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ガーディアン・リヴァース:境界を駆ける者たち  作者: 南蛇井


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97/111

残された二択 ――どちらも救いではない

崩壊の進行は、もはや感覚で分かる段階を越えていた。

霧亜の前に展開されたのは、解析結果ではない。

避けようのない未来の輪郭だった。


最終シミュレーション


霧亜は、感情を切り離すようにして言葉を選ぶ。


「……残された分岐は、二つだけです」


彼女の背後、空間投影に二本の軌道が立ち上がる。

どちらも、**収束点は“消失”**を指していた。


強制統合


五界と虚界を、

単一の世界構造として再構成する。


境界は完全に消え、

崩壊の連鎖は停止する。


だが――


法則が噛み合わない。


重力、時間、因果、信仰、生命定義。

どれもが同時に優先され、同時に衝突する。


結果として起こるのは、

適応不能領域の大量発生。


文明単位での消滅。

種族単位での欠落。

存在条件に合致しないものが、静かに“脱落”していく。


生き残る世界はある。

だが、それは選別を経た残骸だ。


完全消滅


もう一つの軌道は、より単純だった。


境界崩壊を止めない。

制御も、再構築もしない。


虚界と五界は、

互いの法則を無制限に侵食し合う。


やがて境界も、法則も、

「世界」という構造自体が耐えきれなくなる。


終点は、静かだ。


音も光もなく、

存在という概念そのものが解体される。


何も残らない。


沈黙が落ちる。


誰も、すぐには言葉を出せなかった。


夜宮が、低く息を吐く。


「……これは、選択じゃない」


彼女は画面を見ていない。

自分自身に言い聞かせるように続ける。


「どちらも、救いじゃない」


一拍置いて、結論を口にする。


「これは“終わり方”の違いだ」


統合すれば、

誰かが消える。


放置すれば、

すべてが消える。


そのどちらにも、

未来を選ぶ主体が存在しない。


世界は、

まだ問いを投げ続けている。


――本当に、これしかないのか。


そしてその問いは、

この場にいる誰かではなく、

**“まだ選んでいない存在”**へと向けられていた。

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