戦闘力100くらいになったと思う
「死ね」
無慈悲な言葉と共に一撃が繰り出される
ガキン!!
「不穏な発言しないでください!」
その一撃を難なく愛瑠は受け止める。
「安心せい。防ぎきれば冗談ですむ」
「その発言が問題なん…うぉわ!?」
再び飛んでくる一撃を何とか弾く。
「その調子じゃ、どんどんいくぞ」
反撃を赦さぬ一撃が何度も飛んでくる。
ルーナと修行を初めて一月が経過し愛瑠は何とかルーナの一撃を弾くことができるようになった。たまたま防げた時愛瑠が雄叫びをあげるとルーナはそのままもう一撃放ち地面に倒れ伏すことになった。その後それをたまたまではなく任意で出来るようにせよと言われ愛瑠は必死になってルーナの一撃を自力で防げるようになった。そして今度はルーナの一撃を防ぎ続ける修行に変わっていた。ついでに修行が進むにつれ徐々にルーナの発言が不穏になっていった。
「ほれほれどうした? このままだと四肢が胴体から離れるぞ?」
「止めい!?」
ルーナの発言に愛瑠は突っ込む。
愛瑠はルーナの攻撃を貰った刀ー"新月“で防ぎ続けるがついにルーナの一撃で刀が手から離れる。
「……ふむ。少し休憩するか」
「はい」
それを見たルーナは休憩を入れることにした。愛瑠は飛んでいった刀を回収しルーナに話しかける。
「師匠、もう次に移っても良くないですか? 師匠の攻撃も連続して防げるようになってるじゃないですか」
愛瑠の意見にルーナは反対する。
「確かにお主はわしの攻撃をある程度防げるようになったがまだまだじゃぞ。……それにわしが繰り出している一撃は実際の戦闘では繰り出さんレベルだぞ」
何言ってるんだとルーナは言う。
「え!? 冗談デスヨネ?」
ルーナの発言に愛瑠は口調がカタコトに変化した。
「いや、冗談ではない。速度は遅いし斬り込む角度も甘い。どこに飛んでくるか簡単にわかるような攻撃を実戦で使うわけなかろう。だから徐々ににレベルをあげていってるんじゃよ」
わかったか、と聞いてくるルーナに愛瑠は黙りこんだ。
「……とはいえそれなりにやるようになったのは認めてやろう。そろそろわしの流派の技の一つくらい教えてもよかろう」
ばっ!とルーナの方に顔を向ける。
「お主にわしの流派"月齢流“の技を伝授してやろうと言っとるのだ。とはいえ使いこなせるようになるかはお主次第だがの」
そう言ってルーナは刀を構える。
「良く見ておれ、一度しかやらんぞ」
愛瑠は目を凝らしてルーナを見る。そしてルーナが技を放つ。
月齢流〈炎斬り〉
グリフォンとの戦闘でも見たその一太刀はまるで火の神の首を切るかのように鮮やかだった。
「すごい……」
思わず出た言葉にルーナは機嫌良く答える。
「だろう!わしも初めてこの技を見たときそう思ったものじゃ!?」
静かに笑うルーナに愛瑠は憧れる。
「さてこの技を使いこなせるようになるためにも修行を始めるかの」
「はい!」
愛瑠の強い返事にルーナの笑みは強くなり修行が再開した。
さらに一月経ち、遂に愛瑠はルーナから冒険者になる許可を貰う。
愛瑠「亀の老人から修行を受けた猿の少年と同等くらいの強さになったはず(キリッ)」
ルーナ「何を言うておる?わしの知る猿の獣人は独学でお主より強くなったぞ」
愛瑠「…まじですか」