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終末後の世界を旅しよう!  作者: エント
先ずは異世界を認識しましょう
5/18

幸せに妥協しない

夜遅くまで話し合った愛瑠たちは次の日ルーナの家に訪れていた。家にはルーナがおり、すれ違うこともなかった。


「ほう、多少は良い顔になったではないか」

出会って早々ルーナは愛瑠を見て言った。


前に来た部屋につくと愛瑠たちはルーナに冒険者になりたいという話をする。それを聞いたルーナは愛瑠たちに質問した。

「目標は決まったようだがこれからどうするつもりかの? 正直に言ってマオはまだしも愛瑠が冒険者になるのは厳しかろう」

ルーナから厳しい言葉が返ってくるが予想の内である。そのため、愛瑠はルーナに願い出る。

「はい、そこでひとつお願いがあります」

「ほう、願いとな?」

ルーナが愛瑠の言葉に反応する。

「はい、私を冒険者として活動出来るようになるまで鍛えてもらえませんか」

愛瑠の願いにルーナはあまり良い顔をしない。

「……お主のためにはっきり言おう。お主に才能はない。努力しても技量は平均を上回らんだろう」

ルーナははっきりと残酷な評価を告げる。

「ですが冒険は出来ますよね?」

しかしルーナのはっきりした評価に間髪入れず愛瑠は尋ねる。そこに何かを思ったのかルーナは言いつのる。

「確かに冒険は出来るだろう。しかし最終的にはマオとの才能の差が大きく開き、お主はマオの枷となろう」

「そんなことは構わないよ!」

マオの言葉にチラリとマオを見たルーナは再び愛瑠に目を合わせる。

「マオは構わないというがこの差は後々マオの枷になるだけでなくお主自身を苛むことになるぞ…それに向き合うためにどれ程の苦痛があることか」

止めとけとルーナに言外に伝えてくる。マオも愛瑠が受けるだろう苦痛を想像したのか口を紡ぐ。


「問題ありません」


愛瑠はただそう呟いた。

「何?」

なんと言われたか理解できなかったのかルーナが訪ね返す。

それを見た愛瑠はもう一度言う。

「問題ないと言いました。苦痛にまみれている? そんなことはわかっています」

「ならそれがマオの危険にも繋がるとわかっておろう!?」

ルーナが声を荒げる。今まで見たこともないルーナの姿にマオは動きを止める。しかし愛瑠は平然としていた。

「どれ程の苦痛があろうとそれでマオと旅できるなら安いものです」

「お主には幸せになれる道がある!! かつて誰もが望み誰もが得られなかった幸せがそこにある!! 何が不満なのだ!? 幸せがあるのに何故苦痛にまみれた道を歩もうとする!?」

その言葉には強い想いが込められていた。その想いを受けてなお愛瑠は告げる。


「そこにそれだけの価値がありますか?」


「…何?」

もう一度はっきりと告げる。

「そこに私の本当にしたいと願うこと以上の価値がありますか? 苦痛にまみれてでも私は望むことがしたい」

その言葉にルーナは絶句する。そこに愛瑠だけでなく他の誰かも重ねていた。

しばらく部屋を沈黙が包み込んでいたがルーナがポツリと呟く。

「そうか……それが答えなのだな」

何かに納得したルーナは再び愛瑠たちに向き直り願いを受け入れる。

「よし、わかった。愛瑠、お主の願いを受け入れよう」

「ありがとうございます!」

愛瑠が感謝の言葉を述べる。

「わしは準備をしてくるからそこで待っておけ」

そう言ってルーナが部屋を出ていった。しばらく部屋を沈黙が包み込んでいたがルーナが戻って来ないとわかるとマオが緊張から解けたのか体をダランとさせて転がった。

「はぁー怖かった。あんな村長初めて見たよ」

その言葉に愛瑠は反応する。

「そんなに? マオはあのくらい怒ってる所みたことないの?」

愛瑠が尋ねるとマオはポツリと話し出す。

「……村長とは生まれた時からの知り合いだけどいつも余裕を持って接してくるからあんなに怒鳴ったところはみたことないよ。私が昔色々イタズラした時でもあそこまでのことはなかったもの」

どうやらかなり怒らせたらしい。後で謝ろうと考えているとさらにマオがポツリと愛瑠に聞こえないくらいの声で呟いた。


「……でも最後のほうはなんか村長満足げだったな。なんき憑き物でもとれたみたいに……気のせいかな?」




しばらくマオと今後について話しているとルーナが部屋に戻ってきた。

「待たせたの、愛瑠。お主にこれをやろう」

戻って早々そう言ってルーナは愛瑠に手に持っていたものを突きつけた。それに目を向けた愛瑠がルーナに尋ねる。

「刀……ですか?」

そこには全身が黒で統一された刀があった。

「うむ、その通りだ。この刀の名は"新月“という。かつてわしの師が使っていたものを譲り受けた品だ」

思い出の品と聞いて愛瑠は受け取るのを躊躇う。

「そんな思い出の品を受け取る何て……」

「構わん。わしにはわしの愛刀があるゆえ使われておらんのだ。このままでは宝の持ち腐れになってしまうからの」

受け取れ、と刀を押し付けてくるルーナから躊躇いがちに愛瑠は刀を受け取る。

「お主にはこれを使って修行してもらう。わしが直々に教えてやるから感謝せい!」

「……ありがとうございます」

思うところはあるが愛瑠はルーナに感謝の言葉を述べ、それによいよいと言ってルーナは愛瑠たちに告げる。

「愛瑠はこのままわしと修行じゃ。マオは邪魔になるから先に帰っておれ」

「え~!? ぼくも愛瑠の修行に付き合いたいなぁ」

駄々をこねるマオにルーナはダメだと述べる。

「愛瑠にはわしの流派を教えることになるため部外者にはいてほしくない。すまんが帰っておいてくれ」

ぶー、と頬を膨らませながらも愛瑠のためにも仕方ないとマオが出ていった。

マオが居なくなったのを確認したルーナは愛瑠に修行の内容について述べる。

「それでは修行をするために裏庭に行こうか。そこでお主にはわしの流派、すなわち生き残るための技術を磨いてもらうことにする」


主人公は強くなれるのか!?今後に期待するンゴ。

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