブームになるかわからない。
あとあの飲み会の次の日になぜか天使さんと携帯の番号交換する事になった……最初はなぜこんなおじさんと?…とは思うがとりあえず今度二人で喫茶店にでも言って甘いものでも食べに行こうと考えている。
最近なぜかお役所様がうちの会社に踏み込んで職場改善がなされたのだ。今までなかった急な休暇…
長年働きまくってたせいか休日の過ごし方を忘れた何をすれば良いのかわからない俺には、とりあえず喫茶店巡りという新たな趣味の良いキッカケになるだろうと天使さんを誘ってみるのだ。
それに俺は何気に甘いものも大好きだし…まぁおじさんの個人情報は興味ないか…
まぁそんなこんなでこの後の若い子と楽しむ甘味道楽話はまた別の話という事で…




