〝空想の中のわたし〟
空想のなかのわたしは
まるでおさない少女のように
いきいきと笑っていた
どこかのお姫さまのような女々しさに
目を覚ましたわたしはため息をついて
カーテンをあけた
そんなことを考えて
いまさらなんの意味があるというのだろう
立春を過ぎたばかりの太陽が
冬と呼ぶには強く
春と呼ぶにはよわよわしい光を
まるでフルートの音色のように
わたしの体に浴びせてきた
窓の外
庭に植えられた桜の木が
寒々しい枝を見せていた
ツボミはいつ付けるのだろう
空想のなかのわたしは
まるでおさない少女のように
いきいきと笑っていた
どこかのお姫さまのような女々しさに
窓から離れたわたしはため息をついて
勉強を始めた
そんなことをし続けて
いったいなんの意味があるというのだろう
朝食の時間がきたことを
知らせるメイドの声が
まるでチャイムの音色のように
わたしのことを呼んでいた
机の上
行きたくもない学校の参考書をしまいながら
わたしは部屋を出る
こんな生活があと何年続くのだろう
空想のなかのわたしのように
明るく楽しく生きていけたのなら
わたしはどんな大人になれたのだろう
意味のない仮定だと知りながらも
わたしはそんな空想を
いつまでもソラに描き続ける
だれかがわたしを
攫いに来てくれるまで
【第4回】自作小説をテーマに作詞してみた【桜宮静の執事】