〝わたしはロクデナシ〟
もしも天国なんて存在しないことが世界のみんなに知られたら、どんな暴動が起きるんだろう。そんなことを考えて幸せになるわたしはきっとロクデナシ。何者にもなれない。
息を吐くように悪口を垂れ流す人を軽蔑したくなって、でも本当にその人を軽蔑できるだけの生き方をわたしはしているのかな。わからない。何でもわかる世の中で、本当に知りたいことだけがいつも夢みたいに揺らいでいる。
だれかの心を自覚なく傷つける人たちの言葉が夜を漂う日。感情を捨てた人の噂が星みたいに広がって落ちていた。雨が降っている。トナカイはまだ雲の向こう。幸せな人にしか見ることのできないヒカリに何の価値もなかった。
嘘みたいな本当の話なんだけど、わたしは世界平和を望んでいる。みんながロクデナシになれば、それはきっとひとつの平和。世界が平和になることと、世界が終わることはイーブンで繋がれていた。わたしはロクデナシ。何者にもなれない。
もしも天国なんて存在しないことを世界がみんな知っているのなら、どうしてみんなまだ笑えるんだろう。そんなことを考えて泣きたくなるわたしはきっとロクデナシ。
何者にもなれない。




