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最強のホラゲー配信者がゲーム世界に転生したら、全く怖くない。  作者: てんてんこ
第2章 北明新町

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13/13

第13話 彼女は子供を見送りました

「さて、それではいよいよ。問題の第一ステージ、北明新町きたあかりしんまちです。ここから本編の開始、と言われていますね。はい」


 2車線道路を挟んだ反対側、平成初期の空気感を残す住宅街が広がっているこの場所が、『ZOMBIE - ゾンビ』における第一ステージ。

 北明新町きたあかりしんまちだ。

 そして、このステージで初めて、プレイヤーの選択によるストーリー分岐が行われるようになる。


 また、ストーリーにおいて重要な役目を果たすNPC、サバイバーと出会うことができるというのも、第一ステージの特徴だろう。


「この第一ステージでは、サバイバーとまともに会話することができます。ここまで生き残っているということで、いろいろな意味で優秀なんですよねぇ」


 そんなことを解説しつつ、彼女は周囲を見回した。

 目の前は、幅の広い二車線道路。

 当然、視線はかなり遠くまで通る構造だ。

 よって、不用意に移動すると、即座にゾンビに見つかってしまうことになる。


「ゾンビはランダムに発生しているように見えると思いますが、実際には、エリア内に決められた数のゾンビが決められた場所に発生しているんですよね。朝を起点として、全てのゾンビがルーチンによって行動開始するように設定されています。さすがに全てのゾンビのルートを覚えているわけではないですが、時間帯によってある程度予想はできます。なので――」


 茜は、見渡す限りゾンビが居ないことを確認し。


「この状態であれば、隠れましょう」


 草が生え放題となっている街路樹の根元に、彼女は即座に『しゃがんだ』。


「……3,2,1」


 そして、そのカウントダウンの直後。


『――キイィエエェェアアアァァァーー!!』


 叫び声と共に、1体のゾンビが、2車線道路を爆走してきたのである。


「はい、人呼んで北明新町の暴走特急。ランナーゾンビです」


『ァァアアアアアイイイィィィァァアアアァァ――!』


 ランナーゾンビは美しい短距離走フォームで、隠れる彼女の前を凄まじい勢いで走り抜けていった。


「特定ルートをただただ朝から晩まで走り続けるゾンビですので、ルートさえ知っていれば、隠れるのは簡単です。物陰に隠れれば、絶対に見つかりませんので」


 生前は、もしかすると陸上選手だったのかもしれない。ずっと走り続けているせいか、ジャージと思われるぼろ切れが僅かに局部を隠すだけのそのゾンビ。ミチミチにはち切れんばかりの、生理的恐怖すら抱かせる筋肉で覆われた、人間離れした体躯であった。


「さあ、あれが走り抜けた後なら、しばらく安全です。今のうちに道路を渡りましょう」


 茜はランナーゾンビが駆け抜けていったきっかり5秒後に立ち上がると、『走って』道路を渡りきる。


「あの暴走特急が去った後、おおよそ1分ほどは、周りのゾンビが走る足音に対して感度が落ちるんですよね。なので、ここでは走って移動しましょう」


 たったかと彼女は歩道を走ると、住宅街に入る路地を曲がった。


 そうして曲がった先に――


 ――子供が、立っていた。


『ォォッオオカアアァァーー!!』


「ちがいます~」


 茜は即座に道路に戻ると、住宅のブロック塀に『登る』。

 登り切ったら、そのまま内側に身を躍らせ、着地と同時に壁に『張り付いた』。


『――ドドココドコドコココドコドココオオオォォ……』


 子供のゾンビは両手を前に突き出したポーズで道路に飛び出すと、キョロキョロと辺りを見回し始めた。

 そしておおよそ10秒後、そのまま道路を走り去っていく。


「ふう。びっくりしましたねぇ。あの子供、暴走特急が走ってくる前は音に敏感なので、通常なら塀から飛び降りた音でばれちゃうんですが。いまこの時だけは、こうやってやり過ごすことができるんですよね」


 彼女は油断なく『張り付いた』まま、解説を続ける。


「さて、問題はこの家です。普通に住人ゾンビがいるので、不用意に動くと見つかります。幸い、音にあまり反応しないタイプなので、視線を掻い潜れば大丈夫ですけども」


 茜の視線の先に、リビングでふらふらと動く女ゾンビの姿がある。茜が隠れているのは、庭木の後ろだ。そのため、うまいこと女ゾンビの視界には入らないのだが。

 ちらちらと視線を庭に向けている仕草から、茜が少しでも身体を動かせば、即座に見つかってしまうだろうことが容易に想像できた。


「なので、まずは見つかりましょう」


 彼女はそう言ってから、普通に『走り』出した。


 当然、リビングの女ゾンビは、茜に即座に反応した。


『――ィイアアアァァー! ダダだれダレだれダレダレエエェェー! ぉぉおオトうぅさあぁぁーん!!』


 女ゾンビは外に漏れるほどの大声で叫ぶと、くるりと身を翻して走り始める。

 その先にあるのは、庭に続く裏口だ。

 茜から見て、右側の奥にその裏口は存在する。

 茜も、そこを目指して走っていた。


 走る茜は、裏口を通り過ぎた瞬間即座に『しゃがんだ』。ずざざ、と滑りつつ茜は身を屈め――。


『ゥウドロドロドロロボボドロボウうぅどろぼうゥーー!』


 バン!と裏口が開かれる。

 女ゾンビが、外に飛び出した。

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