表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星姫計画  作者: クンスト
第一章 シリアルナンバー023 歌い姫 人参《キャロット》の場合
6/96

1-5 インターミッション

 今日も念じながら一枚千円の星姫アイドルカードを開封する。

 狙いのカードはいつも手に入らない。人類滅亡まで残り二ヶ月だというのに、このまま俺は滅びてしまうというのか。


「む、この手触りは……レアカード!」


 キンピカ加工は独特だ。俺程に食費を削ってカードを購入していると、指で触っただけでもノーマルカードと区別できるようになる。

武蔵むさし、良かったじゃん。おめでとう」

「ありがとう、と言いたいが問題は誰のカードかだ」

 星姫アイドルカードは人類滅亡の寸前に行われる総選挙で、どの星姫候補を建造中の星姫に乗せるかを投票するためのチケットになる。誰のカードかは関係なく、一枚のカードで一枚の投票用紙を受け取る事が可能だ。

 お気に入りの星姫候補がいるのなら、財力によってカードをかき集めて投票する事も可能なのだ。

 不正や工作をしまくれる穴だらけのシステムのような気がするが、伝統的な方法と言われてはデザインチャイルドとしては従う他ない。

「やったじゃん、この子は!」

「言うな!」

 同室の同居人、大和やまとの言葉をさえぎって自分で開封したカードの表をチラ見する。


「…………はぁ。また、外れた。シリアルナンバー015、走り姫こと竜髭菜アスパラガスのレアカードだった」





 シリアルナンバー023、人参キャロットは本日のメディア向けの仕事をすべてキャンセルしていた。星姫になったとしても人類救済の方法を発見できてない彼女には、もう人気を取る理由がない。

 今、人参キャロットが歩いているのは星姫の建造区画である。

 最高のセキュリティで守られた地下の施設で、全域がシールド加工されているため無線での通信が行えない。量子通信についても量子バリアによって対策済。星姫候補であっても歩いて向かうしかない場所だ。


「ここへの呼び出し理由は何かな、学園では話せない用事? シリアルナンバー001、馬鈴薯ばれいしょ


 人参キャロットは今日、同じ超高度AIに呼び出されてここにやって来た。


「シリアルナンバー023、人参キャロット。私には、人類を救う手立てがある」


 超高度AIたる人参キャロットが演算負荷により押し黙る。

「協力してくれないかしら」

 赤い照明に照らされる地下空間の中で、長い黒髪の星姫候補は不気味に口をゆがめる。


これにて人参編完了です。

次回より新章となります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ