誰もが認めて、あなたは認めぬ。
美しい
大好きですよ
本当に綺麗な人だ
そう何度囁こうが あなたは
やめろやめろと繰り返すばかり
どんなに美辞麗句を並べても
どんなに甘く微笑んでも
どんなに金を積もうとも
認めることはない 素晴らしさ
こんなに可愛いのに
こんなに綺麗なのに
こんなに美しいのに
こんなに優しいのに
ねえ皆さん そうでしょう?
真っ先に頷こうとする者が何人もいるというのに
あなたはからかうなよと むくれてしまう
本音を言えば
そんなあなたの魅力なんか無くなってしまえばいい
本当は不細工だっていい
目を引かれたのはそりゃ造作からだったけれど
本当に好きなのはその澄んだ瞳と美しい心
どんなに足蹴にされても気高いままであろう その芯
俺だけが知っていればいい
思わずぽつりと漏らしてしまえば
間抜けな顔をして聞き返すあなたに
察しの悪いところも可愛くて素敵だなんて思う俺は 相当末期なんだろう
自分も そう思うよ
だからその言葉の意味を理解するまでに暫らくかかった
何だって?
聞き返そうとして あなたの真っ赤な顔が目に映る
魅力を俺だけが知っていればいい
そういう事?
俺だけに知っていて欲しい
そんな風に聞こえてしまうのは きっと俺の願望のせいなんだろう
だからそんな可愛い顔をしないで
微笑みながら諭せば 意地悪だといわれた
意地悪で結構
あなたから向けられる感情であれば 何でも
あなたを引き止めておけるなら 何だっていいのだから
言ってしまえば楽だけど
きっと悲しげな顔をするだろうから
曖昧に微笑んでみせる
黙ってしまったあなたに また好きですと告げる
そう刷り込めばあなたも 俺を好きだと錯覚してくれるかもしれない
本気になれ そんな期待を込めながら
俺は今日も愛を囁く