表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強のホラゲー配信者がゲーム世界に転生したら、全く怖くない。  作者: てんてんこ
第2章 北明新町

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/34

第31話 彼女は目が合いました

『たダダいまだいイィィ!! おかだまいダマおかサンタダイィ!!』


「右、入って、窓際に!」


「は、はい!」


 佳子と茜が、走り出す。


 住人ゾンビはゾンビ特有の叫び声を上げながら、茜を追いかけ始めた。


「窓際から、右に向かって!」


「はいぃ!」


 リビングの入り口に飛び込み、佳子は茜の指示通り、窓に向かって走る。


 茜も、その後ろに続いた。

 後ろを振り向く。


『オカかぁおかさタダイだだまいぃ!』


 住人ゾンビが、彼女らを追ってリビング入り口から入り込んだ。


『ただいぃマアアァァ!!』


「おじゃましてますぅ!」


 茜は反射的に、配信テンションでゾンビにそう返しつつ、思いっきり右に飛ぶ。


「え!?」


 窓際で右に方向転換した佳子は、突然躊躇無く跳んだ茜を目撃し、驚愕の声を上げた。


 ゾンビはそんな茜の動きに反応し、障害物であるリビングテーブルを回り込むため、ソファの間を通り抜けようと方向転換する。


 そこに張られた、虎縞ロープは気に留めぬまま。


 ゾンビは、常に全力だ。

 全力で、生きた人間に襲いかかる。


 故に、張られたロープ程度は障害物とは認識せず、そのまま突っ込んだ。


 ロープがゾンビに接触し、引っ張られる。


 結びつけられたテーブルとソファがゾンビに引きずられ、ゾンビを挟み込むように引きずられる。


 結果、テーブルとソファはゾンビを両側から挟み、絞るように抑え込んだ。


『おおっおかぁかぁおかぁチャン!?』


 ゾンビは、特に筋肉量の多い成人男性であれば、とんでもない膂力を発揮する。


 そして、その力が、この場では仇となった。

 走ろうとするゾンビにロープが絡まり、テーブルとソファはそれに引きずられさらにゾンビを締め上げる。


 当然、そんな状態でまともに動けるはずが無い。


 ゾンビは叫びながら、派手に音を立てながら転倒した。


「えぁわぁ……」


「ふんっ」


 突如発生した多重衝突事故のような現場に、佳子は恐れおののく。

 同時に、跳んでたい茜はくるんと綺麗に一回転して立ち上がった。


「玄関に戻って逃げて!!」


「ぁはいぃ!」


 時間は有限だ。


 茜は佳子に鋭く『指示』し、それを受けた佳子は混乱したまま、指示通りふたたびリビングから走って逃げ出す。


 その後を追いかけながら、茜は冷静に思考を回していた。


 ゾンビは、とにかく頑丈で、力が強い。

 あの状態でも、すぐに起き上がって追いかけてくるだろう。


 だが、視線さえ切れれば、隠れるのは容易い。


 ――はずだ。


 住人ゾンビは、ゲーム中では、家の中を回った後は庭に出て、その後路地からまた外に出ていくという経路を徘徊していた。

 よって、路地まで逃げて身を隠せば、ひとまずは逃げ切れる。


 問題は、住宅の廊下から路地まで、障害物も無く視線が通るということだ。


 つまり、ゾンビがリビングから顔を出すまでに、路地まで逃げて隠れなければならない、ということだ。


 7~8秒、時間があれば間に合うだろう。


 だが、その時間が、あのロープの罠だけで稼げるだろうか?


 茜はゾンビの動きは知っているし、ゲーム中の出来事であれば、ほぼ全てを記憶している。


 だが今、この時は、ゲームとは異なる動きをしているのだ。


 よって、路地に間に合うかどうかは、賭けだった。


『ダだままイぃぃいぃぃぃいぃ!!』


『ァアママままママままどこドコドコどこォ!!』


 そうだった、忘れていた。


 玄関には、宙吊りになった子供ゾンビがいるのだった。


 ゾンビ2体の叫び声に挟まれながら、2人は走る。


「ロープ、気を付けて!!」


「はいぃ!」


 玄関すぐ外には、虎縞ロープが張られている。

 まかり間違って足を掛けてしまえば、恐らく無事では済まないだろう。


 茜の忠告に佳子はしっかりと反応し、ロープを飛び越えた。

 同様に、茜もロープをまたいで走り。


 後ろを振り向く。


 ――目が、合った。


◇◇◇◇


 走る佳子と茜。それを、住人ゾンビは視認した。


 よって、ゾンビにより近い、茜がターゲットに選ばれる。


『――タダあイまあアァァああぁぁぁ!!』


「外に出ちゃってますよぉ!」


 ゾンビの叫び声に、茜の茶化した解説が被さった。


 だが、それでゾンビの行動に影響が出るわけではない。


 ゾンビが走る。


 その身体には虎縞ロープが巻き付いたままだが、テーブルやソファの妨害は無い。

 恐らく、暴れることで外れたか、破壊されたか。


 つまり、住人ゾンビを妨げるものは無い。


 ゾンビは視認した茜を目指して、走り始めた。

 ボロボロになった革靴が、僅かに足裏を滑らせつつも身体を前に押し出す。

 残念ながら、足を滑らせて転倒する、などといった事故は期待できない。


 佳子が、茜の指示に従って路地を右に進む。


 茜はそれに続き、門扉をくぐる。


 住人ゾンビは、廊下から一気に玄関に飛び出そうと大きくジャンプし。


『ママドコぉあどこママまマままままアアぁァァ!!』


『おぉおかカカカオカちゃあぁアァァ!?』


 玄関にぶら下げられた子供ゾンビと、住人ゾンビが衝突した。

 ほとんど反射的に動いた両ゾンビは、手やロープを絡ませるように一体となり、もつれ、振り子のように宙に浮く。


 破砕音。


 ロープが巻かれた手摺りが、子供1人と全力で走る大人の荷重を受けて破損。


 壁を破壊し、途中から折れた手摺りから、ロープがすっぽ抜けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ