表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガーディアン・リヴァース:境界を駆ける者たち  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/111

魔力流出事件の拡大 ― 五界会議の速報 

カムイ支部・地下四階。

境界観測フロア。

ここは、五界の“揺れ”を最も早く察知する支部の心臓部であり、壁一面に並ぶ結晶モニターが常に淡い光を放っている。


その光が、今日は不穏に揺れていた。


「速報です! 五界観測網、第三波!」


若い観測員の声が、室内の空気を震わせる。


美香が駆け寄り、モニターに映し出された各界情報を読み上げた。


「……妖精界・霊界・魔獣界で、魔力流出を同時観測。

三箇所とも、タイムスタンプが……同時刻?」


霧亜が眉をひそめる。


「そんなはずないわ。界膜の強度も、魔力周期も全然違うのに……」


美香は、画面を指差した。


「妖精界は、金属含有魔素の流出。場所は資源採掘区域。

霊界は……霊子霧の圧が急低下。墓所区画の方。

それから魔獣界は──境界膜の薄化。魔獣密度が異常上昇……!」


健太郎は、観測フロアに満ちる緊張を肌で感じていた。


いつもの亀裂とは違う。

あまりにも規模が大きく、そして──同時だ。


霧亜が呟く。


「……もしかして、誰かが五界の“膜”を外側から撫でている……?」


室内の空気が一段重くなった。


そのとき、奥の暗がりから夜宮レイジが歩み出た。

結晶ライトの光を受けても、影のような雰囲気を崩さない。


「因果の筋を読んだ。

これは、自然現象ではない」


短い言葉だったが、その場の全員の背筋がざわりと震えた。


夜宮はデータを一瞥し、低く続ける。


「三界で異なる種類の魔力が、分単位で同時に流出。

この一致は偶然ではあり得ない。

……もっと質の悪い何かが、五界の“境界構造そのもの”に触れている」


健太郎は息をのんだ。


美香がその横で唇を震わせる。


「じゃあ……これは本当に、五界規模の事件……?」


夜宮は答えず、代わりに観測台の端末を操作した。

画面に、新たな速報が赤字で跳ね上がる。


【五界連絡会議、緊急招集】

【原因:三界同時魔力流出】

【各界、警戒レベル II に引き上げ】


霧亜が小さく呟く。


「……特務科が動くわけだ。

この規模なら、本部も黙っていない」


観測フロアの灯りの下、緊張がさらに高まる。

カムイ市の小さな密入界事件は、序章に過ぎなかった。


世界そのものが“軋んでいる”。


誰かが、五界の境界を揺らしている。


そして、その“揺らぎ”が健太郎の異常な測定値と響き合うことを──

まだ誰も知らなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ