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ガーディアン・リヴァース:境界を駆ける者たち  作者: 南蛇井


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26/111

本部の最終報告(支部閲覧不可)

防壁三重の下、アクセス権限最上位のみが入室を許される“無光室”。

 そこでは数名の本部理論局員が無言のまま、最後の報告書に電子署名をしていた。


 広げられたホログラムは、どれも歪んだ波形を描いている。

 少年の消失記録、ゲートの暴発データ、そして——健太郎の体内で観測された“界縁粒子”の不規則な脈動。


「……すべてが、辻褄を合わせ始めたな」


 理論局長が深く息を吐き、報告書の核心部分を読み上げる。


「対象少年——識別名《無属性個体X》。

 分類:界縁由来存在(Border-Origin)」


 続けて、別の局員が健太郎のデータを投影する。波形は少年のものとほぼ同期していた。


「天城健太郎。分類:界縁反応者(Border-Linked)。

 両者の接触は、世界基盤の不安定化を促進する可能性が高い」


 しばし沈黙が室内に落ちる。


 その危険性は、時に世界の層そのものを割りかねない。

 だが——それでも、接触させねばならない理由があった。


「……避けられん。界縁構造の解析には、この二つの“揺らぎ”が必要だ」


「意図的に、か」


「そうだ。接触は制御下で行わせる。無制御で起きるよりは遥かにマシだ」


 局長が最終稿に指を滑らせる。電子ペン先が赤い線を引いた。


「最終結論を読み上げる」


 無光室の空気がひときわ冷える。


「対象:天城健太郎は、

 **管理対象E(境界不安定素体)**に分類。

 以後、その行動・活動・接触者はすべて、本部が完全監視下に置くものとする。」


 重々しい沈黙が落ちた後、局長が最後の指示を出す。


「北東支部には――知らせるな。

 特に夜宮には、だ」


 電子印が落とされる瞬間、報告書は暗号化され、光の粒となって封鎖された保管領域へ沈んでいく。


 これで、本部は“動く”。


 ——天城健太郎を、世界の縁へ導くために。

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