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最強のホラゲー配信者がゲーム世界に転生したら、全く怖くない。  作者: てんてんこ


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第4話 彼女が目指す場所がありました

「ふう、いい運動をしましたね。さて、お兄さんと握手をしてしまったので、除菌シートを使って手を綺麗にしておきましょう。そのままご飯を食べると、腹痛の状態異常になってしまいます、はい。皆さんも、握手会の前後ではちゃんと手洗い消毒をしましょうね!」


 彼女はそう解説しながら、シンクに置かれていた除菌シートで『手を拭う』。除菌シートは真っ赤に染まり、彼女の両手は綺麗になった。


 普通、シートで拭いたくらいでこんなに綺麗になるものでは無いのだが。

 彼――彼女はもうそういうものだと気にする事なく、除菌シートをゴミ箱に『捨てた』。


「さて、まずは食事にしましょう。アクションスキルを使うと、空腹度が一気に上がりますからね。それと、乾き度も。乾き度、食事によってもある程度回復するので、有効になるまでは何で急に動けなくなるのかとか分からなくて怖い思いをすると思います、はい」


 そうして、彼女は先ほどの角部屋で手に入れた菓子パンを食べ、シンクに置いておいたペットボトルの水道水を飲む。


「ああ、あとこの水道水ですが、明日には飲めなくなりますので、飲むなら今日中に。まあ、腹痛の状態異常を耐えれば飲めなくは無いので、最悪の場合は使っても大丈夫です。脱水症状の緊急回避ですね。ただし、すぐにセーフゾーンに入れる状況じゃなければ飲まない方がいいですね。動けなくなってしまいます」


 そんな解説を挟みつつ、彼女は机に『座った』。


「さて、ではさきほど手に入れたモバイルバッテリーを、パソコンに繋ぎます。ではでは……」


 彼女が操作すると、起動音と共にノートPCが立ち上がった。

 しばらくすると、何かウィンドウが開かれたままの画面が表示される。


「“

 茜さん。


 あなたの症例はかなり特殊です。

 もしかすると、このゾンビウィルスに対抗できる血清を造ることができるかもしれません。

 特効薬です。

 できれば、我々の避難している「免疫研究所」においでいただけないでしょうか。

 すみません、無理は承知でお願いしています。

 ですが、我々がお迎えに上がるのも難しいことは、理解いただけると思います。

 ゾンビウィルスに対する抗体が無いと、外の世界ではものの数時間でゾンビ化してしまうのですから。

 とはいえ、希望もあります。

 茜さん、あなただけが特殊な体質である、という可能性は低いと考えられます。

 少ないながら、あなたと同じようにゾンビウィルスへの抗体を持った人間が居るはずです。

 でなければ、茜さん以外の人間が、この世界に生き残っているはずがありません。

 むしろ、今生きて、情報を発信できている人たちは、強弱はあれど抗体を持っていると期待できます。

 我々は、たまたま隔離施設に居たため感染を逃れることができました。

 そして、奇跡的に茜さんと連絡を取ることができました。

 あなたは、我々の希望です。


 免疫研究所 研究課長 九重

 無茶言いますねぇ! こんな可愛い女子にサバイバルさせるなんて!」


 表示されていたのは、そんなメールの文面だった。

 恐らく、こんなお願いをされて、この茜という少女はさぞ困惑したのだろう。何もかもが不明で危険なこの世界で、急に見たことも行ったことも無い場所に呼び出されたのだ。


 だが、今の茜は、歴戦のホラーゲーム専門配信者。

 しかも、この世界の元となっているゲーム『ZOMBIE - ゾンビ』を相当にやりこんでいた。

 何なら、歴代の動画の中で、もっとも再生数の多いシリーズだ。


「まあ、今日はここまでです。眠気度も高くなっているので、寝てしまいましょう。あ、PCはもう不要です。ネットワークにも繋げられませんからね」


 そういいながら、配信者の魂を持った少女は、自室のベッドに潜り込むのだった。


◇◇◇◇


 朝。


 彼――彼女が目を開くと、その視界に各種のパラメーターが映り込んだ。


 改めて、そこがゲームの世界である、と見せつけられつつ。

 茜は、ゆっくりと身体を起こす。


「夢、ではないか……」


 細くなってしまった手を眺めながら、彼――彼女はそうこぼした。


「仕方ないですね。今日もやっていきましょう」


 ベッドから降り立つと、彼女は自身の服装を見直す。


 現在彼女が着ているのは、紺色の上下ジャージ。有名なメーカーのロゴ入りだ。

 髪型は、後ろで雑に括ったポニーテール。

 何日も身体を洗うことができていないため、体臭が少し気になるか。


「体臭、というパラメーターがありますので……これが高くなりすぎると、ゾンビや野生動物に見つかりやすくなるんですよね。というわけで、この6日経過した水道水で洗ってしまいましょう。もう飲めませんからね」


 というわけで、彼女はペットボトルを使って『身体を洗った』。

 ゲームシステムの使用のため、残念ながら、プレイヤーへのサービスタイムは無かった。


「さて、身体も綺麗になりました。それでは、出発の準備をしていきましょう!」


 心機一転。

 彼女はクローゼットを開けると、中からリュックを取り出し、『手に取った』。

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