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必ず帰る

初めて会った時のことを今でもはっきりと思い出せる―


まず目に飛び込んできたのは青く輝く宝石―


太陽のように輝く髪とその笑顔―


幼心に焼き付けられた愛しき人……




「なぜですか、なぜアル様が死土に向かわなければならないのですかっ。陛下は何故っ」


腕の中で泣きじゃくる妻、出逢ってから12年こんな風に泣く妻は初めてだ。


彼女が笑顔を失うことのないよう、俺はこの先自分の全てをかけて彼女を守ろう――


幼き頃自分に課した誓いを、よもやこんな理由で破ることになるとは想像もしていなかった。

落ち着かせるために妻の背を撫でる。

何度も、何度も、その名を呼びながら。

「エリー、必ず戻る、俺は君のそばでなければ生きていけない。

だからエリー、どうか信じて待っていてくれ」

「アル様…アル様…私はいつだって貴方を信じています。

でも死土は今まで誰一人帰ってくるものがいない土地と聞いています。

そんな場所に…何故あなたがっ…、…っ…、嫌ですっ、アル様っ、アル様っ…う……」


俺とて愛しい妻の側を一日だって離れたくはない、だが貴族の位を持つ者として王命は絶対だ…。




事の起こりは数刻前、東の国が呼んだという異世界から来た少女がこの国の王宮に現れたことから始まった。

王は少女とその仲間の謁見を許し、東の国の現状に心を痛めた。

謁見の間には王妃や3人の王子殿下をはじめ、国の主要人物全てが揃っていた。かくいう俺も王立騎士団副団長という立場と、上位貴族という位からその場にいた。


「して、そなた達は何用でわが国に参った。よもや国の現状を伝えるためだけではあるまい?」


王の質問に答えたのは先程も東の国の状況を語っていた男だ、その出で立ちから同じ騎士であることがわかる。

騎士は2つの要求をした。東の国から我が国に流れて来ている避難民たちの保護と、共に死土に向かう戦力として数人の騎士の貸出。

見返りとして用意されていたのは、関税の20%の削減や国境にある金山の譲渡。受け入れれば国政も国庫も、周辺諸国への立場にもメリットのあるものだった。それでも簡単に頷くわけにもいかない王に、皇太子殿下と騎士団長が自ら立候補し、東の騎士の要求を受けるべきだと進言した。

もし誰かを派遣することになっても、皇太子殿下は行かせないと言う王に、こんな時だからこそ自分が行くべきだと譲らない殿下―

行く、行かせないという口論の末、2人の決意に王は折れ、両名を預けると東の騎士に伝えた。

騎士は深く頭を下げ、礼を伝えようとしたのだが…

思わぬ声がそれを邪魔した。


「え〜〜〜〜?!ってことはそのオジサン達が来るって決まったってこと〜?!

やだやだ、別のにしてよっ!」


一瞬にして静まりかえった周囲を気にしないのか、先程東の騎士が異世界の少女だと紹介した子どもが尚も言葉としてはわかるが、内容がまったく理解できない言葉を続ける。


「ちょっとレオンっ、あんなオジサン達じゃなくてもっと私にピッタリなハイスペックなイケメン選んでよっ!せっかくしんどい思いしてこんなとこまでわざわざ来たんだからっ!」

「サヤカ…、私は決して口を挟むなと言ったはずだが」

「だって黙ってたらあのさえないオジサン達連れて行く気なんでしょ〜?!

そんなの絶対反対!連れて行くのは私が認めたのじゃないと私絶対”しど”ってとこなんて行かないからねっ!」

「……サヤカ、黙りなさい」

「い・や」

「サヤカッ!」

「睨んだって怖くないしっ、私はちゃ〜んと王様と約束してあるんだからねっ!、

王様が何だって私の好きなようにしていいって言ったんだからっ!」


…静まりかえる謁見の間に、異世界の少女と東の騎士の声だけが響く。

これは何の茶番なのか。

東の国は本当にこんな子どもに命運を託そうというのか?

歳は18だとか言っていたが、見た目も話し方も13〜15歳の子どもだ。

黒い瞳にこちらの世界の金髪とは色味の違う金髪をしている、やけに痩せた少女。

魔力の波動も感じないし、あの細腕では剣も振れないだろう。

いったいあの子どもはどのような力を持っているというのだ。

内心の侮蔑の気持ちを表に出さないようにしながら、未だ続いている2人のやり取りを見ていると、少女と目があった。

俺を見て目を丸くしたあと、俺を指差しながら又場違いな声を出す。


「キャ〜〜っ!、いるじゃんイケメンっ!めっちゃタイプ!

レオンっ、あの人で決定っ、他いらないからあの人だけ連れて行こっ!!」

「サヤカ!!いい加減にしろっ!!」

「うるっさいな~、レオンってホントにムカつく!

私はあのイケメンに決めたからっ!

ねぇ、王様、あの人頂戴?」


我王に許されてもいないのに発言をする、力も礼儀もない子ども。

騒ぎ立てる子どもの口を無理やりふさいだ東の騎士が、いまだ呆然としている謁見の間の者たちに頭を下げる。


「申し訳ありません。彼女はこの世界の礼儀作法を学んでいる最中でして、失言の数々、どうかお許しください」

「…そうか。まぁ…異世界からやって来られたのだ。こちらの世界にまだ慣れてないのだろう」

「申し訳ありません…」

「…っ、っ!レオン!いいかげっんぐっ」

「…無礼を承知で伺います。

共に死土に向かう同志として、そちらにおられる騎士殿をお願いすることはできませんか」

「なんだと?」


子どもが駄々をこねているだけだと思っていたが、そうもいっていられないようだ。

目の前ではいつのまにか王と騎士が誰を連れて行くかでもめ始めた。

あの騎士は子どもをたしなめ、我儘を正す保護者かと思っていたんだが、どうやら違うようだ。

王と騎士との攻防は一刻ほど続いた…



結論から言えば、死土に向かうのは俺が選ばれた。

謁見の間を辞した後、急ぎ屋敷に帰ろうとしていた俺を呼び止めたのは、従兄であり幼馴染でもある第二王子、ジークだった。


「まてアルっ」

「ジーク、なんだ?俺は忙しいんだ」


振り返り見たその顔は、苦渋に満ちたものだった。ジークが王の決断に納得がいっていないのがわかる。…誰よりも納得がいかないのは俺だが。


「アル、陛下は俺が説得する。兄上が無理なら俺が行くっ、だからっ」

「王が決めたこと。貴族であるならば、王族であるならば王命は絶対。俺が死土に向かうことはもう変えられない。

だいたいあの子どもが納得しないだろう」

「子ども…、いったいあれはなんなんだっ!あんなのが異世界の勇者なのか?!」

「知らん。とにかく俺は屋敷に帰る、エリーが待っている。

…死土に向かうことも伝えなければいけない」

「エリーは…耐えられるか…?」

「……」


王とジーク、そして謁見の間にて俺を送ることに反対していた者たちの心は、みな同じことを不安に思っているんだろう。

俺の妻のエリーは生まれつき体が弱い。一月前に結婚式を挙げた次の日にも、それまでの準備で動き回っていたせいで負担がかかったのか、ひどい熱をだし寝込んだばかりだ。

エリーの場合はただ体が弱いだけでなく、治癒魔法ですら魔力酔いを起こすほど体が魔力を受け付けない特異体質、何かあったら本人の力のみで何とかするしかない…、だがエリーにはその力がほとんどないのだ。


「ジーク…、俺は必ず帰ってくる。必ず。

だからそれまで、エリーのことを頼む」

「当たり前だっ!

…お前ほどの魔力と剣の腕があれば、必ず帰ってこれると信じている。

だから帰ってこい、必ず、エリーのもとに」

「それこそ当たり前だ。じゃあな」


まだ何か言いたそうな顔をしているジークを置いて城を出る。

屋敷に帰るとエリーが笑顔で出迎えてくれた。その笑顔を曇らすことになるのは気が重いが、言わないわけにもいかない。

『死土に向かうことになった』と伝えた途端、顔色をなくし泣きじゃくるエリー。

その震える体を抱きしめながら、プロポーズのときに彼女に伝えた言葉をもう一度言う。


「エリー、俺の思いは変わらない。

『共に笑い、共に泣こう。共に精一杯生き、死ぬときは互いの腕の中で…二人一緒がいい』あの日君に伝えたままだ。

俺は必ず帰ってくる、君のもとへ。だからそれまでエリー、君も精一杯生きてくれ」

「アル様…」

泣き顔の彼女の額に、瞼に、頬に、鼻に、唇に、宥めるようにキスを落としていく。

だんだんと落ち着いてきた彼女の呼吸にほっとした。そんな俺の顔を見て、今できる最高の笑顔を浮かべたのだろうエリーは言った。


「待っています。私も精一杯生きて、この家であなたをずっと待っています。

ですからどうかご無事の帰還を…」

「ああ、約束だエリー」


次の日、俺は東の国の騎士達とともに国を旅立った。



国を発ち、東の国との国境を越え東の国の王宮にたどり着いた。その日程は、俺の予想をはるかに上回る日数をかけてのものだった。

原因はあの子どもだ。

野宿をしようとすれば嫌だと騒ぎ、宿をとってもここは嫌だ、あっちがいいとまた騒ぐ。

1日以上同じ服は着られないと、洗えないなら替えを買うと言ってきかず、実際に買い与えられると、これは嫌だ、別のがいいと騒ぐ。

少し歩いただけで疲れたといい、馬に乗せれば尻が痛いと喚く。

その結果、できる限り馬車を使うことになり、馬車が通れるような道ばかりを選んだ結果が、驚くほどの日数をかけたこの旅行(・・)になったということだ。

我王に東の国にはもう一刻の猶予もないと述べていた東の騎士に、これはどういうことだと問うと、時間がないのは本当だが、子どもの言うことをきかなければならない中、これでも最速で進めていると返された。

なぜそこまでこの子どもの言うことをすべて聞いているのか…

共に死土に向かうメンバーは全員男で、守るべき家族や、愛する恋人がいる者たちだけだった。

驚いたことに、だれ一人、望んでその役目に着いた者はいないらしい。俺以外の者たちは皆東の国に住居がある者たちで、大事な者の命を人質にされ、王命によって子どもについて行く事になったのだと言われた。

いや、一人だけ、あの騎士だけは子どもが選んだ者じゃなく、自らの意志で死土へ向かうことにした者のようだ。東の国の王の庶子らしいというが、あの子どもを抑えられない時点で、俺にとってその地位は関係ないものになった。

東の王は病的なほどあの子どもに入れあげているという。信じられないことだが、毎日のようにあの子どもを寝所に呼び、夜を共にしているらしい。そして子どもが望めば欲しいものを何でも与える。食べ物でも、衣服でも、宝石でも、人でもだ。もともといい話を聞かない人物だったが、国の一大事にその愚行。民を思えば死土をどうにかする前に、まずこの子どもと王をどうにかするべきではないのか。

道中通った町にいた民たちは、俺の国の民とは違い、やせ細り、生気を欠いた者があふれていた。その者達をなぜ放っておくのか…

愚かな王は民を不幸にするというのをまざまざと感じた。

それは王宮についてから特に感じさせられる。繰り返される毎晩の宴。民と違い肥えに肥えた王族、貴族。そして、その者達に甘やかされる子ども。…虫唾が走る。


必要ないほどの準備期間を終え、ようやく死土へと旅立つことになった。

王宮を出て1日で、死土の砂の脅威を見た。家も、畑も、川さえ砂で埋もれてしまっているそこは、名前の通り死しかない土地だった。


死土へ入り、魔力のもとへと進む中、不思議な声を聞いた。


『判定者よ、決断の日は近い…』


その声は複数の声が同時に話しているような…、男なのか女なのか、大人なのか子どもなのか…。

感情がないようで、温かみのある不思議な声。

もっと不思議なのはその声は俺にしか聞こえていないようだった。

子どもも騎士も、その他の者たちも、今の声はなんだ?という俺に、不思議そうな顔を返すのみ。

俺にしか聞こえないその声は、日に何度も聞こえ、それは魔力のもとに向かうほどにその頻度を上げていった。


それ(・・)は拳ほどの大きさの黒い球だった。

莫大な魔力を放つその球は、砂の上に浮いていた。

騎士は子どもと共に球のもとへ進もうとしたが、子どもが頑なに拒否をした。絶対に嫌だと騒ぐその姿に、俺が行くと伝えた。騎士が止めるのを無視して球のもとへと進み、それに手を伸ばしたとき―


俺の周りの音が消え、視界は闇に覆われた―



なんだ?なにが起った?


視界いっぱいに広がるのは闇。明らかに原因はあの魔力の球だろう。この状況をどうするか…と考えていると、またあの声が聞こえる。


『判定者よ、決断の日は近い…』


「いい加減にしろ、お前らはいったいなんだ?」


『判定者よ…』


「いい加減にしろと言っている。俺に言いたいことがあるなら姿を見せろ」


『………』


―沈黙の後、目の前に光の粒が集まり、その光が人の形を作っていく。はっきりとは分からないが、その姿は一組の男女の姿に見えた。


「死土に入ってから俺に語りかけていたのはお前達か?

一体俺に何を求めている。死土の異変もお前たちの仕業か?」


『否。それはそなたたち人間によるもの…』

『判定者よ、時はきた…』


「よくわかるように話せ。お前たちはなんだ?判定者とは俺の事か?」


『我らは何も伝えられない、唯そなたに全てを委ねるだけ…』


「随分勝手なことを言っているな」


『判定を…』


俺の言っていることなどきいていないそいつらが、そういうなり消えていく。現れた時とは逆に、光の粒がバラバラに散っていくように―


「ふざけるなっ、死土の異変を収める方法を教えろっ!」


光の集まりにそう叫んだとたんにその光が発光し、塊となって俺に向かってきた。剣で切ろうと手を伸ばすが間に合わず、衝撃に身を構えたが、その光は俺の胸に吸い込まれるように消えていった。

今のはなんだ?と、体に異変がないか確認していると、胸のあたりから小さな光の粒がこぼれ、それが地面につくかと思った時、あたりを莫大な光が包んだ。



光が収まるとようやく目を開けることができた。周りを確認すると、不思議なことに見渡す限りに広がっていた砂が忽然と消えていた。共に死土に来ていた者たちのほうを確認すると、みな呆けたように立っている。

騎士のもとへ行き強く肩を揺すると、だんだんとその目の焦点が合っていく。


「おいっ、いったい何があった?!死土の砂はどこにいったんだ?」

「それはこっちがききたい…、お前はいったい何をした?」


騎士の話では、俺があの黒い球に触れた瞬間辺りを光がつつみ、気づいたら魔力の球も砂も消えていたという。…やはり俺が出会ったあの不思議な男女が死土に関わっていたのは間違いなさそうだ。

…しかし判定者とはいったいどういう意味なんだ?

俺が考えにふけっている間に正気になった者たちが騒ぎだした。…とりあえず今はこのことを東の王に伝えに帰るのが先か…

「やっぱり私ったら聖女だったのねっ!!」と、何をしたわけでもないのに自分のおかげだと騒ぐ子どもを連れ、俺達は誰一人怪我をするわけでもなく死土であった土地を後にした―



城に着くと盛大な出迎えを受けた。

王を筆頭に皆が子どもを聖女だと称える。

何もせず、旅の邪魔でしかなかった子どもはそれを当然のように受け止めていた。

三日三晩の莫迦らしい酒宴。

そうそうに出席を辞退し国に帰ることを伝えたが、王はそれを受け入れなかった。

世界に死土の脅威が去ったことを伝えるためにも、聖女の仲間として今しばらくはここに留まって欲しいといわれた。それに対して、我王に伝書を出し、その返事次第ではすぐに帰るというのが俺の答えだった。

本音なら今すぐにも帰りたい。

エリー、君を忘れた日はない…

何度か隙を見て手紙を書いたが、彼女からの返事が来ない。何もないならいいのだが、もし体調を崩して手紙も書けないのなら…と、心配で仕方がない。

心配というならばあの声のことも気がかりだ。

判定者とはなんなんだ?判定の日とはどういう意味だ?

消えた魔力の球はどこにいったのか…、そしてあの男女はいったい何者なんだ…。

わからないことばかりだ。

ああ、エリー…君に会いたい…


この時、俺が国を出てから3か月余りの時間が過ぎていた。


**********************************************


国に帰れない…


何度も何度も我王に帰還の許しをもらう伝書を送ったが、答えは東の国に留まれというばかり。


エリーのことを尋ねても元気でいるとしか書かれていない…



死土から帰還してもう数か月が経っていた。

なかなか国への帰還の許しがもらえず、俺の我慢は限界に来ていた。

今日も東の王に帰還の許しをもらおうと謁見の間へ向かっていた。先日受け取った我王の伝書には、東の王さえ許可すれば帰還してもよいということが書いてあったのだ。このチャンスを逃すわけにはいかない。

廊下を進んでいると、後ろから耳障りな声が聞こえてきた。


「あ~~~~っ!アルみっけ~~~!」


バタバタとうるさい足音が響くが、無視してそのまま進む。


「ちょっと~!聞こえてるんでしょ~?

待ってよ~~!待ってってば~~!アル~~~!!」


だんだん近づいてくる足音。騒音の原因がいきなり俺の右腕に飛び掛かってくる気配を感じた。

その気配にさっと腕をよけると、けばけばしいほどの化粧をし豪華なドレスと大量の宝石を付けた、今では世界中で聖女と称えられているというあの子どもが、前のめりになりながらこちらを睨んできた。


「ちょっと~何で避けるの~?

っていうか今サヤカのこと無視したでしょ~!ヒドイ~!」


喚きながら今度は正面から抱きついて来ようとする。その体を避けてさらに進む。

毎日毎日この子どもはこうやって触れてこようとする。俺に触っていいのはエリーだけだ。いい加減学習しろ。

死土から帰ってからこの子どもはますます我儘に拍車をかけた。

共に死土に向かわせた者たちを常に傍に置き、宴に明け暮れている。気に入らないことがあると癇癪を起こし、泣きわめく。放っておけばいいものを、この王宮の者たちは宥め、機嫌を取り、望むものを与える。愚かな。


うるさい子どもを一瞥し、さっさと進もうと歩みを速めた時、後ろから懐かしい声が響いた。


「アルっ!アルフレッドっ!!」

「ジーク?!」


しばらく聞くことがなかったその声に、驚きながら振り返る。

そこには数か月ぶりに見るジークの姿があった。その後ろには少し遅れてこの王宮の侍従と、ジークの側近たちの姿。懐かしさとこれできっと国に帰ることができるという思いで、思わず顔がほころぶ。

対してジークの顔は険しかった。

どうしたんだ?と疑問に思っていると、ジークは目の前まで来たとたんいきなり殴りかかってきた。

驚きながらもその拳を手で受け止める。近くで見たジークの目にはうっすらと涙があった。

いったい何があったというんだ?


この後の話は2通りあります。

ご都合主義は嫌だと思われる方は2話目を、ハッピーエンドが好きな方は3話目を読まれるのがいいと思います。

全部に目を通してもらえるなら、順番に進んでください。

その際、2話目と3話目の冒頭が数行かぶりますので、ご了承ください。

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