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コミュ障魔王はメイドが気になる。  作者: 来栖もよもよ


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36/43

【36】

「はいお肉盛り付け終わりましたよー。温玉は?」

 

「大丈夫です!まとめて作ってます」

 

「了解。それじゃあどんどんご飯入れた丼下さーい」

 

「もう深めの器がないのでカレー皿に入れます!」

 

 

 

 

 マイロンド王国の兵士20人とバッカス王国の28人の温玉乗せ豚丼を作っていると、休み時間になったメイドさんや文官さんたちがやって来た。

 

 新メニューだとか騒ぎだして我も我もとなったので、何だか厨房が大学の学食ばりの戦場と化していた。

 

 いや本当の戦場は外の方なんだけど、なんか戦場というにはかなり情けない感じになっているので、こちらの方がよほど殺気立っている気がする。 

 

 取りあえずはご飯をという事で、急いで温玉乗せ豚丼と塩揉みキャベツ、ネギの味噌汁を作り、豚丼は盛り付け、味噌汁と塩揉みキャベツは運ぶのが面倒なので寸胴のまま器だけ別にして両国の分を運んで行って貰う。

 

 厨房の入り口からレルフィード様が邪魔にならないようになのか半身だけ出して覗いていた。

 

 ほんとコワモテなイケメンがやると無駄に可愛いから止めて欲しい。

 仕事中だと言うのに顔がにやけてしまうではないか。

 

「えーと……キリ、何か手伝うか?」

 

「もう少しで他の皆さんの分も終わりますから大丈夫です。シャリラ様とジオン様ももういらしてますか?」

 

「ああ」

 

「ではお食事お持ちしますので席にお戻り下さい」

 

「……分かった」

 

 そそそ、と言う感じで、他の人と目が合わないように目を伏せて去っていくレルフィード様は、どうもまだコミュ障脱却にはほど遠い。

 

 本当にちゃんと和解の話し合いが出来るのか不安になるが、一応私もついていくし何とかなるだろう。


 ダテに社会人を5年もやっていた訳ではない。

 少なくともレルフィード様よりは私やジオンさん、シャリラさんの方が対応力はあるだろう。

 

 私は少し遠くを見つめながら、レルフィード様たちのご飯を器によそうのだった。

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「……恐ろしく美味い……」

 

 シルバが恐る恐る肉の乗った丼をスプーンですくって口に入れ、思わず呟いた。


 

 マイロンド王国の獣人数人が荷車を引いてやってきて、

 

「味噌汁と塩揉みキャベツは各自で入れて下さいね」

 

 と器と鍋をどん、どん、と置いて、水の入った樽も2つくれた。

 そしてフォークとスプーンの入った袋を渡し、

 

「ウチの聖女様のご飯、笑っちゃうぐらい美味いんで。これオンタマ豚丼って名前だそうです」

 

 と、丼に入れた飯に黒みがかったタレのついた肉が豪快に乗せてあり、真ん中に半熟卵よりももっと柔らかい感じの卵が落とされているモノを人数分置いていってくれた。

 

 睡眠薬とか麻痺薬などが入っているんじゃとまだ疑っていたシルバだったが、運んできた奴らと仲間たちが近くで全く同じ丼を抱えて、

 

「……ヤバい、また俺の大好物が変わってしまった……」

 

 だの、

 

「この卵のトロトロが濃い目のタレにまたよく絡んで……そしてこのあっさりキャベツが口の中をすっきりさせるんだな……マジでエンドレスで食えそう」

 

「ミソシルが神」

 

 などと言いながら物凄い勢いで食べているのを見て、まあ大丈夫ではないかと考えた。

 

 ……と言うよりも、鼻をくすぐる甘く香ばしい香りに皆の腹の虫が大合唱して我慢の限界だったのもある。

 

 試しに勇者の1人に毒見がてら食べてもらったが、

 

「……うまっ!」

 

 と叫んだあとは無言で丼とミソシルとキャベツをぐるぐると食べ続け、暫く見ていても倒れる気配も皆無だったので皆にゴーサインを出したのだ。

 

 一口食べて、自分の国の料理の味つけと異なる事は解ったが、後はもう「美味い」しか出てこない。

 

 聖女も首を捻り、

 

「この味はソイソースかしら……ミソスープもジャパニーズレストランで食べたのより美味しい……バッカス王国よりご飯事情が全然上じゃない。手が止まらない自分が腹立たしいわ。──こっちの聖女ってアジア人?さては元飲食業ね」

 

 などと呟きながら、直した化粧がまた落ちる勢いでがっついていた。

 

 アーノルドもオルセーも、

 

「いや本当に美味いですね」

 

「本当だな。このキャベツのしんなりしたのもいい感じで口直しになるし」

 

 などと呑気に飯談義に花を咲かせている。

 

 お前ら敵陣から恵んで貰った飯を誉めてどうすんだと腹立たしくおもいながらも、シルバもただひたすらスプーンでこの美味い飯を黙々と食べ進めるのだった。

 

 

 

 

 

 

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