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ガーディアン・リヴァース:境界を駆ける者たち  作者: 南蛇井


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39/111

支部の危機感と本部の沈黙

北東支部・作戦会議室。

深夜にもかかわらず、緊急招集を告げるサイレンが薄暗い廊下を震わせていた。


霧亜、美香、そして少年――

三人は夜宮に付き従い、会議室に入る。


室内は重苦しい沈黙に包まれていた。

情報班長の相沢を含む主要メンバーがすでに揃っているが、誰も口を開かない。


夜宮が前方に立ち、静かに会議を開始した。


「――状況は最悪だ。」


ホログラムに、廃神社でのレゾナンス活動痕と、レゾナント戦士の魔力波形が映し出される。

少年と健太郎の反応波形と酷似した“無属性の揺らぎ”も重ねられていた。


夜宮の声はいつになく低く硬い。


「《レゾナンス》は、界縁由来の存在を意図的に集めている。

 本来、これは本部が最優先で介入すべき案件だ。」


相沢が苦々しく続ける。


「ですが……本部からの正式な動きは、一つもありません。

 むしろ情報制限が強化され、現場報告を“第一級秘匿”にした上で、

 我々への共有も制限している状態で……」


淡々とした説明の裏に、明確な異常があった。

“本部が動かない”どころではない。

“動けない理由がある”、あるいは“動かない方が都合がいい理由がある”。


霧亜が抑えきれない苛立ちをにじませながら言う。


「……本部は何かを知っているんですか?

 界縁由来存在のことも……少年のことも……」


夜宮はしばし沈黙した。

返答を探しているというより、言うべきかどうか判断しているような間だった。


やがて、静かに口を開く。


「……まだ言えない。

 だが――健太郎は、もう“一般扱い”ではいられない。」


美香の肩がびくりと揺れた。


「そんな……健ちゃんは……普通の……」


言いかけた言葉は、少年の視線とぶつかり、消えた。

少年は支部提供の毛布を握りしめ、小さくうつむいている。


彼は何も言わない。

ただ健太郎を見ると、かすかに表情を安定させる。

その反応が逆に場を重くした。


夜宮は続けた。


「少年は本部施設から脱走したわけではなく――“呼ばれて消えた”と記録されている。

 本部内部でも、この存在が制御不能であることは認識されているはずだ。」


相沢もうなずく。


「そのうえ、レゾナンスと悪魔族が同じ“界縁反応”を追っている。

 天城健太郎と少年。

 二人は確かに対になるパターンを示しています。」


美香が不安そうに夜宮を見る。


「対になる……って……どういう意味……?」


夜宮は答えない。

ただホログラムに映る二つの波形を指さす。


完全に重なり合う、“無”の揺らぎ。


霧亜が小さく息を飲んだ。


「……健太郎君と少年は……“同じ由来”ということですか?」


夜宮は正面を見据えたまま、静かに言った。


「今言えるのは一つ。

 二人とも――本部が追っている《失われた界縁計画》と深く関わっているということだ。」


室内にざわめきが走る。

美香は唇を噛み、少年は怯えたように視線を落とした。


そして夜宮は、誰にも聞こえないほどの声で付け加えた。


「……本部と《レゾナンス》は、表には出ない“何か”でつながっている。

 そう考えた方がいい。」


会議室の空気が凍った。


少年は支部に一時保護されることが決定し、

健太郎の監視レベルは極秘裏に引き上げられた。


この夜、北東支部は初めて“本部そのものへの警戒”を共有した。


そして――

健太郎の出生、少年との関係、界縁外の真実。

すべての伏線が、静かに動き出していた。

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