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ガーディアン・リヴァース:境界を駆ける者たち  作者: 南蛇井


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各キャラの対抗描写 霧亜 vs 篠原(幻操対決)

霧亜 vs 篠原


――幻操対決


世界が、なおも軋み続けている。


篠原サクヤの幻操は止まらない。

いや、止める必要がないのだ。


それは正しい。


霧亜は、それを理解している。


篠原の力は、虚偽を見せない。

覆い隠された欺瞞を剥がし、

「美しい言葉」で塗り固められた世界の下地を暴き出す。


守護は支配であり、

秩序は抑圧であり、

救済は責任転嫁だ。


どれも、否定できない。


霧亜は、幻の中心に立った。


視界に流れ込むのは、

五界が積み上げてきた嘘と、その必然。


かつて彼女なら、破壊していただろう。

論理で否定し、構造で粉砕していた。


だが――consideration.


霧亜は、壊さない。


「……それは真実だ」


篠原の視線が、わずかにこちらを向く。


霧亜は続ける。


「否定しない。

 あなたが見ているものは、確かに世界の一面だ」


幻操が、一瞬だけ揺らぐ。


「でも」


霧亜は、静かに言葉を“置いた”。


「それは、唯一の結論じゃない」


否定でも反論でもない。

解釈の固定。


世界は腐っている。

だが、だからといって均すしかないとは限らない。


幻操の支配力が、確実に低下していく。

概念の反転は続くが、

それが「絶対」ではなくなった。


篠原は、初めて眉をひそめた。


「……解釈を残すのか」


「残す。世界に」


霧亜の声は、揺れない。


「結論を一つに縛ることこそ、

 あなたが否定したはずの“管理”です」


美香の介入


――翻訳されない声


その時、美香が一歩前に出た。


だが、精霊界の力は呼ばない。

王の座にも、権限にも触れない。


彼女はただ、開く。


結晶化した身体を媒介に、

世界の声を、そのまま流す。


翻訳しない。

整理しない。

意味づけもしない。


風のためらい。

地脈の疲労。

森の、微かな拒否。


それらは、救済を求めていなかった。

均しを願ってもいなかった。


ただ――

続きたがっている。


篠原の幻操が、一瞬止まる。


彼の耳に、初めて届いた。


精霊界は、救済を要求していない。

世界は、均しを望んでいない。


それでも。


篠原の表情は、崩れない。


「……だから何だ」


声は低く、硬い。


「それでも、世界は歪む。

 翻訳され続ける限り、選択は先送りされる」


思想は揺らがない。


だが――

彼は、一人になった。


均しを望む声は、どこにもない。

それでも均そうとするのは、

彼自身の意思だけだ。


夜宮の決断


――思想を止める


夜宮が、戦域全体を見渡す。


敵情は把握した。

篠原は危険だ。

だが――敵ではない。


夜宮は、静かに通信を開く。


「全員、聞け」


声は弱っている。

だが、指揮官のそれだった。


「篠原サクヤは、討伐対象ではない」


一瞬の沈黙。


「彼は敵ではない。

 ただ、選択を拒んだだけだ」


夜宮は、続ける。


「殲滅はしない。

 捕縛もしない」


「――ここで、思想を止める」


均しの思想を、

世界に拡張させない。


それだけでいい。


健太郎が、短く息を吐く。


「……了解」


世界は、まだ壊れかけている。

だが今、初めて――


誰も、代行者ではない。

誰も、世界の代弁者ではない。


ただ、人間として。

思想と思想が、真正面から向き合っている。


決着は、もう一歩先だ。

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