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最強のホラゲー配信者がゲーム世界に転生したら、全く怖くない。  作者: てんてんこ
第2章 北明新町

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第26話 彼女は握りしめました

『ォォアァオオォォオオアアアァエェェーー!!』


 ランナーゾンビが、走ってくる。


 茜は、壁に張り付いたまま。


 隠れた彼女の目の前を、子供ゾンビがゆっくりと通り過ぎていった。


「暴走特急が来てくれましたね! これで、この子の耳はしばらく気にしなくて良くなります。はい」


 子供ゾンビが通り過ぎたのを確認し、茜は『張り付く』を解除し、その後ろに付いて歩き始める。


「これ、このままだと見つかりますので。あそこの家に逃げ込みます」


 路地には、住宅が立ち並んでいる。

 そのうち、ブロック塀で囲まれ、門扉が設置されている家に、彼女はそっと入り込んだ。


 子供ゾンビはそのまま、奥に歩いて行く。

 元の位置に戻るのだろう。


「さて、これで路地には戻れなくなってしまったので、先に進みましょうか」


 茜は解説しつつ、家の庭に回り込む。


 草が生え、プランターや素焼きの鉢が転がる、あまり手入れされていない庭だ。


「ああ、ありましたね。あれをいただきましょう」


 そして、そんな庭の片隅に、虎柄のロープが放置されていた。


 茜はロープの置いてある場所まで歩くと、それを『拾う』。


「ちょうどロープを探していたんですよね。助かりました」


 拾ったロープは手に持ったまま、次に近寄ったのは、放置された植木鉢だ。

 茜は、その中の一つを持ち上げ、『どけた』。


「お、こんなところにちょうどいい鋏がありますね」


 その鉢の下にあったのは、薄汚れたキッチン鋏だ。


「さて、じゃあちょっと工作をしましょうか」


 彼女はキッチン鋏も『拾う』と、住宅の玄関に戻ってきた。

 そのまま、ロープを玄関前の柱に『設置した』。


「こっちを結んで、ぎゅっと。ロープを伸ばして、このあたりですかね。この鋏で、ジョキっと……固い……ぬぬぬ」


 やや苦闘しながら、茜は鋏を使ってロープを切ると、玄関前に足首くらいの高さでロープを括り付ける。


 即席の足掛けトラップだ。


「こんな感じでいいですかねぇ」


 自身の仕事ぶりを確認し、茜は満足げに頷いた。


「さて」


 ここまで、所要時間は30分ほど。

 残り時間は少ない。


 時間を無駄にすることはできないのだ。


「それでは、改めて」


 茜は、目の前の玄関扉の前に立つ。


 そして、ハンドル型のドアノブを掴み、引いた。


 ガチャリ。


 玄関扉が、開放される。


「こちらのお宅、幸いにして家主は不在です。さて、またまた工作のお時間といたしましょう」


 玄関には、もう履くものが居なくなった靴が2足、残されている。


 茜はそれを無視し、玄関に座り込んだ。


「よっと」


 茜はロープを下ろすと、その先端を輪っか状にし、先端側でさらに輪を作って折り返しのロープと合わせてくるくると通し、きゅっと引き絞る。


 結び方の名前?


 自動で身体が動いているのだ、茜が知るはずが無い。


 ただ、この状態で、輪っかを何かに掛けて引っ張ると、結び目が絞られてロープが固定されるのだ。

 これから作る罠には、必須のものである。


「さてさて、ではこのロープを持って2階に行きましょうか」


 茜は輪を作った先端を持って、玄関すぐ横の階段を上がる。

 階段を上がりきると、すぐ横の壁の開口部から身体を乗り出し、下を見る。


 この住宅は、玄関が吹き抜けになっているのだ。茜はそこから、先端を輪にしたロープを下に下ろす。


「はい、こんな感じでロープを掛けましょう。……即席でこんな罠を思いついて作るとか、茜ちゃんはレンジャー体験でもやったことがあるんですかね?」


 ゲームのストーリーにダメ出ししつつ、茜はロープ先端を床まで下ろした。


 それを確認し、改めて家の中を見渡す。


「……。ゲーム中だと、この家はこれ以上探索できませんが……」


 手つかずの、普通の住宅。

 ゲームストーリーでは、探索可能な場所は準備されていなかった。


 奥に行こうとすると、『そんな場合では無い』というダイアログで引き戻される、そういう仕組みだ。

 だが、今ならば、おそらく自由に探索できる。


 とはいえ。


「まあ、どちらにせよ、ここの家捜しをする時間は無いんですけどねぇ……」


 ストーリー進行上、時間の猶予はあまり無い。


 彼――彼女は首を振り、すぐに身を翻して1階に降りた。

 2階から垂れ下がるロープを握ると、さらに引き寄せ、輪っかを完全に床に下ろす。


 そして、その輪っかを、位置を見極めて床に設置した。


 あとは、反対側のロープだ。


 これを、階段の入り口にまとめて置く。

 ロープは、階段を経由して、2階から垂れ下がっている状態だ。


「さて、これで罠の準備はできました。……最後に、武器を見繕いましょうか」


 ため息をつき、茜は開けっぱなしの玄関から外に出る。


「あんまり気乗りはしませんが、佳子ちゃんのためですからね」


 そのまま庭に出ると、庭の片隅に座り込んだ。


「ここを探すと……」


 雑草に埋もれた場所に手をいれ、掻き分ける。すると、そこに錆だらけの棒のようなものが埋まっていた。


「はい、鉄パイプを手に入れました」


 長さは1mほどか。この長さであれば、非力な茜でも、なんとか振り回すことができるだろう。

『ZOMBIE - ゾンビ』は、サバイバルホラーというゲームシステムを踏襲していると思われます。

アクションスキルが多いように感じるかと思いますが、オブジェクトによって使用できるアクションが決まっているだけだったりします。

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