〝僕らのレゾンデートル〟
難しいことを難しい言葉で得意げに語る人たちの目には、
キミの涙はどんなふうに映っているんだろう。
カメレオンみたいな身代わりの速さで、
僕らの心はいい加減な言葉に埋め尽くされてきた。
世界が見えない糸で再構築されてから明日で何年?
キミの誕生日が僕にとっての命日になってから、
海底に沈んでいた雨が降り始めた。
世界は嘘をついている。
だからみんな忘れている。
雲の向こうにはいつも青空が広がっていて、
星はいつだって白く瞬いていた。
透明な人ほど優しい心を持っている。
その優しさの百分の一。
千分の一だけが夜になると漏れ出して、
月になって僕らを見守っていること。
世界の何人が覚えているんだろう?
綺麗事だけが僕らのレゾンデートル。
キミが蜘蛛の巣を燃やすために盗んだライターから、
暗闇に溶けだした雪が降り始めた。
僕らは嘘をついている。
だからみんな忘れている。
月に向かう列車の中では、
口笛がいつもいちばん美しい音色を響かせた。
透明な人ほど優しい心を持っている。
その優しさの百分の一。
千分の一だけが夜になると漏れ出して、
月になって僕らを見守っていること。
世界の何人が覚えているんだろう?
世界は嘘をついている。
僕らは嘘をついている。
だからみんな忘れている。
綺麗事だけが僕らのレゾンデートル。
キミが夜に綴った言葉の中に、
本当の言葉は何ひとつなかったんだ。




