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ダンジョン攻略の基本は方眼紙です

某ゲームっぽいダンジョン攻略編です。


大の猫好きのアマネが加わり戦力として俺達のパーティは大幅にアップしたが、問題が無いわけではない。

それは俺とクラリッサの戦闘経験値とパーティとしての連携だ。

個々の戦力が大きくとも連携が取れていなければ危機に陥ることもある。

その連携を培う為、エーリカは出発までの間ジャガンの街の傍にある地下迷宮(ダンジョン)に俺達を潜らせると言い始めた。

エーリカは用事があるのでついていけないと言ったが、地下迷宮(ダンジョン)と聞いた俺にはその言葉は届かなかった。


地下迷宮(ダンジョン)、そこに冒険者になって潜るのはゲーマにとって悲願なのかもしれない。

そして潜るならウィザード○ー式のタンジョンが俺の好みです。

思わず羊皮紙で20x20の方眼紙作ってしまうほど俺の心は地下迷宮(ダンジョン)に向かってしまった。

アマネは最初めんどくさいとか言っていたが俺が子猫の時に頼めばイチコロで落ちました。

クラリッサもアマネとパーティなんか嫌だと言っていましたが、じゃあアマネと二人で潜ると言うとそれは絶対に駄目と着いてくることになりました。

二人共ちょろいです。



ジャガンの街から徒歩一時間ほどの距離に地下迷宮(ダンジョン)は存在する。

ジャガンの街の側にある地下迷宮(ダンジョン)だからジャガンの地下迷宮(ダンジョン)となんの捻りもなく名付けられたこの地下迷宮(ダンジョン)は、街が村であった時代から存在していたらしい。


入り口は石造りの立派な建物となっており門番がたっている。

地下迷宮(ダンジョン)の周りにはそこに入る冒険者向にポーションなど探索に必要な物を売る露天が並んでいる。

そこで俺はマップが売られているのを発見した。

ジャガンの街の歴史は六百年、地下迷宮(ダンジョン)もそれだけ攻略され続けているのだ、当然マップなども売られるはずである。


このままでは地下迷宮(ダンジョン)が全て攻略されつくすのではと思うのだがそこはうまく出来ており一定階層以下は数年単位でその構造が変化するとのことで、未だ最下層に辿り着いた冒険者はいないそうだ。


また冒険者に売られるマップはそのランクに応じて売られる階層が制限されており、初級の下である俺達には地下五階までしか売ってもらえないとの事だった。

これはランクが低い、つまり弱い冒険者がマップを頼りに深い階層に潜って死傷するのを防ぐためらしい。


後、マップがあるからといって地下迷宮(ダンジョン)に魔獣が出ないわけではなく中に入れば普通に魔獣と闘うことになる。

マップを買う利点はモンスターハウスや落とし穴などトラップに引っかかる事がなくなることだろう。


アマネは地下迷宮(ダンジョン)に潜ってた経験があり、低階層ならマップ無しでも大丈夫と言うので俺達はマップを購入しなかった。


地下迷宮(ダンジョン)は入るのに一人銀貨二枚とお金が必要である。

これはジャガンの街近辺を収めるラフトル伯爵の収入となるわけだが、その見返りとして街にかかる税金や冒険者ギルドへの支援金などがでる。

それに地下迷宮(ダンジョン)に潜れば銀貨二枚程度あっという間に稼げてしまうので、よっぽど駆け出しの冒険者以外文句を言う人はいない。


三人分銀貨六枚を支払いワクテカしながら俺は地下迷宮(ダンジョン)に潜っていった。





「で、なぜこんなところで迷子になっているんでしょうか? アマネさん。」


二十分後、俺達は地下四階層で迷子になっていた。

隣で凹むアマネを俺とクラリッサが睨むが迷子になってしまったの現実は戻らない。

なぜこんなことになってしまったかというと、



迷宮へ続く階段はけっこう長く、降りた先にある小部屋では何人かの冒険者が誰か待っているのか休憩していた。

迷宮内の魔獣は不思議なことに自分たちの居る階層から移動することはなく、ましてや外に溢れ出ることもないらしい。


小部屋から扉を開けて迷宮の地下一階層にに入る。

迷宮内は石または土の壁でどんな原理かわからないが壁自体がぼんやりと光っている。

その灯りは隣の人の顔が見分けれる程度の明るさであり、視界が悪い。


俺は明かりの魔法(ライティング)を唱え視界を確保した。

松明も持っているが、やはり魔法の灯りのほうが煙も熱も出ないし便利だからだ。


明るく照らしだされた迷宮を自信満々に進むアマネ。

俺達は彼女に従ってコボルトやゴブリン、そして定番のスライムなどの魔獣を蹴散らして進んだ。

俺だけでも倒せる魔獣であるが、数が多い時もありアマネと連携することで鎧袖一触で進撃する。


地下一階層はたいした魔獣もでない代わりに宝箱...どんな原理かわからないが迷宮のあちこちに出現するらしい...も出ない。

第一あちこちで冒険者に会うのだからもし出現しても先に開けられてしまうだろう。


途中一緒になった冒険者に聞いたところ、手慣れた冒険者はは地下五階層を目指すらしい。

とあるところで手に入る青いリボンを持っていると昇降機と呼ばれる装置で一気に五階層までいけるのでそこからさらに下の階層に降りていくとのことだった。


(某ゲームの迷宮に似すぎだろ。もしかしてこれを作った邪神か神ってあっちの世界の設定パクってるんじゃないのか?)


そんな事を考えながら俺はアマネ先導のもと迷宮を進む。

アマネは「地下一階層じゃ魔獣も弱いので最低でも三階層くらいを目指そう」と言って下に降りる階段に俺達を案内している....はずだった。


「あれ?」


真っ直ぐな通路を歩いている時、アマネが叫ぶと同時に俺達はシューターを滑り落ちていた。



アマネは確かに地下迷宮(ダンジョン)の低階層のマップを知っている。

しかし彼女は致命的なまでに方向音痴であり、しかもドジっ子だったのだ。

俺とクラリッサがそのことに気づくまでにシュータと落とし穴に次々と引っかかり一気に地下四階層まで落ちてしまっていた。


最後の落とし穴に落ちた時は死ぬかと思ったが落下制御フォーリングコントロールが間に合って全員無事に下の階層に降りることが出来た。



そして今地下4階層で迷っているのだ。


「され、これからの方針ですが、まじめにマッピングをやって進んで行きたいと思います。」


クラリッサとアマネが頷く。


「で、問題は罠なのですが...この中で罠の検知を出来る人は?」


誰も手を上げない。

俺もクラリッサも地下迷宮(ダンジョン)に潜ったことが無いのだから知らなくて当たり前だが、アマネが知らないとは...まあ期待はしていなかったのだが。


「では、今から役割を割り振ります。クラリッサ、この羊皮紙を渡すからマップを書いて下さい。僕はこれで罠を探します。」


地下迷宮(ダンジョン)探索に定番と思って用意してきたが、本当に使うハメになるとは思わなかった三メートルの長さの木の棒をポケット(無限のポケット)から取り出した。

アマネが頼りにならない以上、俺がTRPGやゲームで培った知識で此処は切り抜けるしかないと覚悟する。


「あたいは何をすれば....」


「「黙って付いてきなさい!」」


俺とクラリッサの両方から怒鳴られ落ち込むアマネであった。




「アマネさん、四階層の罠は何があるか思い出せますか?」


マップはアマネの頭のなかにあるのだが、彼女はそれを使って俺達を導くことが出来ない。

しかし罠の種類ぐらいはわかるはずだ。

そう思って俺はアマネに罠の種類を聞いてみた。


「えーっと、シューターだろ、落とし穴だろ、後は転送魔法陣かな...」


「...転送魔法陣(テレポータ)があるのですか...」


転送魔法陣(テレポータ)?」


「気にしなくて良いです。」


「転送魔法陣は床をよく見ればわかるはずだよ。」


アマネの言葉をとりあえず信じて俺は床を棒で叩いて調べながら進み始めた。



四階層はあるアイテムを手に入れるためだけに存在するらしく、そこから下にはいけないため冒険者もあまりこない階層である。

誰もこないから魔獣が倒されることもなく、多数の魔獣が階層をうろついており、俺達は少し進むたびに魔獣と戦う羽目になっている。


「くっ、スケルトンに刃物じゃ辛いな。」


四階層からはアンデット系の魔獣が出てくるようになり、彷徨う死体(ゾンビ)やスケルトンと戦わなければならない。


彷徨う死体(ゾンビ)は動きも遅く、腐った皮鎧しか着ていないため簡単に足を切り落とし動きを止めることが出来る。

しかし見た目がかなりグロく臭いのでできれば離れたところから火葬にしたい敵だ。


スケルトンは骨だけなのそこまで気持ち悪くはないのだが、ただの骨のくせに妙に硬い。

そのため俺の小剣ではなかなか破壊できないのだ。

確かにゲームとかではスケルトンは刃物の武器より鈍器のほうが倒しやすいという設定があったがそれを今、現実に痛感させられている。


「喋らずにさっさとたおしな」


アマネは小太刀と刃物の武器なのに簡単にスケルトンを破壊していっているので、俺が下手なだけかもしれない。


アマネがいなければ死霊退散(ターンアンデット)の呪文を試したいところだった、



四体のスケルトンを倒した小部屋で俺達は一旦休憩を取ることにした。

四階層に落ちてから二時間ぐらいずっと探索と戦闘を続けていたので疲労がかなり溜まっている。


「クラリッサ、マップの方はどんな具合?」


「んーっと、こんな感じ。」


クラリッサが作ったマップはかなりいい感じで埋まっていた。

20x20の方眼紙に合う感じでマップが作れらており、某ゲームを彷彿とさせる。


「一応アマネさんも見てください。いくら方向音痴でもマップをみて何処に階段があったかくらいは言えると思うですが?」


「んーと、確かこの辺りにあったと思う。」


「後ちょっとですね」


アマネが指し示す上り階段があるだろう空白の領域は後ちょっとで辿り着けそうだった。

二十分ほどの休憩を終え、小部屋を出て再び探索に戻る。



俺が通路の端にある扉を聞き耳した後開ける。

扉の向こうではアンデット系魔獣が待ち伏せをしている場合があるが、今回はいなかったみたいだ。

アンデット系の魔獣はほとんど音も立てないし気配もしないため扉を開けるまではいるかどうか判らないのだ。

それに倒しても売れそうな素材も落とさないし、せいぜい生前身につけていた小銭が落ちる程度である。

地下四階層に冒険者がいない理由である。


「プルート、あそこに上りの階段が。」


クラリッサが通路の先に登り階段があるのを見つける。

俺は走り出したい気持ちを抑え、通路の罠を調べようとした...が、調べる前に飛び出してしまった奴がいた。


うん、予想していたが、アマネが飛び出していた。

彼女の足元で魔法陣が光ると俺達はどこかに飛ばされていた。



光が収まり目を開けると、そこは見覚えのある場所だった。

どうやら同じ階層に飛ばすタイプの転送魔法陣(テレポータ)だったらしい。


隣でorzの姿勢のまま動かないアマネに俺とクラリッサは冷たい視線を送り再び登り階段に向けた歩み始めた。





迷宮に入ってか四時間が経過した。

三階層に上がってからは敵も弱くなりトラップも少なくなったため順調に探索を進めることができ、あっという間に三階層から二階層に抜け、今一階層に登る階段を発見したところである。


「ようやく一階層ですね。」


「長かったよ。」


俺とクラリッサは肉体疲労もそうだが、精神的な疲労でかなり疲れていた。

精神的疲労の原因はアマネである。

魔獣との戦闘ではアマネはその戦闘力を活かして活躍してくれるのだが、迷宮の探索では方向音痴と天然のドジっ子ブリを発揮して様々な罠を発動させてくれるのだ。

昔彼女とダンジョンに潜った仲間はさぞや大変だったのだろうと俺は思うのだった。


俺もクラリッサもアマネの扱いが理解ってきたので一階層で彼女がトラップに引っかからないように慎重に誘導する。

そのかいもあり十分程で俺達は地上へと戻ることが出来た。





疲れた足を引きずって店に帰るとエーリカがニコニコしながら待っていた。


「どうだった迷宮は?」


「疲れました。」


「エーリカはアマネが方向音痴って知ってたんですか?」


クラリッサの質問に


「うん、アマネとは一度パーティ組んで潜ったことあるから知ってたのよね~。」


と笑いながら答える。


「酷いじゃないですか。先に教えてくれればこんなに苦労することもなかったのに。」


「どうせ地下四階層までしかいかなかったんでしょ?その辺りならあなた達が怪我することもないだろうし。アマネも闘いならちゃんとこなせるからね。あなた達にはそれ以外の事を学んで欲しかったのよ。」


エーリカが俺とクラリッサをアマネと組ませて潜らせたのは闘い以外の事を学んで欲しかったかららしい。

が、ニコニコとしているエーリカを見ていると、自分も苦労したから俺達にも味わわせたかったに違いないと思えてしょうが無いのだった。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

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