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ガーディアン・リヴァース:境界を駆ける者たち  作者: 南蛇井


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14/111

“侵入者の少年”発見

山間に沈みゆく夕光が、薄い霧を朱色に染めていた。

潜在ゲートの鼓動は、間断なく耳の奥を叩いている。

まるで──何かが扉の向こうから爪でひっかいているような、乾いた振動。


霧亜が測定器の針を睨みつけたまま、短く息を飲む。


「……誰かいる」


「え? 人影なんて——」


美香の言葉が終わるより先に、境界警戒網の内側、通常なら完全封鎖領域の岩場に“それ”はいた。


小柄な後ろ姿。

色素の薄い髪が、風にほとんど揺れず垂れ下がっている。

年齢は十二、十三といったところだろう。

だが、その佇まいには幼さという概念がなかった。


霧亜は即座に防御結界を展開し、健太郎を背後に下げる。


「警戒網をすり抜けた……? 不可能なはずよ。ここは三重層の封鎖領域なのに」


美香が計測器を振りかざす。しかし、表示された数値を見て凍りついた。


「……え、反応ゼロ? 魔力が……全く無い? そんなの……生物として……」


霧亜は眉を寄せたまま呟く。


「属性なし……五界理論上、存在し得ない……」


そのとき、少年がこちらへ振り返った。

無機質な瞳だけが異様に鋭く、まるで光を反射していない。


視線が、霧亜でも美香でもなく──健太郎に、真っすぐ突き刺さる。


そして。


「……ようやく、見つけた」


言葉は囁きとも叫びともつかず、だが確実に彼だけを指していた。


健太郎は息を呑む。


「は? 俺を……? なんで、俺──」


続きの言葉を飲み込むように、大地が震えた。


少年の視線と同時に、背後の潜在ゲートがけたたましく脈動し始める。

境界膜が膨れ、苦鳴のような音を立てて──裂けた。


霧亜が叫ぶ。


「全員、防御――ゲートが共鳴暴走してる!」


美香の手から測定器が落ち、砂利の上で跳ねた瞬間。

世界の端が破れ、冷たい風とも熱ともつかない気流が三人の肌を切り刻んだ。


そして少年は、一歩だけ健太郎へ踏み出した。


その動きはあまりにも自然で、

あまりにも“境界など存在しない”かのようだった——。

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