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ガーディアン・リヴァース:境界を駆ける者たち  作者: 南蛇井


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20/111

美香の推論

カムイ支部・解析室。

巨大モニターに並ぶ数値は、少年と健太郎の“界層反応”を並列比較していた。


美香は椅子をくるりと回し、顎に指を当てたまま呟く。


「……ねぇ、霧亜。これ、ちょっと変じゃない?」


霧亜は眉を寄せて覗き込む。


「どこがですか?」


「反応の“式”が同じなんだよ。

 あの無属性の子と、健ちゃんの界縁揺らぎ……

 数学的っていうか、構造的っていうか……“同じ方程式で記述できちゃう”の」


「……意味が、わからない。誰がそんなものを?」


美香は手を止め、静かに答える。


「誰か、じゃない。

 “この世界そのもの”だよ。

 世界の法則が、二人を同じカテゴリーで扱ってる。それが一番怖い」


霧亜は思わず息を飲んだ。


少年は世界の外側に立つ存在。

健太郎もまた、世界の外側に引かれつつある存在。


それが同じ“式”で記述できるというなら――

健太郎とは何者なのか。彼女の胸に冷たい痛みが走った。


C-3 本部からの圧力


その日の午後、支部司令室に硬質な電子音が響いた。


夜宮が画面を開くと、そこには“本部直令”の文字。


『通達:天城健太郎を本部に一時転属させる。

 次回以降の異常ゲート調査は、本部主導とする。』


霧亜と美香が同時に顔を上げる。

夜宮は読み終えると、短く息を吐き、即座に返信を打った。


「……断る。彼はまだ訓練段階だ。

 現場に出す判断も、保護も、こちらで行う」


返信は、十秒もかからず戻ってきた。


『拒否を確認。

 ならば支部の査察を実施する。

 準備を整えよ。』


空気が凍りついた。


霧亜が囁くように尋ねる。


「夜宮隊長……本部、本気なんですか?」


夜宮はモニターを閉じ、ゆっくりと拳を握った。

抑え込まれた怒気が、指先に白く滲む。


「本部は“危険因子”を把握するためなら手段を選ばない。

 だが……だからと言って、彼らに健太郎を渡す気はない」


その声音は、静かだが鋼のように固かった。


カムイ支部と本部の軋みが、ついに表面化した瞬間だった。

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