ハジマリノオワリ①
この作品全体のプロローグその1となります。
__もしも、君達が全てを乗り越えたなら。
その先にある黎明を迎えることが出来たなら__
その時は…僕のことは から。どうか__
『僕達の物語を忘れないで』
これはとある銀河の星海神譚。異世界から訪れた変革者と運命が交錯した者たちが、滅びの世界を変革する旅路を記した物語。
◇◇◇◇
とある繁華街。何よりも目立つ赤色のマントを身に纏い、靴の音をコツコツと鳴らしながら、青年は夜の街を歩く。暗く灰みがかった茶色の髪に鮮やかな緋色のグラデーションの髪が人々の熱風に揺れる。紫色の瞳は何かを定めたわけでもないようで、遠くの『何か』を見つめているようでもだった。
ここは惑星アストレア。和風チックなサイバーパンク世界と廃れてしまったスラム街の世界と二つの世界が織りなす星。和装に溢れる街中に、一人洋装を身に纏う青年は栄えている方の街に降り立ち、考え事をしながら街の空気を堪能していた。
「キャァァァァァア!!!!」
女性の悲鳴が聞こえるまでは。
辺りは一気にざわつき始め、喧騒が群れをなす。周りの事件を放っておけなかった青年はすぐさま事件が起きたであろう渦中に飛び込んでいく。
「どうした、何があった?」
下手に刺激をしないように、女性に優しく語りかける。女性は奥の路地裏を指さし、顔を青ざめながら、
「私の鞄が盗まれたの!!」
と大声を上げた。
「OK、すぐに取り戻すから待ってな」
青年は現状を把握すると女性に返事をした後、すぐさま路地裏に向かって走り出した。
「おい、待ちやがれ!」
狭い道でゴミばかり転がっているが、転ばないように出来るだけ早く追いつくように走っていく。犯罪者の姿を捉えはしたが、まだ距離がある。
「ハッ!待てと言われて待つバカがいるかよ!」
青年を馬鹿にしたような口調で煽りながら、強盗犯はさらに足の速度を上げる。
「くそ、馬鹿にしたことを後悔させてやる…」
そう独り言を呟いた後、青年は方向を変え、建物の上へと登っていく。高いところから見下ろすことで、手っ取り早く追いつこうとした。青年は強盗犯の走ったルートを計算し、あらかじめ来るであろうポイントで待ち伏せする。何も知らない強盗犯は撒けたと思い込みニヤニヤしながら、ゆったりと走っている。
タイミングを見計らっていた青年は今だ!と思い、強盗犯の目の前で着地する。
「なぁ!?いつの間に!?」
「はあ…随分と手こずらせてくれたな?ようやくお前を御用にできる。」
後退りをし、引き返そうとした強盗犯の目の前に大鎌が一本降り落ち、地面に刺さった。
「ひぇっ!」
「悪いけど、逃げられないよ」
「クソ…なんなんだお前は!そもそもお前、服装的にアストレアの人間じゃないだろ!観光客は引っ込んでろ!」
「…まあ、確かにな。けれど、そういうわけにもいかない。」
青年は強盗犯の目をじっと見つめながら高らかに声を上げる。
「Hello,world!俺の名前は澄風奏多!銀河戦士団の参謀だ!悪いやつを見逃すことなんて、できるわけがないんだよ!」
銀河戦士団という単語に強盗犯は戸惑いを隠せない。
「なっ…!?あ…あの…銀河戦士団!?くそ…こうなったら、お前を殺して逃げてやる!」
声が裏返りながらも、腰にかけていたナイフを取り出し、刃の先をこちらに向けてくる。奏多は大鎌を軽やかに持ち上げ、戦闘態勢を取る。
「逃げるなんて、できるわけないだろう?さあ、かかってきな!」
「うぉおおおおお!!!」
雄たけびを上げながら、真っ直ぐに突っ込んでくる強盗犯に対して、奏多は軽く右に避けながら強盗犯の足を自身の足で引っ掛ける。
「なっ!?」
フフン。と鼻を鳴らしながら鎌を持ち直し、高く跳ぶ。夜空に浮かぶ星がまるで月のように輝き、逆光となり奏多の背元を照らす。大鎌に赤い光を纏わせ、両手で武器を振りかざす。
「月ノ仮象‐三日月」
そう呟くと、三日月型の斬撃が降り注ぐ。ターゲットは、転ばされ立ち上がれない憐れな罪人。
「ひっ…!!うわぁぁぁぁあ!!!!」
絶叫の後、強盗犯は意識を失う。その様子を見た奏多はすぐさま斬撃を中断し、攻撃が当たる前に技を消し去った。
持っていた大鎌をしまい、手をパンパンと払う。先程まで戦っていた犯罪者は意識を失い、地面と抱擁を始めたようだ。
「やってやる!!…とか言ってたけれど、気絶するなんて、口程にもないな。とりあえず鞄は奪い返すよ」
盗まれた鞄を手にした奏多は、ふぅ…。と溜息を吐いた。
「とりあえず…こいつどうしようかな。」
奏多は強盗犯をこのまま眠らせたまま放置するわけにも行かないと思い、ロープを探しに行くことにした。
「まあ、この辺りはゴミがたくさんあるし。ロープの1本や2本は置いてあるだろ。」
そう言いながら路地裏の行き止まりの方へ向かった奏多の目に、倒れている人影が映った。
「人…?しかも、倒れてる!?」
すぐさま人影に駆け寄り、仰向けに倒れている人物に声を掛ける。
「おい、おい!俺の声が聞こえるか!?」
声を張り上げてみたが、返事どころか、身体が動くこともなかった。
「意識がない…悪い、体をちょっと触るぞ」
そう言いながら、首に手を当てながら、呼吸があるかを確認する。
「呼吸はしている…。脈拍…異常なし。」
人物から離れ、傷口などがないかを一通り確認した後、特に外傷もなくただ気絶していることを確認すると、安堵の溜息を零した。
「はあ…とりあえず、生きてたみたいだな。」
そう言うと奏多は腰を下ろした。
目の前で眠っている黒髪に銀のメッシュと星空のような青色のインナーが入っている髪色をした人物が目が覚めるのを待つために。
ここまでの読了ありがとうございました。
その2は地面に倒れている青年のプロローグとなります。
また、徒然なるままに筆を執りますので、投稿時期は自分でも読めませんが、よろしくお願いします。




