表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガーディアン・リヴァース:境界を駆ける者たち  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/111

ガーディアン本部の崩壊 ――管理という幻想の終焉

最初に沈黙したのは、警告音だった。


常に何かしらの異常を告げ続けていた本部中枢が、

不意に――あまりにも唐突に――

「何も言わなくなった」。


監視網、断線。

抑止機構、応答なし。

調停プロトコル、実行不能。


境界神設計による制御システムは、

一斉に、連鎖的に、役割を放棄していく。


「停止じゃない……」

霧亜が解析ログを睨みつける。

「順次終了処理です。

 自分が“もう不要だ”と判断している」


誰かが破壊したわけではなかった。

敵の侵入でも、裏切りでもない。


設計寿命を迎えただけだった。


中枢ホールに亀裂が走る。

境界演算盤――

五界の均衡を数値として束ねてきた巨大構造体が、

演算途中のまま停止し、光を失っていく。


最後に残ったログが、空中に投影される。


《平和維持フェーズ:進行中》

《再統合リスク:遅延成功》

《次段階――》


そこで、文字列は途切れた。


未完。

最初から、最後まで辿り着く設計ではなかった。


夜宮は、崩れ落ちるホールを見つめたまま、

しばらく言葉を失っていた。


瓦礫の向こうで、

かつて世界を俯瞰していた場所が、

ただの空洞へと変わっていく。


「……守っていたんじゃない」


誰に言うでもなく、夜宮は呟く。


「遅らせていただけだ」


ガーディアンは悪ではなかった。

世界を縛ろうとした暴君でもない。


ただ、

選択を先送りにし続けた組織だった。


統合か、分断か。

救済か、破壊か。


どれも決められず、

決める資格を持つ者を育てることもできず、

ただ時間を積み上げてきただけだった。


そして今、

時間は尽きた。


本部の崩壊と同時に、

五界の空が、同じ歪み方で揺れる。


管理という幻想が終わり、

世界は初めて、

自分で答えを出さなければならない段階に入った。


夜宮は通信を開く。


「……全員、聞け」


その声には、もはや組織の威厳はなかった。

だが、はっきりとした決意だけがあった。


「これ以降、

 俺たちは世界を“管理”しない」


瓦解する本部を背に、

彼は言い切る。


「人間として、選択に立ち会う」


――管理の時代は、終わった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ