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終末後の世界を旅しよう!  作者: エント
先ずは異世界を認識しましょう
4/18

可能性

マオの家に着いた後愛瑠かは考えを纏めるために一人にしてもらおうと考えた。が、マオもやることがあるらしくマオの家で待機しておいてほしいと言われ、結果として一人になった。


(今後についてか……)

一人になった後、愛瑠は考える。

ルーナは明言していなかったが元の世界に帰る方法は知らないのだろう。あれほど親切にしてくれる以上何か少しでも知ってたら教えてくれただろう。


ルーナの言っていたことに思いを馳せる。

かつてこの世界にやって来た異世界人の働きで異世界人に対してこの世界は優しいらしい。鬼人族の保護というのがどの程度なのかはわからないが悪いことにはならないだろう。しかし――


(……そんな……守られるだけの生活に意味があるのだろうか?)


法の下ではあるが自由を持って生きてきた愛瑠にとって保護と言われてもそれは自由の拘束のように感じられた。保護が善意から来ているものだというのはわかっている。しかし感情が受け入れない。今の彼女にとってこれ以上のものはないこともわかっている。だからこそ彼女は感情の整理をするために一人になったのだ。


数時間たっても結論が出ないまま考え込んでいるとマオが何かを持って家に帰ってきた。マオは愛瑠に用件があるらしく考え込んでいる愛瑠に話しかけてくる。

「愛瑠今良い?」

「うん、どうしたの?」

考えるのを止めてマオの方を向く。

「愛瑠にこれを渡しとこうと思って」

そう言ってマオは持っていたものを愛瑠に見せた。

それは黒く染められた毛皮のコートだった。

「コート?」

「うん、村に防具の作成に長けた"ギフト“を持つ人がいてね。作って貰ったんだ」

そのコートの毛皮はどこかでみたことがあるような気がした。

「このコートがどうしたの?」

愛瑠がマオに尋ねるとマオは少しためらいつつ言った。

「えっとね。これは愛瑠のために用意したんだ」

「え!?」

愛瑠が驚くのを尻目にマオは続ける。

「その……愛瑠はこの世界に来たばかりだしみた感じ防具も持ってなさそうだから……この世界で生きていく上で防具はあった方が良いかなって」

「ありがとうマオ!」

嬉しさのあまりマオに抱きついた。

愛瑠が喜んだ勢いでマオに抱きつくとマオはそのことに慌てながら話を続ける。

「そ、それでね。これには愛瑠が会ったグリフォンの毛皮を使ってるんだ」

「え?」

確かにそう言われて見るとコートに使われている毛皮はあの時見たグリフォンのものに似ている気がする。

「グリフォンの毛皮は丈夫だし村長が一太刀で殺したから傷がほとんどない。これは愛瑠の身を守るのに役立つかなと思ってさっき村長に毛皮を貰って加工したんだ。……その、え、愛瑠はグリフォンに襲われて危ない目にあったけどグリフォンの毛皮を使うのは大丈夫かな?」

グリフォンに襲われたことがトラウマになっていないかと心配してくれるマオにありがたく思う。

「大丈夫だよ、マオ。……ありがとう」

マオにより強く抱きついた。

突然誰も自分を知らない所に来た愛瑠に優しく接するマオに心が温まる。

少しだけ心に溜まっていた不安が減った気がした。


「それで愛瑠はどうするの?」

マオが心配そうに聞いてくる。

「実はまだ決まってないんだ」

自身の考えをマオに伝えた。話を聞いたマオは少し考えこんだ後、愛瑠に一つの提案をした。

「ぼくには愛瑠のいう自由とかわからないけど自由が欲しいなら冒険者になったら?」

「冒険者?」

異世界お馴染みの単語に反応する。

「うん、冒険者というのは強大な魔物を倒したり人の手の入らない秘境を踏破したりする職業だよ」

「うーん魅力的だけど私には力はないし……」

乗り気でない愛瑠の様子にマオは慌てながらさらに言いつのる。

「ならぼくと一緒に冒険者になろうよ! ぼくはけっこう戦えるから安全に旅できるよ!?」

「え?」

マオの誘いに驚く。

「でも……」

「愛瑠も別にすぐに決める必要はないって村長も言ってたでしょ? ならその間に強くなって冒険者になれば良いんだよ!」

言うは易しやるは難しというものである。だが思うほど現実味のない話ではない。誰だって元々は弱いのだ。ならば可能性はある。

「だから愛瑠も少しこの事を考え__

「ううん、必要ないよ」

即座に言い返す愛瑠にマオは体を硬直させるそれを感じながら愛瑠は続ける。

「悪くない提案だと思う。マオが良いならそうしたい」

マオの目を真っ直ぐ見ながら言う愛瑠にマオは最初頭に入ってないのか硬直していたが、だんだん頭に浸透してきて__


「本当!? 良いよ!! 一緒に冒険者になろう!!愛瑠となら色々なことができる気がする!!」

マオは大喜びで承諾する。

「じゃあそのためにどうしたら良いのか話し合おう」

その日、愛瑠たちの楽しげな話し声が夜遅くまで聞こえた。

愛瑠のストレスが減ったンゴ。

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