表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガーディアン・リヴァース:境界を駆ける者たち  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/111

斥候隊による発見

午前4時前。

 アーカ・ドーム外縁部はまだ夜の冷気に沈んでいた。


 魔界宿舎区とドーム本体の間を、二名の斥候隊員が静かに進んでいく。

 境界震度の乱れが続く中、外周の監視は通常の三倍に強化されていた。


「……止まれ」


 先頭を歩いていた斥候の一人が、足元の舗装石に微かな光を見つけた。

 霧のような揺らぎが、地表に薄膜のように貼りついている。


「魔力痕……? いや、違う。これ……波動残渣だ」


 彼はしゃがみ込み、手甲の検知装置をかざした。

 その瞬間、薄膜に埋め込まれた紋が淡く弾けるように浮上する。


 幾何学的な螺旋、反転する双円、中心に刻まれた“無響”の符。


「……残響紋レゾナンス・シグルだ」


 斥候の声は震えていた。


■残響紋──教団の“足跡”


 それは通常の術者では絶対に残さない痕跡。

 教団員が“波動相”に身体を同期させた際、周囲の界圧にごく薄く刻まれる“教団特有の魔波の歪み”だ。


 見える者は限られる。

 消えるまで24時間もない。


「本当にあったのか……ここに教団が入った証拠が」


 もう一人の斥候が呟く。


「残響はまだ新しい。昨夜、魔界代表が殺された直後……いや、直前かもしれない」


 緊張が一気に高まる。


■政治的決定の影


「すぐ本部に――」


 言い終えるより早く、斥候の通信機に雑音が走った。


『……発見報告は、上層の判断で保留とする。

 現場処理班は不要。区域警備を続行せよ。以上』


「保留……? ふざけるな」


 斥候は通信機を握りしめた。


「どう見ても教団の印だ。隠蔽する理由なんてないだろう。

 本部は……なぜ報告を握りつぶす?」


 もう一人が、周囲を警戒しながら言った。


「本部が“知られたくない何か”を抱えている。

 あるいは──教団の動きを知っていた可能性すら……」


 言葉を終える前に、残響紋の光はすっと薄れていった。


 まるで、夜空に散る霧のように。

 そして、それを追う誰かの手が、確かにここまで来ていたことだけを示して。


■闇が境界線を覆い始める


 斥候隊は互いに目を合わせた。

 その沈黙には、一つの結論が宿っていた。


(ここに“第三勢力”がいる──)


 魔界でも精霊界でもない。

 人間界本部でもない。


 残響紋は、五界の背後で糸を引く「レゾナンス教団」の存在を、最も冷酷な形で証明し始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ