〝汚いものはぜんぶゴミ箱に捨てて蓋をして回りたい〟
綺麗なものが好き。汚いものはぜんぶゴミ箱に捨てて蓋をして回りたい。地球ひとつ分くらいの大きさがあれば足りるのかな。
馬鹿みたい。綺麗なものなんてどこにあるの? 汚いものしか見えない。銀河系のどこか。全てがアベコベの世界では、ガラスに溶けた理想が輝いている。まるで涙みたい。シャボン玉が割れるくらい簡単にリセットできる世界なら、神様なんて存在するはずがなかった。
だから雨が好き。こびりついた愛想笑いでさえ洗い流してくれそうな大雨が好き。ゲリラ豪雨なんて言い方は嫌いだけど、夕立ちや驟雨だって聞くと好きになれる気がするのはなぜなんだろう。
馬鹿みたい。表現する言葉で変わるくらいいい加減な気持ちに春は来ない。泣いてたって花は咲かない。臭いものに蓋をする。それだけで冬が過ぎていくのなら、この世界に神様なんていらない。意味ない。いちゃいけない。
金魚鉢に棲む金魚が綺麗なのには理由があった。ジオラマを走るクルマから見る景色は、きっと夕暮れだろうと朝焼けだろうと変わらずに過ぎていく。過去よりも今よりも、未来の方が大事だなんて戯れ事を、いつまで信じ続ければいいんだろう。
綺麗なものが好き。汚いものはぜんぶゴミ箱に捨てて蓋をして回りたい。地球ひとつ分くらいの大きさじゃ全然足りないけど。銀河系ひとつ分くらいの大きさがあれば足りるのかな。




