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ガーディアン・リヴァース:境界を駆ける者たち  作者: 南蛇井


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23/111

少年を追うのは“健太郎”

北東支部の警報が鳴り響いていた。

潜在ゲートの異常活性化。それは、ただの“揺らぎ”とは呼べない規模だった。

本部からの緊急通信が、支部長室に叩きつけられる。


《至急通達:天城健太郎をゲート前に連れて行け。

 収容対象(無属性少年)の存在周波が、天城健太郎と強く同期している》


夜宮レイジは、硬い表情のまま端末を閉じた。


「……ついに、露骨に指示してきたな」


彼の声音には、怒りではなく“不信”が滲んでいた。


霧亜と美香は、すでに室内に駆け込んでいる。


霧亜

「本部が健太郎を……? 本気で、彼を利用する気なの?」


夜宮

「利用というより、実験対象だ。

 だが、指示を拒めば支部に査察が入る。健太郎を別の名目で奪われる」


短い沈黙が落ちた。


その後、夜宮は決断するように口を開く。


「……俺が同行したいところだが、ゲート周辺の統制が必要だ。

 霧亜、美香。お前たちで健太郎を守れ」


霧亜は力強く頷く。


「必ず。命に代えても」


美香は不安げに唇を噛んだ。


「健ちゃんに……変なこと、しないよね? 本部……」


夜宮は、二人の視線を受け止めて言う。


「護れ。

 彼が“何者か”を知る前に、誰かに奪われることだけは……避けろ」


***


ゲート前。

空間そのものが振動しているような、低く響く脈動が、地面から伝わってくる。

健太郎は防護装備を整えながら、霧亜の方に視線を向けた。


「俺……本当に、行かなきゃいけないのか……?」


霧亜はヘルメット越しに彼を見つめる。


その瞳は迷いを押し殺し、不安と決意の両方が渦巻いていた。


霧亜

「あなたが行かなきゃ、少年はもう戻らない。

 そして……今の健太郎にしか、彼の“行き先”を感じ取れない」


美香が、健太郎の腕を掴む。


「絶対に、ムチャはしないで。

 あの子が何者でも、健ちゃんは健ちゃんなんだから」


健太郎は、二人の顔を順に見た。


恐怖はあった。

だが、あの少年が自分を見たときの視線が忘れられない。


——ようやく、見つけた。


あの言葉が、頭にずっと引っかかっている。


健太郎

「……分かった。行こう。

 俺が“呼ばれた”ってんなら……確かめるしかないだろ」


霧亜はそっと近づき、健太郎の前に立つ。


彼女はヘルメットのバイザー越しに真剣な眼差しを向けた。


霧亜

「健太郎——絶対に、離れないで。

 あなたが消えたら……私は……」


言葉を結べず、唇を噛む。


健太郎は、ほんのわずかに微笑んで答えた。


「大丈夫。離れないよ」


だがその瞬間、ゲートの鼓動が一段と強まり、空間の色が反転する。


まるで——

“行く先を示すように”、道が開かれたかのようだった。


そして、少年の残した言葉がゲートの脈動に重なる。


——呼ばれたから、行く。


健太郎は、深く息を吸い込んだ。


霧亜、美香の二人が彼の背に寄り添い、三人はゲートへと踏み出す。


物語は次の段階へと進み始めていた。

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