〝ペルソナ〟
仮面をかぶって、心を騙して、それでも壊れていくキミとボクの違いを言葉にすることにどれだけの意味があるんだろう。さよならの伝え方さえボクらはまだ知らない。
夜に読んだ物語を朝になっても覚えていることが奇跡でも、その代わりに忘れてしまったものが思い出なら、それは最低な等価交換。風船が割れる高さにしか存在しない幸福に意味なんてなくて。眺めることしかできない星の優しさは、道端に捨てられた紙切れよりも劣っていた。
夜。ひとりきりの世界。月が泣いていても、だれも振り返らない街に住む人たちの笑い声がうるさいくらいに響いている。途切れなく響くオルゴールが、キミにとって最後の砦。ゼンマイを限界まで巻いた日からあとどれくらいで動けなくなるんだろうと、キミが見上げた空は深い青色をしていた。
キミの心が綺麗なのは、キミがまだ夢の中にいる証拠。
キミの心が壊れそうなのは、キミがまだ頑張っている証拠。
雪の降る日。マッチ売りの少女が最後に見たまぼろしの名前を優しさと名付けたボクは、この世界でいちばん汚い心を持っていた。
大丈夫。キミがこの世界を嫌いになるまえに、ボクがキミの嫌いになるから。
夜。ひとりきりの世界。月が泣いていても、だれも振り返らない街に住む人たちの笑い声がうるさいくらいに響いている。途切れなく響くオルゴールが、キミにとって最後の砦。ゼンマイを限界まで巻いた日からあとどれくらいで動けなくなるんだろうと、キミが見上げた空は深い青色をしていた。




