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97.石鹸を使ってみる

さて、パッチテストを行なっていた石鹸だが、24時間経過しても特に支障はなかった。

炭酸ナトリウムの量を少なめにしていたバッチでは、多少皮膚が赤くなったぐらいだ。

まあ俺の肌が丈夫なだけかもしれないから、次は小夜で試してもららおう。

もっとも刺激が少なかったバッチの石鹸を小夜に渡し、使ってもらう。

風呂場に置いていた俺のシャンプーとコンディショナー、ボディーソープは回収した。


ちなみに俺個人の感想は特に違和感はなかった。多少髪が(きし)む気がするだろうか。

椿油などに少し酸を加えたトリートメントを作ったほうがいいかもしれない。


といっても椿の実は回収しそびれている。今手に入る植物性油脂が取れそうなものは……茶の実ぐらいか。


茶の木を管理している青に聞くと、茶の栽培を始める際に茶の木を数本促成栽培して収穫した種が出てきた。

この種を割り、軽く()ってから砕き、絞りやすくするために蒸す。

蒸したものを圧搾機にかけて絞ると、少量の油が取れた。


この油に、夏が過ぎ収穫時期になったカボスの絞り汁を少量加え、トリートメントにした。


出来上がった頃に小夜達が風呂から上がってきた。今日は白と黒も一緒に入っていたらしい。

どうやら3人で石鹸の使用感を確かめていたようだ。

3人を呼び、それぞれの髪にトリートメントを満遍(まんべん)なく塗り、白と赤の精霊で温風を作りブローする。


小夜と黒の黒髪も、白の長い白髪もサラサラに仕上がった。特に白の白髪は光を反射して神々しいほどだ。

小夜と黒にもしっかりと「天使の輪」が出来ている。


「へえ、変わるもんだなあ。俺の髪もサラサラになるかな」

そう言った紅に皆が容赦なく突っ込む。


「いや紅姉は髪短いから変わらないでしょ」

「タケルより短いんじゃない?ほとんど男の子」

「うるさい!俺はこれでいいの!タケルは寝ながらずっと撫でてくれるんだから。お前らは髪が絡むから、あんまり撫でてもらえてないだろ?」


ちょっと紅姉さん……なんと恐ろしいコトを言い出すのだ。こっちを振り向いた3人が一斉に無言の抗議をしてくる。まあ言葉にすれば「はああ??!貴様(きさん)(なん)ばしよっとか??!」と言ったところか。


「タケル兄さん?どういうことかな?」

「まさか紅姉にそんなことしてたの?私達の時はすぐに寝ちゃうくせに」

「まあタケルも甘えんぼのところがあるし」

「なにそれ、黒ちゃんなんかあったの??」

黒が更に意味不明な発言をして、小夜が突っかかっている。


いや言い訳をするぞ?自覚はないんだよ?確かにこの3人は寝ているときにも結構動くから、長い髪を下敷きにしたら引っ張ってしまうだろうとか気は使っていたが、紅の髪をずっと撫でているつもりはない。


のだが……紅をチラッと見ると、ニヤッとした笑みを浮かべている。こいつ……嵌めたな。


「まあまあ、お子様達には関係ない大人の世界ってヤツだ。あと数年は我慢してな!」

皆が凍りついたところへ、青が声をかけてきた。

「どうしたのですか?少々騒がしいですよ?」

「ちょっと青姉聞いて!タケルったら紅姉と寝てるとき、ずっと紅姉の髪撫でてるって!」

「あら、そんなコトですか?私も撫でてもらってますよ?あなた達は違うの?」

『そんなことされてない!』

「まあ、あなた達もすぐ寝てしまうし、起きるのも旦那様より後でしょう?寝相も悪そうだし、気づいてないだけじゃないですか?」

「そんなことないもん!!」

「じゃあ今夜は可愛がってもらいなさい?紅?今日の順番はこの子達に譲りなさい。いいですね?」

「え〜〜仕方ねえなあ」

「仕方ないじゃありません。貴女の不用意な一言が火に油を注いでいるのでしょう。ほら、紅の気が変わらないうちに、早く寝る準備をなさい」


さすが青姉さん。反論を許さない。


「それと旦那様。子供達にもその『とりーとめんと』を使わせるのなら、少々量が足りないようです。よろしければ私がお作りしますが、よろしいですか?」

「ああ。よろしく頼む」

「承知いたしました。しかしあの子達ももう少し恥じらいというか……その、旦那様の前に下着同然の姿で出てくるなど……紅もですよ!」

「だって風呂上がりは暑いしよ〜仕方ねえじゃん」

「仕方ないじゃありません!」


そんなお小言を聴いているうちに、小夜達の支度が終わったらしい。といっても寝間着のTシャツを着ただけなのだが。


「タケル兄さん行くよ!」

「タケルさん!行きましょう!」

両サイドから腕を取られ、黒に背中から押されて俺の部屋に連行された。

「ごゆっくり〜」

青がニコニコしながら見送ってくれた。青は青で楽しんでいるようだ。


結局その夜は4人で寝ることになった。

右に小夜、左に白で腕枕でずっと頭を撫でる……のはいいのだが……

「ん……私はここでいい」

そう言って黒が俺の足の間に潜り込んできた。

「ちょ…黒!そこはダメ」

「タケル兄さん!手を離しちゃだめ!」

「タケルさん!こっちの手も抜いちゃだめです!」

「いや黒が変な所に頭突っ込んでるから!」

「変じゃない。タケルの胴体は一つしかないから、小夜と白が両側から抱きついたら残らない。私は足でいいから挟んでもらう。ほら、力抜いて。くすぐっちゃうぞ?」


……もう好きにしてください……


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