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最強のホラゲー配信者がゲーム世界に転生したら、全く怖くない。  作者: てんてんこ
第2章 北明新町

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第21話 彼女は現実を知りました

「……ごめん。そうよね。わたしがついていっても、足手まといよね」


「……。……ん?」


 佳子よしこの返答に、あかねは首を傾げた。


 ゲーム上では、そんな台詞では無かったはずだ。

 確か、『見ず知らずの他人に言うことじゃないよね』とか、そんな感じだった筈だが。


「……あなたなら、もしかしたらって……」


「…………」


 一体、何のことだ。


 彼――彼女は混乱した。ゲーム中の台詞が出てこなかったゆえに、茜は言葉に詰まる。


 この後、何と返せばいいのか分からないのだ。


「……それより、今からどうするの。もうすぐ夕方だけど」


「……そう、ね。……どこか、隠れて休める場所を、探すわ」


 が、何とか茜の知る流れに戻ってきてくれたようだ。

 少々つっかえながらも、茜はゲームのストーリー通りの返答ができるようになった。


「それなら、うちに泊まらない? ……女同士なら、そう心配も無いでしょ?」


「……そうね。あなたがいいなら、1泊だけお願いするわ」


 突然侵入してきた見知らぬ相手。それでも、佳子はそう誘ってくれた。


 もちろん、茜の見た目が『小柄な少女』であることが大きな要因ではあるのだが。


 それでも、問答無用で追い出すこともできただろう。

 それをせず、宿として使う提案を、自らしてくる。


 佳子という少女は、とても善良なのだ。


 こんな少女を、見捨てるわけにはいかないだろう。


「じゃあ、茜さんって呼んでもいい? 私のことは佳子でもヨッシーでも、好きに呼んでもいいよ?」


「佳子さん。一晩、お願いね」


 まあ、さすがにヨッシーと呼ぶ勇気は、茜には無かった。意気地無しである。

 もちろん、ゲーム上でもヨッシーという選択は無く、普通にさん付けだったというのもあるのだが。


「じゃあ、早速なんだけど……。食べるもの、ある? ここ、もうあんまり食べ物が残ってないんだけど……」


「……一応。持てるだけ、持ってきたから」


 佳子の問いに、茜は頷いた。

 背負ったままの大型リュックサックを下ろすと、中から荷物を取りだし始める。


「…………」


「…………」


 自分の部屋から持ち出したリュックサックを取り出し、その下にあるアウトドアキットも取り出すと、机に並べた。


「わ、すごい。こういうの、初めて見たかも」


「……そう」


 茜は佳子に見守られながら、バーナーを展開する。使い方自体は知らないのだが、『使う』を使用することで完璧に扱うことができるのだ。


 テキパキと、机の上に展開されるバーナー。ガスボンベを接続し、設置が完了した。


「…………」


「…………」


 調子が出ない。


 佳子は、じっと――ワクワクした表情で、茜の手元を眺めている。


「…………」


「…………」


 茜が手を止めてしまったことで、佳子は不思議そうな表情で、顔を上げた。


 ここに来て。


 ここに来て、ようやく。


 彼――彼女は、ここが、この世界が、現実の世界であることを実感したのだ。


 それ故に、茜は困惑していた。


 ゲームであれば、何をすればいいか知っている。


 だが、ゲームが現実となったこの世界で、茜はどう行動すればいいのか。


「……どうしたの?」


 完全に動きが止まった茜に、佳子がそう尋ねる。


「……えっ……と……」


 とはいえ。


 茜は、自身の知識の通りに行動するしかない。


「お米を……使いましょう。お米はさすがに、火を通さないと食べられないので」


「お、お米!? 茜ちゃん、炊けるの!?」


「……はい」


 調子が出ない。


 だが、茜の調子とは関係なく、ゲームのコマンドは絶対だ。


 茜はリュックサックから生米(2kg)とミネラルウォーター(500ml)を取り出すと、サバイバルクッカーのコッヘルに、米1合(180mlカップ1杯)、水は230mlを入れる。

 この生米は無洗米のため、水は気持ち多めだ。


 ちなみに、ゲームコマンドの『使う』を使用することで、計量は自動的に行われる。


「え、計らなくても炊けるの!? すごい、プロだ!!」


「……プロは、たぶん、ちゃんと計る」


「そうかなー? でも、かっこいいね!」


 やりにくい。


 とはいえ、調理の手は止まらない。

 茜の意識とは関係なく、自動で進む。


 米と水を入れたコッヘルは、そのまま横に置いておく。


 すぐに炊き始めることもできるのだが、ここで30分以上浸水時間をとることで、ゲーム内実績『おいしい白米』を手に入れられるのだ。


 もちろん、実績を解放したところで、この現実世界には何の影響もないのだが。


 手癖、というやつである。


「カレー、でいい?」


「カレー!? カレー、カレーがいい!」


 最初の警戒は何だったのかというほど、佳子はテンションが上がっていた。


 どうやら、温かい食事に相当飢えていたようだ。


 茜は、リュックサックからレトルトカレーのパウチを取り出す。

 佳子は、それをキラキラとした目で見つめていた。


 さて、と。


 コッヘルは3個。ひとつは炊飯に使用、ひとつはパウチを温めるのに使う。

 もうひとつは平形なので、お皿の代わりに使用できる。


 だが、逆に言うとお皿代わりになるのは1つだけだ。

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