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ガーディアン・リヴァース:境界を駆ける者たち  作者: 南蛇井


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17/111

少年の正体の断片

場所:ガーディアン本部・深層研究区画

外界から完全に遮断された無窓の室内。

音すら吸い込むような防音壁に、白い照明だけが均一に落ちる。


中央のホログラム台に、拘束直前の“無属性の少年”の姿が投影されていた。


その周囲で、白衣の研究員たちが低い声で議論を交わしている。

この会話は決して支部には届かない。

ただ読者にだけ、冷たい真実として提示される。


第一研究員

「属性反応……最終測定、0.0。

 “完全無属性”。理論上、存在しえない値です」


第二研究員が顎に手を当て、投影データを細かく拡大する。


第二研究員

「彼の界層判定結果は?」


第三研究員

「消失。

 ……いや、判定不能と言うべきか。

 五界のどこにも属さない。界層外の存在としか説明がつきません」


室内が一瞬静まり返る。

言葉が重すぎて、誰もすぐには続けられない。


やがて第一研究員が、恐る恐る口を開く。


「“界力の基盤”……そのものと同質の構造を持っている。

 人ではない。異界種でもない。

 界そのものに近い……“素粒”のような……」


第二研究員

「つまり、ゲート干渉を受けない理由は……」


第三研究員

「彼は、ゲートの“外側”に属している可能性がある。

 通過という概念自体が、成立しない」


言葉が冷気のように漂う。


ホログラムの少年は無表情で立ったまま、ただ瞳だけが深い闇のように沈んでいる。


その解析を続けていた第四研究員が、不意に声を押し殺した。


「……これを見てください。

 先日の“魔力流出事件”の波形ログと、少年の存在周波数……」


ホログラムが二つ並ぶ。

波形が、重なった。


いや──

完全に、同期していた。


第一研究員

「一致……している?

 これは……発生源が……」


第二研究員

「まさか──少年が、事件の“原因側”にいた……?」


三秒、誰も呼吸を忘れる。


第四研究員が絞り出すように言った。


「もしこれが事実なら……彼は“五界の外側”から、流出現象と同期して出現したことになる。

 意図か、偶発かを判断する前に……本部は、彼を“封じねばならない”。」


ホログラムが静かに消える。


残ったのは、研究員たちの微かな息遣いだけだった。

だがその沈黙には、誰もが理解している“ひとつの共通認識”があった。


――この少年は危険だ。

 五界にとって、根源的に。


そして

――支部には絶対に知られてはならない。


密談はこうして暗闇へと沈み、

真実はまたひとつ、闇へ封じ込められた。

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