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ガーディアン・リヴァース:境界を駆ける者たち  作者: 南蛇井


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未選択のまま

世界は、救われてはいなかった。


破滅が消えたわけでも、

争いの芽が摘み取られたわけでもない。


ただ――

選ぶことを、取り戻した。


教団は、敗北したのではない。

彼らの思想は否定されなかった。

だが、代理で決める資格を失った。


「世界のため」という言葉は、

もう誰かの手に預けられない。

救済は、代行できないと証明された。


境界神の設計も、崩れ落ちた。

それは誤りだったからではない。

最善だと信じた設計が、

永遠であると錯覚した瞬間に限界を迎えただけだ。


管理は役割を終え、

思想は更新を要求された。


虚界は、消されなかった。

同時に、解き放たれもしなかった。


否定され続けた可能性は、

世界の内側に留まる場所を与えられた。


暴走も、顕現もない。

だが、忘却もない。


未選択の未来は、

未選択のまま、在り続ける。


健太郎は、何ひとつ決めなかった。


統合を命じず、

分断を守らず、

救済を宣言しなかった。


ただ、

世界が勝手に決めてしまう力を無効化し、

選択を、持ち主の手に戻した。


それは英雄の行為ではない。

代行者の拒否だった。


少年は、初めて立った。


器としてではなく、

鍵としてでもなく、

世界の要求に応える存在でもなく。


一人の主語として。


虚界を戻すことをやめ、

消すことも選ばず、

残すという判断を下した。


それは勇敢な決断ではない。

正解でもない。


だが、確かに――

彼自身の選択だった。


世界は、静かに変わる。


救済の物語は終わり、

管理の時代は閉じ、

破壊の必然も否定された。


残ったのは、

選び続けなければならない現実。


そして、

選び続けられるという権利。


世界は、完成していない。

だがもう、閉じてもいない。


それが、この戦争の結末だった。

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