誰?
ゆっくりしていってね!
気づいたら自分は不思議な空間の中にいた。
一見、ただの真っ暗な部屋に見えるが、部屋にしてはおかしなものがある。
それは目だ。壁の至る所から自分のことをじっと見つめているおびただしい数の目。
普段の自分ならその異常な光景に恐怖し、発狂していただろう。しかし、今の自分には目なんてどうでも良くなるほど沢山の問題が山積みになっていた為に目に対する恐怖は全く感じていなかった。
おびただしい数の目の存在よりも今自分を悩ませているもの、それは「ここはどこだ」ということともう一つ「自分は誰なんだ」という疑問であった。
特に後者の疑問がヤバい。この疑問が解けない限り自分はこの空間から出れたとしてもどこに行き何をすればよいのかがわからない。それでは出れたとしても意味がない。この空間から脱出したあとのためにもなんとかして自分が誰かを思い出さなければならない。焦る気持ちとは裏腹にその答えはいっこうに思い浮かぶ気配はなかった。
しばらく思い出す努力をしていたが時間だけが過ぎるだけだった。が、かわりに
「もしかしたら、この空間の中に自分の存在に対するヒントがあるかもしれない。」
という、なんの根拠もないことが頭のなかを支配するようになっていた。
そこで気晴らしに少しこの空間の中を調べることにした。
ゆっくりできたかな?