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ガーディアン・リヴァース:境界を駆ける者たち  作者: 南蛇井


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世界の空気

五界の空気は、どこか未完成のままだった。


完全な融和には至っていない。

誤解は残り、衝突の芽も消えていない。

利害対立は形を変え、日常のあちこちに潜んでいる。


天使界では、命令なき善に戸惑う者がいる。

精霊界では、人の言葉を信じきれない精霊がいる。

獣界では、資源を巡る小競り合いが絶えない。

霊界は、沈黙する理由を失ったまま、まだ居場所を探している。

人間界もまた、誰かに決めてもらえない不安を抱え続けている。


問題は、何一つ解決されていない。

世界は、依然として不安定だ。


だが、以前と決定的に違う点が、一つだけあった。


誰も、

「世界がそう言っている」

とは口にしなくなった。


かつては便利な言葉だった。

責任を預けるための言葉。

選ばないことを正当化するための主語。


今は違う。


誰かが境界を越えるとき、

「世界が求めた」からではなく、

「自分がそうしたい」から、そうする。


衝突が起きるときも、

運命や必然ではなく、

個人の判断として引き受けられる。


間違いも、躊躇も、後悔も、

すべてが個人の名義で残る。


重く、不完全で、逃げ場がない。

それでも、その重さこそが、

この世界に残された自由だった。


世界は、もう一度壊れかけた。

だから今度は、

壊さずに選ぶことを覚えた。

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